南批都麻島と印南別嬢のロマンス
奈良時代に書かれた『風土記』に、南批都麻島(なびつましま)が登場します。「ナビツマ」の物語をしましょう。伝承としてお読みください。
奈良の都から一人の役人が、加古の里に派遣されてきました。
彼は、里の女性と結ばれ、女の子をもうけました。
名を印南別嬢(いなびのわきいらつめ)といい、美しい女性に成長しました。
この噂は、時の天皇(景行天皇)にも聞こえ、妻に迎えるため加古の地へやって来ました。
別嬢の胸が高なりました。どうしてよいか分かりません。“南批都麻島”に身を隠しました。
加古の松原に着いた帝は、別嬢を探したが見当たりません。
そのときです。島に向かって、一匹の白い犬が寂しげに鳴いていました。天皇は「誰の犬か」とたずねると、土地の人は「別嬢の犬である」と答えました。
天皇は、舟をつくり島に渡たり、そして別嬢と幸せな生活を始めました。
これは物語(伝承)ですが、研究者は、ナビツマ島は実在し「加古川の堆積により出来た三角州であろう」と結論づけています。
地元では、印南別嬢(いなびのわきいらつめ)を祭ったのが、高砂市荒井町小松原の御所殿神社(ごしょどのじんじゃ)であると伝えています。
場所は、荒井町3丁目小松原ですが、この辺りは迷路のようで捜しにくい場所で、見学するには住宅地図が必携です。
神社に説明板がありましたので一部を読んでおきます。
「・・・風土記に見える景行天皇(けいこうてんのう)が印南別嬢命(いなびのわきいらつめのみこと)を求婚される舞台となった南批都麻という島が荒井を中心とするこの地である。・・・」
きっと、このあたりに南批都麻の島があったのでしょう。当時の風景を想像ください。(no3853)
*写真:御所殿神社(ごしょどのじんじゃ:印南別嬢命を祭ったという神社・高砂市荒井町小松原)
◇きのう(1/24)の散歩(13.867歩)