浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

「築地再開発」

2024-05-19 13:08:51 | 社会

 『週刊金曜日』5月17日号は、なかなかの文が並んでいる。

 まず第一。佐々木実氏の「築地再開発の事業者決定 『読売』の軍門にくだった『朝日』」である。築地市場が豊洲に移転した跡地をどうするのか、という問題で、東京都はその再開発事業者に三井不動産を中心とする企業連合に決めた、という記事。

 この三井不動産は、神宮外苑の「開発」にも関わっている。みどりの少ない東京都、この「開発」により、さらにみどりを減じる。悪魔のような資本主義の先頭ランナーのような三井不動産が走り出すと、三井不動産にカネは集まるかもしれないが、それにより庶民には失うものが増えていく。

 さて、佐々木氏によると、三井不動産と読売新聞社は「蜜月関係」にあり、この築地再開発だけでなく、神宮外苑の「開発」にも両社が関わっているという。『読売』は公共的なメディアではなく、すでに私企業としてそうした方向でカネ儲けをしようとしているのだ。

 築地の再開発では野球場がつくられ、巨人軍の本拠地となるようだ。

 先ほど、築地再開発に三井不動産を中心とする企業連合と記したが、そのなかに『読売』が入っている。『読売』だけではなく、『朝日』も入っている。『朝日』はすでに同紙購読者の減少のなか、不動産事業などに重点を置き始めているようで、今回の築地再開発でもそれを狙っているという。

 佐々木氏の文には、言外に「あの『朝日』が・・・」という感慨があるように思う。たしかに、『朝日』には優秀な記者がたくさんいた。しかしそれは過去の話である。最近も多くの記者が『朝日』を去った。『朝日』はあたかもリベラル勢力の旗頭であるかのような位置を持つときもあった、しかしその歴史をひもとくと、『朝日』はリベラルな人びとに依拠している時期も断続的にあったが、最終的にはときの政治権力の軍門に降ることを是としてきた。戦時下、60年安保闘争の時・・・・・・・すこし振り返るだけでもいろいろ出てくる。

 そして一旦変質すると、『朝日』は変質した方向でがんばってしまう。たとえば、戦時下、画家のほとんどが軍部に協力して戦争画を描いたが、その展覧会を率先して開催していたのが『朝日』であった。『朝日』なくして戦争画の展覧会はない、という状態であった。

 『朝日』には、本多勝一はじめ錚々たる記者がいた。「いた」という過去形で書くが、おそらくその最後が外岡秀俊氏であろう。田畑書店から『外岡秀俊という新聞記者がいた』が出版される。私も注文したひとりである。

 変質『朝日』は、その方向で、今後、がんばっていくことだろう。その方向とは、ジャーナリズムからプロパガンダへの道である。がんばって欲しい、戦時中のように。

 

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