キュヴェ タカ/cuvee taka 「酔哲湘南日記」

新鮮な山海の恵みを肴に酒を吞み、読書、映画・音楽鑑賞、散歩と湘南スローライフを愉しんでいる。 

大寒

2020年01月20日 | Weblog
今日は大寒の入りである、入りってのもちょっと変だが、季節を24節で分けるというのも12か月で分ける二倍の観察力を要し、72候ときたらさらに細分化して季節を分けるのだから鋭敏な観察力と感受性が必要とされる。
ちなみに72候では、蕗華さくとなり、蕗の薹が出てくるころとなっているが、ちょっと早いような感じがしなくもない。
でも、一番寒い時に春の兆しがはっきりと示されているところに時のうつろいが重層的であることを示していて、吉田兼好の「徒然草」にもそんな段があったでしょ、寒くて嫌な時期に希望を与えてくれるじゃないですか。
僕が暦に関心を持ったのは、2015年に関内の駅ビルにあった「芳林堂」で昼休みに新刊書を眺めていて、しかもある一定の時間を費やしたら、その成果として何か買わなけりゃ時間の無駄と考え、ちょうど懐具合に余裕があったものだから、文庫本にしては高価な夏生一暁「日々の歳時記」1,600円+税を購入したのが切っ掛けだ。
堅苦しくないこの本を気に入り、俳句など無縁であったが、枕頭に置き気が向くと眺めていたので、自然に毎日書かれている24節72候に馴染んだ。
1年を24節に分けているから、大体15日で一つの節が終わり、大寒の終わりは言わずと知れた立春で、境目に節分がある。
近頃CVSの陰謀で恵方巻と称する太巻きが大々的に発売されるが、こんなもの湘南にあった風習ではなく、古くはクリスマス、バレンタインデー、ハローウィンと同じで、ケーキ屋、チョコレート屋、南瓜屋の陰謀であることは明らかなのだが、日本人は古い伝統と習慣を捨て新たな習慣に向かいたがる傾きがあるねえ。

昨日は朝から良く晴れて、菜の花ウォークのスタンプラリーに乗っかって川匂神社と二見記念館まで歩いた。
途中垣間見た富士が綺麗だったので、川匂神社の裏山に上り富士と丹沢を眺めたが、雪を抱いた冬山はいいねえ。
帰りに「ティグレ」でバケットを3本買って帰って、昼はサンドイッチにして食べた。
何故か妻が作っているハムがなく、我々が散歩をしている間に出来合いのロースハムをマサで買って来たらしい。
僕が栽培したリーフレタスを妻が引っこ抜いてきて食べたが、よく育っていて美味かった。
肥料は液体肥料と固形肥料を使っているので有機栽培とは言えないが、農薬は使わず、毎日のように水やりをした甲斐があった。
有機肥料を使いたいのだが、以前農家が造った牛糞の堆肥を庭に撒いたら、そこに含まれていた牧草の種が庭中に蔓延ってしまい、退治するのに5年もかかった苦い経験があり、鶏糞の堆肥を基本に少量の化学肥料を使っている。

午後は七沢の母のところへご機嫌伺いに行った。
リハビリの最中で横手出身のオネエサンが曲がった足の指を矯正するのに、手作りでスポンジを切って矯正具を考えてくれていた。
この子も25歳で姿が中々魅力的なんだけど、加えてすごく優しい、近頃の女の子は僕が若かった頃より、いい子が多いような気がする。
失われた20年を生きて来たからなのかなあ。

相撲は炎鵬が遠藤に買ったのに会場がたいして盛り上がらなかった。
解説の舞の海が遠藤の優勝に期待をかけていた人が多く、複雑な気持ちだったのではないかと分析したが、その通りだよ、一度遠藤の優勝を観たい。

夜は温豆腐、菜花のお浸し、カリフラワー、かに玉で「大山樽酒」「高砂純米」を燗して呑んだ。
豆とシャトーボーロンXOを持って母の居間に行き、音楽を聴いて10時の「贋作 男はつらいよ」を観た。
本歌取りになっていて、本歌のほうをそれこそ暗唱できるくらい観ているので、台詞の変化やプロットの変化も面白く、渥美清の啖呵売に対して桂雀々が落語を畳み込むように語るところも趣がある。
日本人なら古今集くらい暗証できても罰は当たらないのに、「男はつらいよ」を4回も5回も繰り返し観ているのですっかり覚えちゃってる。
色事はしないが女に惚れる寅は、ある意味現代の光源氏で、この映画を「源氏物語」と考えれば、新しい日本人の嗜みを持っていると言えなくもない。
本歌では日本画の先生が宇野重吉なので、それだけを観ていてもうっとりする。
贋作では田中泯で存在感と味わいがあると思っていたが、やっぱり宇野重吉にはかなわないなあ。
本歌で太地喜和子が演じた芸者を、贋作では田畑智子が演じている。
本歌取りは本歌を越えられないものだが、個人的には好みじゃない太地喜和子のほうが良かったなあと今にして思う。
来週で終わりらしい、つまんない。

零時10分からの「映像家研には手を出すな」はまあ面白いけど「夜は短し歩けよ乙女」が圧倒的に面白かったので、ちょっと普通ぽい展開と25分くらいしかやらないので物足りない。

我がイナリヤト食文研のワインとビールはこちらからご覧になれます
コメント
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