経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

W杯を眺めつつの経済観戦記

2014年06月21日 | 経済
 しょせんサッカーではあるが、どうしても日本の在り様と重ね合わせてしまう。なぜ、リスクを取って攻め上がれないのか。デフレ脱出前から、財政赤字を怖がり、一気の消費増税に走ってしまうのだから、日本代表の若者達の批判などできまい。臨機に応じられず、約束事を変えられないまま、苦しくなって後付けの手で打開するところは、鏡のようですらある。

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 さて、最新の消費動向だが、6月第3週の「消費税率引上げ後の消費動向等について」を見ると、飲食料品(除く生鮮)の前年同月比は、まだ-2.73である。わずかずつ戻しているものの、足取りは鈍い。日経は「回復」としているが、スーパー協会の5月の前年同月比0.0というのは、値上がりが目立つ生鮮込みの数字であり、それらを除く一般食品は-3.3となっている。W杯と同様、期待先行ではなかろうか。

 筆者は、シティの飯塚尚己さんと同じく、実質所得の減が心配だ。6/12の日経ビジネスO.L.にニッセイ研の斎藤太郎さんが『消費の回復は来年前半にずれ込む』を書いているので、これも参考にすると良い。エコノミストの中には、賃金総額の増にはならない定期昇給まで含めて所得が伸びると言う人もいるので要注意だ。また、ボーナスは上がる一方、6月は、0.7%カット後の最初の年金支給月でもある。

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 公的年金の財政検証の公表から半月が経って、さまざまな評論が出ている。6/19のダイヤモンドO.L.で、野口悠紀雄先生は『現実的な見通しを置くと、年金財政は2039年頃に破綻する』と言われるが、どうしたいのかね。マクロ経済スライドを強化して、年金の所得代替率をひたすら下げれば、「破綻」はしない。問題は、生活水準が低下しないよう、成長を所与のものとせず、経済をどうするかに行き着く。 

 6/24の毎日エコノミストで、東北学院大学の若手研究者である佐藤滋先生は、「年金財政は持続可能だが、そのために給付水準を引き下げていけば、破綻するのは我々の生活」とする。筆者には、こちらの方が本質を突いているように思える。結局のところ、成長や出生を回復させ、経済や社会を立て直すしか道はなく、年金制度をいじるだけで解決のつくような問題ではないのである。 

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 出生を回復させるには、今日の日経に載っているスウェーデンのように、少子化対策に十分な予算を割けば良いことは分かり切っている。それでも、大機の隅田川さんのように、財政が心配で、身がすくんでしまう状態にあるのだろう。ゴールを割るだけの「アイデア」が不足しているとも言えよう。その戦術は、既に基本内容で示しているが、大切なのは、自分達が何を目指すかである。

 財政再建が戦略目標で、そのためならギャンブルもするというのも一つの生き方ではある。しかし、誰もが、それは制約条件に過ぎず、目標としてはくだらないと感じているのに、それに振り回され過ぎのように思う。4年前のW杯で、守るだけでは更なる高みへは行けないと悟り、攻める道へ踏み出したはずだ。それなら、目標へ至るため、その道を走り貫こうとする気概こそが求められよう。

(今日の日経)
 GEとアルストム提携有力。高島屋25%増益。中国の日本国債減らしの怪。個人消費の判断引き上げ、百貨店・スーパー回復。米景気・長期停滞説の波紋。LCCが大陸間に参入。食品スーパー・総菜伸びる。大機・1億人目標・隅田川。スウェーデン・専業主婦率2%。

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