河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

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OCNから2014/12引越。タイトルや本文が途中で切れているものがあります。

1060- サヴァリッシュ N響 ブルックナー第8番1980.3.28

2010-08-30 00:10:00 | インポート


昔聴いたコンサートより。
1980年に聴いたコンサートはこちら
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この日はサヴァリッシュのブル8を聴きました。
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1980年3月28日(金)6:45pm
NHKホール
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ブルックナー 交響曲第8番(ノヴァーク版)
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ヴォルフガンク・サヴァリッシュ指揮
NHK交響楽団
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それでは例によって昔書いたメモの写し書きです。

サヴァリッシュはいつからこのようにロマンティックになったのだろう、と思うほどであった。
白眉は第3楽章であったが、第1楽章から第4楽章までスケールの大きさは変わらず、金管の音響自体を楽しむブルックナーの音楽から、こまやかな弦の響きまでまんべんなく生かされていたように思う。最前列で聴くとサヴァリッシュの気の入れようはものすごいものがあり、特に弦の響きは第1ヴァイオリンの高音の金切音を除けばまったく素晴らしいものであった。
それにしてもサヴァリッシュの作る音楽は少し変わったと思う。ロマンティックで、激しさを増したのではないか。2,3年前に聴いたブラームスの第4番のあたりからそう思っていたが、なんというか音の作りが柔らかになり、またぶ厚さを増したように思う。ショスタコーヴィッチの第14番はまた別の意味で素晴らしいものではあったが。
第一に感じたのは、あるフレーズから次のフレーズへ移るとき、オーケストラが息をするように聴こえたことである。フレーズの最後の方で少しずつ遅くなり、はっと音が止まりまた流れ出す。この感じで第3楽章を歌うその音楽はいつになく素晴らしいN響であった。またそのコーダのホルンの朗々と歌う雰囲気はまさにオルガンの響くヨーロッパの自然にふさわしいものであった。こっちもいつになく感動してしまった。本当にサヴァリッシュの作る音楽は変わったというよりも血が通ってきたと思う。これはまた、N響との仲の良さもあると思う。とにかく安心して音楽が楽しめる。
第2楽章の音を割ったホルンの強奏を許したのもそれが目的のための音作りではないなにかを感じさせるし、第4楽章の爆発的かつ圧倒的な音楽もブルックナーならではのものであろう。
あとはトランペットが一流になり、第1ヴァイオリンの高音部が金切音にならなければN響も一流のオーケストラである。もちろん、日本以外での。
まあ少し気を使ってアンサンブルの乱れを聴くのも、ブルックナーの8番を生で聴くとき、そんなに完璧なオーケストラで聴くのよりもよいのではないか。とにかくサヴァリッシュは僕の持っているレコード(10年ほど前)のような音楽造りはしなくなった。

1980年の頃の感想メモはこんなものだ。そのときに10年前のサヴァリッシュのLPをもっていたわけだから、たぶんブラームスあたりだ。
サヴァリッシュの震えの止まらぬ左手の動きは独特というか抑揚のコントロールとしてはひとつの正解だった。

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