あかまど(仮)

net初心者で自称ソフト技術者。Gamer属性。netは人の望み?それとも?

戦場のヴァルキュリア。至近距離のヘッドショット。

2008-04-25 21:59:01 | games
ものの弾みでPS3が家に来たので、SEGAのゲーム、「戦場のヴァルキュリア」をやってみました。

水彩画風シェーダーの描画とか、戦闘のシステムとか、いろいろ画期的とか思ったのですが、何かを思い出しました。
サクラ大戦です。
サクラ大戦が「舞台が低学年向けで、システムが全年齢向けで、演出は大きい男の子向け」だったのを、「舞台とシステムが高学年向けで、全年齢向け演出」にした感じでしょうか。


戦闘のシステムが特に、サクラ大戦の巴里歌劇団以降のによく似ています。
索敵のシステムがかなり熱くて、そのためにまき戻しこそできなくなってるものの、

・非ヘックスの、かなり自由な移動システム
・1ターンあたり攻撃は原則1回
・攻撃の替わりにすごい量のHP回復ができる
・友好度と、それに伴う問答無用の強さの連携攻撃
・でも、油断するとあっさり負ける

あたりが、連想させるようです。ちょっと調べたら、サクラ大戦を作ってた人が作ってるようでした(参考: ファミ通.com:『戦場のヴァルキュリア』の魅力を開発陣が語る!)。

戦場のヴァルキュリア。
サクラ大戦よりは戦術的なことがかなり練りこまれてる感じです。援護とか奇襲とかがかなりうまく表現されてると思います。
ターン制ですが、「遮蔽物から遮蔽物への移動中に敵射線上を通る場合に攻撃を受ける」なんてシステムが、ボードゲームとかリアルタイムシューティングゲーム以外でうまく表現されたのは、わたしの知る限り初めてです。しかも臨場感を持って。
絞り込まれた兵科で、いわゆる「シミュレーションの3すくみ」が明快になってたり、「戦車のあまりにわかりやすいけど単純には狙えない弱点」とか、部隊の各員を配置して動かすことの意味が、明確に、おもしろくなるように作られてます。


ゲームは「ものすごく意欲的」で、「しかもうまくまとまってて」、なにより、「おもしろい」です。キャラクターもそれぞれアクがあるけど、ムリはあんまりなくて、いい雰囲気です。

…が、どうしても「落ち着かない」ところがあります。
端的には、人に手放しで薦めていいか、ちゅうちょするところ、でしょうか。
うーん。何でしょうね。世界観?
一つだけ上げるなら、「国民皆兵制度」かなぁ。

最初のシナリオは「自警団の若い女の人と、避難し遅れた大学生が、威力偵察?に来た敵兵を銃で撃ち殺す話」です。
15歳だかから、予備役兵として訓練を受けてる世界の人たちなので、実戦経験ない自警団でも、魚に夢中で周りが見えない大学生でも、突然の戦闘で動くものに弾を命中させるとかそういうのはおっけーですし、生き物を殺すのに躊躇ないのも、まだいいです。
ここでは、敵兵の死体を前に、哀しんだりしてて、共感しやすいのです。
が、以後のシナリオも生身の敵歩兵を撃ち殺す話が続きます。多分、システム上、最後まで続くのでしょう。

敵兵は、カブトで顔はわからないですし、ヨロイこそ着てるものの、生身です。至近距離で銃で撃ちあって、撃たれると血がたぱたぱ飛びます。

血がなければいいか、といえば、昔のアメリカ輸出格闘ゲームみたいに、「血が赤くなければおっけー」とか、「とりあえず敵はニンゲンじゃないからおっけー」とか、あるいは「登場人物は全員18歳以上です。」とかいうのも何か安易とは思うのですが、
19歳のフツウ(と、演出されてると思われる)女の子が、「敵兵を至近距離でヘッドショット(頭部を撃つとクリティカルヒットが出る)でガッツポーズで「うんっ!」」は、どうなんでしょう。画面にこそ出てきませんが、きっと脳漿とか飛び散って返り血も浴びてます。

あるいは、そういう人だからこそ義勇兵団で前線に立てるのであって、そうじゃない小市民もいっぱいいて、そういう人は後方支援してるという設定があるのでしょうか。
わたしは徴兵制がない国で育ったので、ゲンジツが見えてないでしょうか。兵役のある国、たとえば韓国の大学生とかだったら共感するとこでしょうか。
あるいは、ああ、この子は戦場でこうして虚勢を張ってないと心が崩れてしまうんだとか、そういう風に読み取るべきなんでしょうか。

昔で言えば「ドラム缶誘爆で対戦相手を肉片に変えたり、ピンクの牛をチェーンソーで切り刻む音」とか。
最近だと、
「落とし穴に落ちてのた打ち回ってる飛竜に身の丈より大きい剣を全力で叩き込むとか、死ぬ直前に痙攣するブルファンゴ」とか。
「チェーンソー付きアサルトライフルでゾンビっぽい何かをずぶずぶ切り刻む」とか。
「敵兵にディスクグレネード撃ち込んで時限装置発動まで足掻いてるところにさらにショットガンで爆死させたりとか、戦車の装甲も撃ち抜くような大砲を人に向けて撃ってみたり」とか。
そういうのにはそれほど抵抗ない、というか、わくわくしないこともないわたしが言うことではないですか。


ガンダムの第一話が、「アムロが見つけたのがモビルスーツじゃなくて、兵装強化ノーマルスーツで、暴れてる工作員をマシンガンで銃撃して力づくで呼吸器のパイプを引きちぎって、逃げるところを後ろからサーベルで文字通り真っ二つにしたり、心臓を突き刺して殺す話」だったら、どんなだったかなぁ、とかそんな感じです。

どうせ殺してるんだから、あんまり変らないですか。

これこそが「リアル」で、「リアル」じゃないものの方が、教育上よろしくないのかも知れません。
ゲームとかアニメとかラノベとかの、そういうとこを暴かれた気分になるのが、オブラートを剥がされたような気分になるのが、「落ち着かなさ」の原因かも知れません。

大戦略とかは抵抗なくてこのゲームに抵抗があったり、unrealなのに抵抗がなくてこのゲームに抵抗がある、というのは、没入感の考え方の違いな気がします。

このゲームは、良くも悪くも没入感があり、それが、「これと似てて、慣れ親しんでいるけど没入感とはちょっと違う、眺めて楽しむ方向の世界」と「同じでない」あたりが、抵抗感、「落ち着かなさ」の正体かも知れません。
物理シミュレーションとか社会シミュレーションばかりがリアリティではないのです。
あるいは、このゲームも眺めるようにプレイするのが今風な流儀なのかも知れません。ゲンジツに対するのと同じように。

平成仮面ライダーとかの世界を、眺めるんじゃなく没入して見てるような世代の人が、このゲームにどんな評価を下すのかは、興味深かったりもします。


SEGA: 戦場のヴァルキュリア

Diska


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