中村旅館・最後の夜
加古川飛行場(加古川市尾上町)に降り立った特攻隊員は、最後の夜を中村旅館(県道小野線の国道2号線と寺家町商店街の中ほどで、道路の西側)ですごしました。
中村旅館は、戦時中陸軍の指定旅館でした。
現在は、更地になっています。
加古川から知覧(ちらん・鹿児島県)へ飛び、そこから特攻に出撃しました。
*海軍の特攻は鹿屋から出撃しました。
特攻隊員にとって、中村旅館の夜は、最後の安息の場所でした。
その夜、特攻隊員は、お互いに、何を話たりあったのでしょう。・・・
当時の様子を知るUさんの話では、「特攻の話などは全くなく、不思議なほどでした」と話しておられました。
隊員たちは、遺品を残されています。
写真の「断」とかかれた血染めの書もその一つです。
誰かに宛てた書ではありません。
「断」は、何からの断であったのでしょう。
この世からの「断」であったのでしょうか。
家族、あるいは恋しい人からの断であったのでしょうか。
すべてからの「断」であったのでしょう。
最後に書いた「断」は、彼の足跡をとどめています。(no5041)
*特攻隊員の多くの遺品は、現在、鶴林寺で保存されています。
*写真:特攻の碑(現在、鶴林寺)と特攻隊員の書いた「血染めの書」