経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

6/10の日経

2012年06月10日 | 経済
 金曜夕刻、原発再稼動に関する総理会見を生中継で見たが、状況や心情を長々と語り、結論がなかなか出てこなかった。そして、理由もはっきりさせない。とても日本人らしい弁舌だった。伊奈さんの言うように、原発にも文民統制は必要だろうが、政治が何を選んだのか、国民に明確に認識させるべきだろう。

 筆者は、大飯原発の再稼動に賛成である。なぜなら、電力不足時の計画停電には、人命にも関わるようなリスクがあるからだ。しかし、今回の再稼動は、電力不足時に限るのではなく、電気代が高くなることを理由にしている。つまり、安価な電気を確保するため、過酷事故への対策が不十分な中で、リスクを取ろうとするものだ。これには反対である。

 むろん、政治判断としては、それもあり得えようが、なぜ、はっきり説明しないのか。おそらく、あからさまにしては、賛同者が減ることを心配してのことだろう。これが文民統制の実態である。「中小企業への影響」うんぬんといった説明もあったが、電気代より遥かに重い消費増税に積極的な政治家とは思えぬ言葉と皮肉りたくもなる。

 また、「私の責任で」というセリフも繰り返されているが、これは、「万一の事故の賠償は政府が負う」と言うようなものだ。これでは、電力会社に、適当な安全対策で済まそうとか、古い設計の原発までも動かそうとかいう悪しきインセンティブを与えかねない。新聞が曖昧なままにしておいてはいけない発言に思える。

 大阪維新の会は夏場限定を主張しているようだが、稼動期間は13か月、点検期間が3か月であるから、来年春の稼動期間の途中で切り上げないと、点検期間が来年の夏のピーク時かかるため、いずれにせよ、期間は限定されるだろう。それとも、途中で止めずに他の原発を再稼動させるのか。高い電気代を避けるのにリスクを取るというのなら、それも可能である。

 安全対策にベストを尽くしたつもりでも、何かしら事故は起こるもので、「この程度で済まそう」という態度では破綻を来たすものだ。コマツの坂根さんは、報告書には、一番上にコンプラ・安全・環境を記載させ、業績は最後に回すと言う。これが企業人たるべきものの姿だろう。もし、総理が「安全対策が整う2年ほどは、高い電気代も我慢してくれ」と説くなら、むしろ、納得させられたのではないだろうか。

(今日の日経)
 スペイン支援の用意、銀行救済へ最大10兆円。原発にも文民統制・伊奈久喜。中国、景気の減速鮮明。スマートメーター・他電力と統一せず。日経ビジネス・坂根正弘の経営教室・見える化が強くする。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 日経CSIS提言を読んで | トップ | サルから見た消費税(1) »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

経済」カテゴリの最新記事