経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の心

2%成長と消費の行方

2018年01月14日 | 経済
 今週は、消費活動指数と消費総合指数が公表され、前者は前月比+0.5と予想どおりだったが、後者は+1.2にもなり、ちょっと驚きだったね。家計調査の消費水準指数(除く住居等)が+1.3だったから、活動指数よりも高いとは思っていたが、予想外だった。これで、10,11月平均は、7-9月期比で+0.5になったので、12月次第であるにせよ、10-12月期の消費は、年率2%成長になる可能性が出てきた。他の需要項目も堅調だから、むろん、GDPも2%成長があり得る。「潜在成長率はゼロ%前半」と言われてきた日本経済だが、3期連続の2%超成長でイメージを一新することになるかもしれない。

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 ニッセイ研の斎藤太郎さんが、また良いレポートを出してくれた。『日本経済のジレンマ~消費主導の景気回復は実現しない~』(1/12)である。内容は、景気回復期において、米国はGDPと消費の伸びがほぼ等しいのに対して、日本は消費の伸びが1%近く低いとし、その要因として、利子所得の低さ、税・社会保障の負担、交易条件の悪化などを指摘する。その上で、消費性向は、むしろ、高まっており、将来不安や節約志向が消費低迷の主因ではないとしている。

 こうした計測の結果は、日本の経済運営の特徴を表しているように思える。すなわち、金融緩和で円安を実現し、輸出主導で成長を浮揚させ、景気が上向いたら緊縮財政をかけるというものだ。こうしたやり方には長い歴史があるが、もちろん、アベノミクスも、その典型である。「政策の総動員」は宣伝文句でしかなく、財政は除かれており、実際、この5年間に収支は大幅に改善した。こうして見れば、消費の弱さに不思議さはなく、政策の帰結ということになる。

 2017年春からの2%成長への加速は、金融緩和の打ち手を失っていたところ、世界経済の回復によって、多少、円安になっただけで輸出が急伸する一方、「世界経済はリーマン並みの危機に瀕している」という的外れな認識で景気対策を打ち、緊縮財政が一時的に緩んだことによる。いわば、間抜けな経済運営が好結果を生んでしまった。むろん、その後は、「正常化」が図られており、2017年度予算は、3年ぶりに補正後の歳出額を前年度比-1.1兆円に絞っている。

(図)



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 12月の消費については、消費動向調査と景気ウォッチャー調査が公表されており、前者は前月比-0.2、後者も-0.2と、ともにマイナスにはなったものの、この数か月上げてきた反動の範囲内であり、水準は高い。そして、雇用関連の項目は、12か月移動平均で見ると、いずれも上昇が続いており、このところの消費性向の回復傾向も保たれそうである。消費動向調査については、全体がマイナスになった中でも、「収入の増え方」は横バイにとどまった点も注目される。

 消費を裏打ちする雇用は、11月の毎月勤労統計の常用雇用が前月比+0.1と低めではあったが、コンスタントに増加しており、四半期では0.6~0.7増えるペースが続いている。他方、現金給与総額は、この半年、足踏み状態にあったものが、11月は、前月の反動もあり、前月比+0.6と伸び、上昇の兆しがうかがえる。これが四半期で+0.3、年率では1.2%へと加速していければ、年率2%の消費増の軌道へ移れる。

 そんな折、11月の景気一致指数は、10年ぶりの水準に達した。11月の鉱工業指数が好調だったため、生産関係の項目の押し上げによるものだ。他方、消費や物価が項目に含まれる遅行指数は、10年前の水準とは、まだ差ある。こんなところにも、消費の弱い景気の様子が映し出されている。世界的には、投資が需要を呼ぶ段階に入り、株高が商品相場に波及しているようで、輸入物価は上がるだろうが、肝心の国内の物価と賃金は、ようやく芽が出たくらいである。

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 やや先走りではあるが、10-12月期は、消費が年率2%に届く可能性があり、そうなれば、他の需要項目の堅調さからして、GDPも2%超になるだろう。3期連続となれば、たまたまと言うわけにもいくまい。しかも、各需要項目が揃う、きれいな形での成長となる。そこまで上手く行っていながら、緊縮型の補正予算を打ち、成長を抑制し、消費を弱めようとするのだから、日本らしさが全開である。消費主導の景気回復は実現しないのではなく、「させない」というのが正しい理解かもしれない。


(今日までの日経)
 新興国債権にバブル懸念。外国人頼み、サービス業の依存度2倍。金利、世界で上昇圧力。景気一致指数、10年ぶり水準。ヤマトHD、値上げで黒字。世界株高、商品相場に波及。財政黒字化27年度に。国債購入減受け円高、111円台。投資が強い需要・Mウルフ。消費者心理12月悪化、値上がり。東芝・のれん3500億円の呪縛。都内・1歳児待機最多。

※東芝は、一つの戦略の失敗が次々に問題を発生させるというプロセスだね。
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1 コメント

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ありがとうございます (斎藤太郎)
2018-01-16 02:39:44
斎藤です。また取り上げていただきありがとうございます。うれしいです。

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