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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

キョウコのキョウは恐怖の恐

2012-06-01 19:47:44 | 諸星大二郎
諸星大二郎 2004年 講談社
私の好きなマンガ家、諸星大二郎の短編小説集。
今年になってから、古本屋で買いました。
出た当時も、書店で見かけて、すっごい気になったんだけど、“モロ☆は、やっぱマンガでしょ”とか思って、買わずに読まずにいたんだよね。
それが、最近になって、諸星大二郎は、マンガ描く前にシナリオを相当丁寧につくりこんでるらしいって知ったんで、ぢゃあ小説はどうなのよ・面白いんぢゃないの、と思って、探し求めたわけだ。
収録作は、短編五つ。
「狂犬」
ヘンな舞台設定のなか、逃げ場のないところを、わけわかんないもの(狂犬みたいなの)に追いかけられる、諸星的悪夢のような物語。凶子という字を書く「キョウコ」さんが登場。
「秘仏」
穴場だという無名の古寺の、秘密の行事を見に来た主人公たちは、「キョウコのキョウは恐怖の恐」という女といっしょに寺に入っていくことになり、恐ろしい行事のワナにつかまる恐怖を体験する。
「獏」
これに出てくるキョウコは、「狂子」さん。バクを見に動物園に行くんだけど、その存在の不吉さがだんだんクローズアップされてきて、これまた夢だか現だかわかんない世界に入り込む。
「鶏小屋のある家」
そろそろ退職勧告を受けるかもしれないトシの会社員が主人公。一軒家の借家を手に入れるんだが、庭の片隅に鶏小屋がある。住んでしばらくすると、パソコンサイトに自分たちの家は心霊スポットだと紹介されているのを見つけることになる。
「濁流」
定年退職した男のもとに、ある大雨の日に、後輩がひさしぶりに訪ねてくる。ふたりで碁を打ったりしてるんだけど、話はむかし拾い損ねたネコのことや、川があふれたとき流れてきた野良犬の死骸とか、あまり思い出したくない記憶を掘り起こす方向に進んでく。
(後半の二編には「キョウコ」さんは出てこない。)
コメント
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