経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

7/18の日経

2017年07月18日 | 今日の日経
 昨日の経済教室の永瀬伸子先生の論考は、非常に興味深かったね。特に、「未婚期でも非正規雇用にしか就けない女性が高卒層、短大・専門学校卒層に拡大しており、しかもこの層の結婚・出産が遅滞し、離婚も増えている」という指摘は重要だ。日本は、一夫多妻制ではないので、所得の高低に関わらず、あまねく結婚・出産ができるようでないとならない。少子化対策の筆頭は、両立支援や待機児童だが、これは主に高所得層向けであることを意識する必要がある。

 そうでないと、待機児童は解消しても、出生率が上がらないなんてことになりかねない。だからこそ、本コラムは、保険料を軽減して非正規も厚生年金に加入させ、年金から月8万円を3年間給付するというプランを示している。実物給付が少子化対策には効果的というのが定説だが、「貧困の解決には、お金を与えるのが一番」という面もあるのでね。「あまねく」のためには、複合戦略が必要になるが、待機児童の一本槍ですら、永瀬先生が指摘するとおり、ようやく、この3年に加速したくらいだから、夢のまた先だ。

 他方、男性に対する少子化対策も欠かせない。永瀬先生は、大卒大企業の男性が家事育児をできるようにすることが大切とするが、低所得層の男性を底上げし、「良い人」を多く確保する必要もある。25~34歳の就業率は91%と、足下では回復しているが、簡易に正規従業員比率を乗じると下図のとおり。従業員中に非正規が16%もいるため、リーマン・ショック前にも及ばない。1990年代前半の就業率は97%もあり、非正規は3%しかなかった。出生率を盛り返すには、このあたりの改善もいる。

(図)



(今日までの日経)
 エコノ・物価予測なぜズレる。置いてきぼりの既成政党。高卒女性の非正規・未婚率高まる・永瀬伸子。24%の自治体で非正規比率が4割以上。

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