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あまり省みられない「大学教育の理念」について

2009-04-19 23:41:42 | 読書ノート
金子元久『大学の教育力:何を教え、学ぶか』ちくま新書, 筑摩書房, 2007.

  日本の大学教育のあり方について、大学内部からだけではなく、社会の変化も考慮して議論した著作。「おわりに」にあるように、あくまでも大学関係者向けの内容である。

  大学院に進むものは「学者」になるように訓練を受けるので、院卒の教員(大半がそう)が大学に籍を置く意義の第一は「研究」で、「教育」は二の次だということになりかねない。しかし、この本によれば、そうした考え方が普及したのは、近代のドイツの大学の影響であって、決して普遍的なものではないという。一方で、アメリカの大学が、リベラル・アーツ教育と研究志向のバランスに苦慮してきたことも記されている。

  後半は、日本の大学教育の現状と課題の分析・提言となっている。どこの大学でも、教育方法や学生の管理で試行錯誤をしているようだ。今のところ大学間での比較が盛んではないので、採用した方法が良い結果を出しているのかどうかよくわからないというのが実態。比較ができればねえ…。
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