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写真にアップしてある仏EMIのボックスの収録曲は、こんな感じ。
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ベートーヴェン/交響曲全部
ベートーヴェン/プロメテウス序曲
ベートーヴェン/エグモント序曲
ベートーヴェン/フィデリオ序曲
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アンドレ・クリュイタンス指揮
ベルリン・フィル
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昔、セラフィムから廉価盤のアナログディスクが出た頃は、よく、ベルリン・フィルにラテン的な響きを表現させたクリュイタンス。などと言う評論家もいた。
たしかに、例えば第4番第1楽章序奏から第1主題にはいる直前でトランペットを強奏させるやりかたなど、輝かしい響きがしたものだ。ドイツのオーケストラから醸し出されるブラス・サウンド強調はみずみずしかった。
この録音は1957~1960年にかけて、グリューネバルト教会で行われたものだ。当時のベルリン・フィルの響きはいまだ過去になりきらない指揮者のものであったのかもしれない。
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クリュイタンスのベートーヴェンもやはり買ってのお楽しみ。なのであるがちょっとだけ。
第5番が素晴らしい。
団員のやる気満々の気迫が、このEMI特有の曇りがかった録音からわりと生々しく聴こえてくる。
フレーズがこのように束になってうなるのは、オケの意見集約、指揮者のコントロール抜群、音楽への共感、などが俄然一致した結果だ。
録音は少しばかり奇妙。ステレオである。モノフォニックな響きは皆無だが、ティンパニが右端から終始スネアドラム風に響く。コントラバスの定位がよくわからない。など、かなり面白くて、妙に新鮮。
5番の筋で、1,3,5,7,9番がいい、ということでもなく、少しばらつきがある。
タイミング的にはそんなに速いわけでもないのだが、ものによりどうもせわしなくなったりするので、曲想にあった番号のものが自然に出来がいい、となってしまったのか。
いずれにしてもこれをたなざらしにするてはない。
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仏EMIの正規盤について。
これは、一番新しい2006年のリマスタリングである。
これが昔のものに比べていいのかどうかわからない。
EMI特有のうす曇りのサウンド傾向はここでも同じ。
それはそれとしても製品としての作りがいま一つ不満だ。
まずデータがダメ。1957-1960とザックリ書いているだけ。粗末だ。
そしてこのプラケースの作りのひどさ。5枚組であるためかどうか、両面に2枚、爪ではさむ、例の恐ろしく取りづらいもの。
日本人よりも指先が不器用な外国人の場合、このケースから1枚CDを取り出すのが先か、いらいらしてCDを割ってしまうか、どっちが先かという感じである。
本当に粗末な作りだ。安ければ良いというものでもない。安物買いの銭失い、というではないか。
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ということで、実は下の写真も5年ほど前に出た時に買った。
EMIよりさらに安いしろもの。
なにやらオランダの会社らしく、EMIから版権を買った。と書いてある。
曲の収録も全く同じ。
違うのはプラケースではなく、紙ボックスであること、なかのCDも安そうな紙のケースに一枚ずつ直におさまっている。それだけなら我慢できる。
実は音がひどい。
第1番第1楽章の序奏の途中でヴァイオリンの音がめくれる箇所があったので、ヤバイ、と思ったのだが、案の定、全体が、ほこりをかぶったテントの外の嵐のようなサウンドだ。買わない方が良い。
2度も、安物買いの銭失い、したくないよね。
おわり