風音土香

21世紀初頭、地球の片隅の
ありをりはべり いまそかり

2.26事件前夜と今の日本

2015-02-27 | 世界・平和
NHK-BSプレミアムにて昨夜放送された
英雄たちの選択~2.26事件前夜!高橋是清 決死の攻防
(再放送は3月6日午前8時~NHK-BSプレミアム)
日露戦争債償還に四苦八苦し緊縮財政を行っていた
当時の日本を襲ったのは、予想もしなかった世界恐慌だった。
それに敢然と立ち向かう高橋蔵相が断行したのは
世界基準だった金本位制からの脱却と日銀による国債買取という
相当な禁じ手ともいうべき手段。
「民の力こそ国の力」という信念に基づいた荒技だった。
円は暴落したが、円安によって生糸などの輸出産業が好況に転じ
産業界は息を吹き返した。
掟破りの金融緩和によって日本経済は持ち直したものの、
一方で都市と地方の経済格差拡大という弊害をもたらした。
そして軍部の台頭。
中国での紛争を勝手に拡大しはじめた陸軍は
更なる国債発行による軍費増額を迫るが、
インフラを回避すべく、高橋は禁じ手を収束させようとした。
その結果が2.26事件だった。
言うことを聞かない高橋を抹殺すべく
軍上層部は密かに若手将校たちをそそのかし、
格差に喘ぐ地方出身の若手将校達は義憤にかられて高橋を暗殺した。
それが泥沼の太平洋戦争への初端となったのは周知の通り。
(その歴史的検証は国としてなされたのだろうか)

不況とデフレからの脱却を図るための大規模金融緩和?
円安による輸出産業拡大のメリットと格差拡大のデメリット?
ごく最近どこかで聞いた話だ。
「軍の存在が大きかった当時とは違う」と思ってはいけない。
現代日本の防衛は軍が暴走しないよう文民統制を原則とし、
背広組が制服組を管理する「文官統制」を行ってきた。
つまり選挙で選ばれた政府・内閣が
いわば戦前当時の政府と軍、両方を兼ねている形だ。
選挙で勝ちさえすればある意味やりたい放題。好き勝手ができる。
もうひとつ心配な動きもある。
「文官統制を無くそう」という動きだ。
防衛省自らが防衛省設置法改正を検討しているとの報道がある。
そうなってしまうともう統制は効かない。
「いつか来た道」そのものになってしまう。

NHK会長については様々問題が指摘されているが
同社内では会長に対するレジスタンスがあるのではないかと
最近の番組を見ていて、そのメッセージを強く感じる。
この番組もそのひとつ。
歴史的事実を取り上げつつ、現代に警鐘を鳴らしてくれている。
社内で戦う彼らにエールを送りたい。
コメント
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