経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の心

5/12の日経

2015年05月12日 | 今日の日経
 昔懐かしいエンゲル係数は、いかがだったかな。実は、説明が煩雑になるので省いたけれども、1989年の前年比は-0.1、1990年は+0.0であり、この前後の年の様相からすると、停滞感が強い。つまり、過去に行われた3度の消費増税は、いずれもエンゲル係数に大きく悪影響を与えてきたということだ。消費増税は、国民生活を苦しくするのに異様な力を持っており、しかも、成長力が衰えてきたせいか、後になるほど酷くなっているように見える。

 そんな消費税だが、安倍首相が解散で10%への先送りを決めていなければ、10月には4度目の打撃を受けていたところだ。1-3月期の成長が再失速し、米中の景気が薄曇りになる中での実施になったのだから、危ないところだった。無謀を回避した功績は大きいよ。この国は、「進むも退くも地獄」などと意味不明なセリフを叫びつつ、バンザイ突撃をするものと、筆者は予想していたからね。外れてホント良かった。

………
 さて、日経が報じている財政再建の新たな目標だが、5年後にGDP比で3.3%改善するのだから、2年前の2018年度は、均等ペースなら、目標まで2/5の1.32%残しておいて良いはずなのに、0.32%余計に改善するというは、どういうことか。余計な1.6兆円分の歳出削減は小さくない。しかも、2017年度という消費増税の年を含む期間であり、ただでさえ、成長を保つのが難しいのに、逆に緊縮を重くするというセンスが分からない。

 中長期計画の2017年度の実質成長率は0.8%と置いているが、日銀の4月展望では0.2%と低い。今回の消費増税で成長率が-1.0%にもなったことを踏まえれば、税収を安定的に増やすために、消費増税を刻んで、ショックを和らげるべきではないか。そうでないと、かなりの景気対策のバラマキを必要としてしまう。失敗の教訓は、まったく活かされていない。ノモンハンの敗北を無きものにした旧軍と変わぬのではないか。

 もっとも、2015年度の税収は、計画より3.2兆円ほど上ブレしそうなので、新たな目標の達成に必要な6兆円の歳出削減は、半分以下で良いことになろう。均等ペースなら、わずか1.2兆円で済む。これなら、2016年度の自然増収で賄えるレベルだ。正直、2014年度の税収が判明する夏には無意味になってしまうような歳出削減目標を作るのは、なぜなのだろう。まさか、足元の税収の動向を見ていないわけでもあるまいに。


(昨日の日経)
 世界景気が薄曇りに、外需に影。中国が追加利下げ。エコノ・日銀の買える国債先細り。

(今日の日経)
 ドコモがポンタと提携。4月中国新車がマイナス。財政目標18年度は赤字GDP比1%に。歳出抑制・教職員削減、救急車有料化。スズキされどシェア。
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4 コメント

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Unknown (asd)
2015-05-12 11:45:58
足元の動向を見ているからこそ焦ってるんでしょう(笑) 彼らの目的は緊縮財政であって財政良化ではないのでしょうから
エンゲル係数 (KitaAlps)
2015-05-12 13:13:52
 言わずもがなですが、テーマに沿って少し解釈してみたいと思います。

1 消費への打撃を増幅するエンゲル係数

>過去に行われた3度の消費増税は、いずれもエンゲル係数に大きく悪影響を与えてきた。

 家計は、ケインズの消費関数であろうが、フリードマンの恒常所得仮説であろうが、モジリアーニらのライフサイクル仮説であろうが、いずれにしても、将来の所得の伸びを予想(期待)して消費行動を取っていると考えられます。

 家計が、消費増税によって増税額分だけ実質可処分所得が減少すると理解(予想)した場合(家計が名目消費額を維持しても)、実質消費は、消費税額分だけ減少することになります。
 また、消費増税による不景気で、増税額分以上の実質可処分所得の減少が進むと予想(期待)すれば、その所得の低下予想に応じて、さらに(実質)消費を減らすでしょう。
 消費増税に限らず、大恐慌や日本のバブル崩壊、リーマンショックなどの経済危機によって失業のリスクが急上昇し、あるいは実際に失業する場合、将来所得の予想が低下し、家計は消費支出を抑制すると考えられます。

 このとき、家計は、すべての消費を一律に減らすのではなく、選択的に減らすと考えられます。食料品などの生活必需消費は減らすことは困難です。一方、耐久消費財や住宅投資は、古いモノを使い続ける期間を延ばすことによって、自分の満足(効用)をそれほど下げずに、支出を節約できます。
 この結果、実際に、食料品などの生活必需品の消費の減少はわずかであるのに対して、耐久財消費の減少が大きいことが、消費税増税時だけでなく、大恐慌、リーマンショック時などにも、統計的に(広く)観察されています。

 この「食料品などの生活必需品消費の維持」と「耐久財や住宅投資の減少」が組み合わされますと、エンゲル係数の低下が生じると理解出来ます。

 つまり、エンゲル係数の変動は、こうしたショックによる総消費額の変動を「より増幅して示すものになっている」と考えられます。

 しかし、これは、日本の高い技術力を反映した自動車などの耐久財市場を縮小させることを意味しますから、消費税増税は、日本経済(日本の高付加価値産業)にとって最悪の選択だと考えます。

 以上は、拙「消費税増税の影響(97年の例から)」の主張の別の側面です。
http://kitaalps-turedurekeizai.blogspot.jp/2013/04/blog-post.html



2 家計の所得の成長予想(期待)が低下してきているために、増税の影響が大きくなっている。

>消費増税は、国民生活を苦しくするのに異様な力を持っており、しかも、成長力が衰えてきたせいか、後になるほど酷くなっているように見える。

 これは、第一に、家計の経済的な余力の低下(下の頁の2枚目のグラフ「日本の部門別資金過不足(家計と企業のみを抽出)」参照)が原因と考えられます。家計が毎年貯蓄できる額が縮小していますから(通常、耐久財や住宅の購入原資は貯蓄なので)、耐久財消費は縮小の力を受けざるを得ません。
http://kitaalps-turedurekeizai.blogspot.jp/2013/10/97.html

 さらに、第二に、過去長期にわたって所得が伸びない経験をしてきた家計が、今後も所得が伸びないという強い予想(期待)を持っている可能性が高いこともあると思います。 実際、下の頁のグラフの図1でみるように、雇用者報酬は97年前後から横這いになり、20年間にわたってまったく伸びていません。
http://kitaalps-turedurekeizai.blogspot.jp/2014/04/blog-post.html

 このグラフで、89年の消費増税時は、雇用者報酬が伸びていた時期ですから、家計は、伸びる所得を元に(一時的な影響を吸収し)消費を拡大させていきました。97年は、まだまだ所得が伸びるものという期待が根強くあった時期でしたが、14年増税では、そうした期待は持ちようがありませんでした。

 家計は、そうした将来所得の予想を元に消費支出を調整(抑制)していると考えられます。すなわち所得上昇期待がなく、むしろ停滞から低下方向であるために、消費増税の影響が大きくなってきているのではないでしょうか。

冗長 (KitaAlps)
2015-05-12 13:29:33
冗長で恐縮です。少なくとも1の上から8行くらいはカットでした。ちなみに、ケインズの消費関数は、ざっくりした定式化であり、漠然と「期待」分を含んでいたと思っています。
訂正 (KitaAlps)
2015-05-18 09:09:17
2つ上の拙コメントに、致命的な誤りがありました。

> この「食料品などの生活必需品消費の維持」と「耐久財や住宅投資の減少」が組み合わされますと、エンゲル係数の【低下】が生じると理解出来ます。

 ここで「低下」と書いてしまっていますが、正しくは「上昇」です。(汗)

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