夕食後、伴侶と散歩している。
ご近所を30分くらいぐるぐる回る。
5月のある夕方、久しぶりに団地の奥の方まで足をのばした。
そこで「おや?」と思う家を見かけた。
庭の桜木立が道路の半分くらいまでかぶさっている。
やけに緑豊かな家だなと思いながら近づいた。
えっ?
生垣がうっそうとしていて、中を見るのが困難だ。
その生垣の間から雑草がぼうぼうと伸び出ている。
思わず伴侶といっしょにすき間を探してキョロキョロとのぞき込んでしまった。
庭があるのかないのかも分からない。
玄関を見ると、門扉が固く閉じている。
階段に枯れ葉がどっさり積もっている。
かろうじて見える玄関までが覆い茂った木でトンネルのようだ。
こりゃあ、だれも住んでいないな・・・
表札はあるけれど・・・
「家の人が入院した?」
「もう何年も帰っていない?」
「いや、とっくに亡くなって、家はそのままか?」
「跡継ぎはいないのか?」
「ん・・・」
伴侶とミョ~に盛り上がってしまった。
いや、それは失礼だ。
早歩きでその場を離れた。
「わが家は早くに息子に託そう!」
「売るなり、住むなり、自由にしてもらおう!」
帰り道はわが家の行く末話になった。