八幡町上西条・中西条は、加古川に近いにもかかわらず十分な水が得られなかった。
そのため、村の南の印南野台地のくぼ地に池を造り、その水を使っていた。
猫池は、享禄4年(1531)、当時の沼田若九郎等が指導し、村人と共に造ったと伝えられている。
猫池の水は、その後上西条・中西条に大きな恵をあたえた。
しかし、台風や大雨の時には、しばしば堤防が切れ、田畑や民家を押し流した。
いつしか、猫池に伝説が生まれた。
村人は、堤防が切れない方法はないかと考えたが、いい考えが浮かばない。「人柱を・・・」という意見もあった。
そんな時である。「猫を堤に埋めると堤が切れなくなるであろう・・・」という神のお告げがあった。
そこで、猫八匹を堤防に埋め、大がかりな工事を完成させた。
以来450年間、堤防は切れることなく満々と水をたたえていると云う。
もっとも、猫池は形があたかも猫が横たわっているようにみえる。そのため、いつの頃からか人々は、猫池と呼ぶようになったと思われる。
猫池の伝説は後から作られたものだろう。
*『ふるさと・やはた』(加古川農業改良普及所)参照、写真は猫池。