浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

美しいことば

2017-04-03 22:08:45 | その他
 一昨日と昨日は新東名で東へ。昨日帰りは掛川付近まで雨が降っていたが、それからは晴れ。走っていると赤い太陽が時々前方に見えた。なかなか美しい太陽だったので、しっかりとみたいと思ったが、磐田原台地から降りていけば視界がひろがりしっかりと見られると思っていたら、そこに着いた時にはもう太陽は沈んでいた。残念。

 今日は、電車で静岡へ。電車では、鶴見俊輔『身ぶりとしての抵抗』(河出文庫)を読む。

 帰途、とても美しい文に出会った。

 言葉が人を深く動かすとき、その言葉は水源に痕跡をのこさない。(88)

 鶴見俊輔が同志社大学の教員だった時、大学にもとハンセン病の白系ロシア人が訪問してきた。しかしそのとき鶴見は留守で女子大生が応対した。彼はずっと待っていたのだが、なかなか鶴見は帰ってこない。その白系ロシア人はたいへん疲れていたように見えたので、彼女は自宅に泊めるようにした。鶴見が大学に帰るまで待っていた彼女は、「今晩、お泊めします」。まだハンセン病への偏見が強かった時代である。鶴見は、彼女の対応に「ぶたれたように感じた」。

 そして30数年後、鶴見は彼女に会った時、この話をした。しかし彼女は、それを覚えていなかった。

 そこに記されていた文が、上記である。


 この本は、いまだすべてを読んではいないが、最初からいろいろ刺激を受けた。とてもよい本だ。
コメント
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