経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

家計調査の順調な結果

2012年04月02日 | 経済
 3/30に公表された家計調査の結果には、うれしくなったね。もちろん、うるう年の影響で上ブレしていることは承知しているが、それを勘案しても順調だ。消費項目別でみても、3%を超えるものが多く、不調なものは、地デジの反動など理由が明確だ。販売側の統計も良いし、消費者物価もデフレが縮小しているという、裏側の証拠もある。統計局は、うるう年の季節調整も試算しているようだから、参考値として出してほしかった。

 さて、なぜ内需が好調なのだろうか。それは緊縮財政をやめたからである。2010年度には、14兆円の緊縮を試みて、後半に景気を失速させ、2011年度は、震災のショックがあったのに、阪神の教訓を無視し、実行ベースでは前年度より緊縮ぎみの財政運営を行った。それがここに来て一服しているのである。

 むろん、歴史というのは、さまざまなことが起こるから、原因を特定するのは難しい。たぶん、日銀がインフレターゲットを導入したからといった解釈も出てこよう。しかし、景気の動きを財政に求めるのは、2010年度以降、一貫した説明が可能なことは強調しておきたい。しかも、本コラムは、後付でなく、事前に読んでいたことも付け加えておく。

 振り返れば、2010年度に、リーマンショック対応の景気対策を一気に打ち切ることをしなければ良かったのである。駆け込みと反動が起こらないよう、徐々に減らすという当たり前のことを怠った。現在、自動車の内需はエコカー補助金が引っぱっているが、これは、打ち切って、いったん落ち込ませたものが復活してきたものである。

 日本は財政出動もするのだが、その撤退は、いつも急激である。この需要管理のサジ加減こそが、経済運営では最も重要なのだが、「財政はいつも大赤字」という先入観に邪魔されるせいか、ほとんど議論に上らない。まして、財政当局が口をつぐむ、補正後の財政規模の動向や税収見通しは、誰も気にしない。財政破綻を叫ぶ人は多いのに、基本を確認しないのは不思議なほどだ。

 日本は、需要管理の状況を見ないから、景気が悪化しても、好転しても、何が理由なのかが分からず、その時々で異なる理由を見つけがちである。また、成長というのは、何かの構造改革で生み出されるとも考えがちだ。経済というものは、水管理をすれば、稲は実るように、需要を安定させれば、自然に成長する。民は、それだけの力を持っているということだ。若い人にはイメージしにくいたとえだったかな。でも、岡部さんの歳なら分かるよね。

(今日の日経)
 景気復調、内需が支え。社説・核燃を見直すときだ。国家公務員採用56%減。住宅ローン曲がり角。核心・成長と財政再建で大連携を・岡部直明。中国製造業、厳しさ増す。古い業務用空調15~25%節電。経済教室・納税なくして国家なし・猪木武徳。

※内需復調は、消費税法案が決定されて将来に安心感が生まれたからと解釈する人もいるんだろうね。※日経らしく、経済的に割りに合わんと、はっきり書いてほしいよ。※これもデフレ促進策なんだが、身を切る改革に国民は大喜びなのかな。※効果不明の成長戦略と増税緊縮の組み合わせとは最高だね。※こういう節電を推したいな。

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