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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

カブキの日

2009-08-17 23:52:44 | 小林恭二
小林恭二 1998年 講談社
『五七五でいざ勝負』のなかで、小林恭二自身がいちばん気に入っていると答えたのが『カブキの日』。
この少し前から、小林恭二の著作には、カブキについて書かれたものがポチポチ出てたと思うけど、この小説はすごいです。
でも、この小説の面白さを説明するのは、私にはとても難しいです、できません。
物語の舞台は、一応、現代の「世界座」という劇場なんだけど、読んで小説の世界に入り込んぢゃうと、いつの時代かどこの場所かわからない迷宮のなかを引っ張りまわされる感じになります。
主人公の少女・蕪と少年・月彦の駆け回るがままに、読んでいくとすごいスピードでアタマんなかがグルグルします。
(アタマんなかがグルグルするというのは、私が小説に与える最大級の賛辞のひとつで、古くはミヒャエル・エンデについての何かの評であったと思うのの流用。)
要は最後にはカブキの神が降臨するって感じなんだけど、なんというか読んでて自分の目の中には映像がキラキラと浮かんではくるが、実際の映像化は(映画とかにするのは)できないだろーなって類の描写です。

独自の世界の不思議な物語という点で、テイストは違うけど、ガルシア・マルケスを読んだときに通ずるものあったなーと、いま唐突に思った。
コメント
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