浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

沈黙

2016-02-23 22:46:39 | 社会
 日本社会は末期症状を示している。正義、公正、善悪・・・・・などの倫理的な基準がまったく失われている。

 今朝書いたように、『朝日新聞』は「慰安婦」問題で「誤り」であったと思われる吉田証言(これがまったくの虚偽であったと証明されているわけではない)を否定し、公正な姿勢を貫いた。しかしその結果、それが国際社会で大きな問題になった起爆力になったと、さらに批判された。まったく事実ではなく、その批判は正当な根拠をもたない。「慰安婦」問題は、日本政府などがいくら否定しても、歴史的真実として、国内外の多くの女性が兵士たちに「性」を強要されたのである。

 その後『朝日新聞』は、この問題に“沈黙”を貫いている。しかし不当な批判は消えることはなく、政府高官さえ国際会議で広言するという事態になっている。“沈黙”が、『朝日新聞』の立場を悪くしている。

 さて、甘利もと大臣とその秘書が「口利き」、「あっせん利得」の行為におよんだことは、それに関わった人物の録音記録などによって明確になっている。しかし、甘利元大臣らは“沈黙”を貫いている。彼らにとっての「嵐」が去ることを、“沈黙”することによって、待ち続けている。実際、マスメディアの報道は少なくなっている。おそらくこのまま“沈黙”が続けば、人びとの記憶から消えていくだろう。

 “沈黙”が、それぞれに逆に働いている。『朝日新聞』はそれがマイナスに働き、甘利元大臣らにとってはプラスに働いている。

 なぜそうなるのか。それは政治権力の問題だ。

 政治権力が、まさに正義、善悪、公正・・・などの倫理観を一切持たず、政治権力をきわめて恣意的に行使しているからだ。甘利元大臣らの動きは、本来なら、検察などが動き出さなければならない事案であるにもかかわらず動かない。まさに安倍政権、自民党・公明党などが担う政治権力が確実に一元化し、法治主義を放擲し、独裁的な政治手法で権力を行使しているからだ。
 その意味で、ボクは今の日本は「末期症状」であると断じるのだ。そしてその「末期症状」を改善する政治勢力は、現れていない。
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2 コメント

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私は思う (能天気)
2016-02-24 01:48:27
マスコミのトップが、権力者と食事をするのはアウト!新聞記者などが権力者と食事をするのは、情報を得るという意味では許されるかも?
 市民が政治家に丸投げするのもアウト!絶えず要望や意見などコンタクトをとることによって、プレッシャーを与えないと、権力は暴走すると思っています。
朝日は沈黙していない (水戸潔)
2016-02-29 17:26:52
◇朝日は沈黙していません。16日の国連女性差別撤廃委員会における杉山外務審議官の発言(朝日バッシング)に対し、即座に外務省に抗議、19日朝刊で報道しています。しかし、他のメディアが全く冷淡であることが問題だと思います、他のメディアもかって同じような報道をしていたのに。

◇日本という国が、倫理基準を失っているという洞察は全く同感です。甘利氏の辞任で安倍内閣のイメージが変わったかという問いに対して「変わらない」が61%で、その理由は「安倍内閣の政策とは関係ないから」が45%で最多とのこと(⒉/29発売 AERA)。愕然とします。安倍内閣の支持率が変わらないのは、案外ここらあたりにあるような気がします。

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