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キュヴェ タカ/cuvee taka 「酔哲湘南日記」

新鮮な山海の恵みを肴に酒を吞み、読書、映画・音楽鑑賞、散歩と湘南スローライフを愉しんでいる。 

ピメカヴァへの旅 Ⅷ

2007年09月30日 | Weblog
9月18日最後の訪問は、陽気な還暦を迎えたオヤジ、ピメカヴァ副会長ジョルディさんのカーヴ、ボイーガスです。13世紀に建てられた家が残っており、ワイン造りは600年前からやっている歴史のあるメーカーです。セラーでアルガマサという古いセメントの一種で表面を固めた、竪穴式発酵穴を見せていただきました。木、セメント、鉄、ステンレスと発酵容器の素材の変遷を了解しておりましたが、その前に土があったとは吃驚です。貴重なものを見せていただきました。ちなみに出来たワインは地下道を通ってだいぶ先の森の出口まで行き、そこからは牛だか馬で村まで売りに運ばせたそうです。そのころのワインは白黒ブドウを混醸して、ボルドーのクラレットのようなものを造っていたとのお話しでした。

ここの特徴はエノツーリズムを積極的に行っている事です。1929年より敷地内に教会を持ち、結婚式と披露宴を行なえる設備を持っていて、年間15,000人を受け入れているそうです。そこで消費されるワインの量は馬鹿に出来ないですし、直売ですから利益率も高そうです。

メルロの畑で栽培方法を詳しく説明いただきました。ラボレオと言われる草生栽培、効果の程は既に皆さんご存知でしょうが、ブドウとの競合があり根が深くはる、土壌の流失を防ぐ、水分保持の効果がある等々。デスオバールと言われるキャノピーコントロール、風通しを良くし日光を直接果房にあてることで黴系の病気予防などの効果と農薬散布料を減らす効果があるといわれておりますね。アクラレオと言われる摘房、収穫量を調整して品質を高める効果があります。収穫の時期についてはタンニン量と色素を分析して、値が頭打ちになった時がそのタイミングらしいです。昔は種を齧り中が黒っぽくなってきたら完熟のサインと判断したとのことで、実際やってみると種の中は茶色っぽくなっており、今が収穫時期だとのことでした。

試飲ワインの中に昔ぺネデスの主流黒ブドウであった、スモイと言う今では珍しい品種で造られたロゼがありました。ここでは1964年に接木をしたために現存しており、我々の畑を見たいという強い要望で、薄暗くなったぶどう園に逆戻りして、この幻の品種を手にとって見る機会を得ました。株仕立てで古木になっているので見事な姿、果房は大きくびっしりと粒が詰まっており、本来農民が持っていた畑からどれだけ沢山収穫が出来るかが腕のいい農民の矜持であった時代、このブドウがどれほど農民の誇りを満足させたかと思いを巡らせるに充分豊満な房でした。私も大きな房を下から支えていると、何故か笑みがこぼれてきました。昔取り扱っていたヌードビールのキャンペーンで来日させた、モデルのアメリカ娘の巨乳を持ち上げた時の感覚に似ていました。ちなみにかつてのぺネデスの二大品種は、白がチャレロ、黒がこのスモイで、先程竪穴式醸造穴のところでお話したように混醸してワインとしていたようです。

このボイーガスは、ピメカバからいただいた資料の地図で下見をすると、加盟メーカーの中では一軒離れて最北端に位置しており、山の上、冷涼な気候、酸が強い、エレガントなスタイルと勝手に都合の良い想像を働かせておりました。また訪問メーカー最後にあたり、残り物には福なんて思ってみたりもしていました。さて実際に試飲をしてみると、今まで試飲を重ねてきていたメーカーのカヴァのスタイルとはかなり違い、ブルット・ナチュレ・レゼルヴァ、グラン・レゼルヴァ共に黄金色に輝く色合いをしており、味わいが深く奥行きがあり、グランレゼルヴァには古香がたち、期待通りのカヴァである事が分かりました。スモイは赤に醸すと核が熟れ切らず、グリーンなところが残るのでロゼに醸し、ちょっと変わった感じのスティルワインになっています。その希少価値で面白いワインなのですが、その面白さを楽しむには少し高いかなあと思われます。

メイドさんの手料理の夕食を楽しくいただきました。ここでもハモンが前菜に出されましたが、この辺りでは、いや世界中多分そうなんでしょうが、昔農家は食べ物は全て自給自足を旨としており、このハモンでさえも例外ではなく、豚を飼って初冬に殺し保存食としていたとの事です。実はこのの件は、前週受講したスペイン・グルメ・フェアのハモン・セラーノ・セミナーでもお聞きいたしました。家族みんなが集っての、お祭りのような高揚感を持った儀式だったようです。この夜テーブルに出されたハモンは肉屋さんで購入なさっているとは思いますがね。ぶどう園の周りに植わっているオリーブの収穫も、かつては一家総出の楽しい行事だった事でしょう。ブドウの収穫も同列なのでしょうが、量が量だけに喜びよりも苦痛の方が大きいのかも知れません。収穫とワインの仕込が終わり、新酒を楽しむころは、大変な労働の終わりだけに喜びも一入であろうことは、収穫祭の乱痴気騒ぎを見れば瞭然とします。

我々の食事は乱れる事無くオルホをあおって終わりを告げ、一気藹々と帰りのバスに向かい、一日の日程を無事終了いたしました。

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ピメカヴァへの旅 Ⅶ

2007年09月29日 | Weblog
ピメカヴァへの旅もだんだん記載が長くなってきて、いつ終わるんだと不安になってきている方も居られるのではないでしょうか。しかし旅はいつかは終わるもので、この旅にも終わりがあります。しかしながら未だ旅の途上、嫌がらずにいま少しお付き合い願いたいと思います。

9月18日朝一の訪問が終わり次に向かったところは、有機栽培を手がけているカステル・デイジ、600haの広大な土地を有し、内200haを有機栽培、80haをカステル・デイジとして販売しています。石灰質、粘土質、岩盤の3つの土壌があるとの説明です。年間150,000本をリリースしております。半分がカヴァ、半分がスティルワイン。

街道沿いにワインショップを併設したセラーに到着したのがお昼時でしたので、オーナーのアン・マリーさん手料理のカタロニアの典型的なお昼をいただきました。浅学にして料理の名前を知りませんが、ピーマンにオリーブオイルを塗り180℃で50分グリルして皮をむき、オリーブオイル、ヴィネガー少々、塩で味付けしたやつが、とろっとして甘くて美味かったですね。タマネギ、鱈の解した身、トマト、オリーブをマリネしたやつもタマネギの刺激的な味わいが堪えられなかったです。他にジャガイモのオムレツ、ハモン、ソーセージ、チーズをいただきました。アンマリーさんはすっかりカタロニアに溶け込んでいるようですが、二十数年前にカタロニアの男と恋におちたスイスのかたです。昼飯の前にワインの試飲をしたのですが、ついこの手料理が美味くてワイン業者らしからぬ話を先にしてしまいました。

アンマリー・コンテス・ブリュット・ナチュレは普及品で、エレガントな辛口。ブリュットはナチュレに較べて強さがありエレガントさが弱い。私はブリュット・ナチュレを採りますが、ワインは何れも綺麗な造りです。ブリュット・ナチュレ・レゼルヴァ・エコは基本的なスタイルは同じですが、強さが加わって尚エレガント。ブリュット・ナチュレ・グラン・レゼルヴは軽い古香があり超エレガント。シャルドネ・グラン・レゼルヴァ・エコは爽やかでバランスが良く繊細洗練。ピノ・ノワール、カリニェーナ、テンプラニージョで造られたロゼは、エレガントで味わいがあり美味、旨味成分がある。メーカーの説明に“山の爽やかな空気の香り”と書いて有りましたが、この言葉にいたく惹きつけられました。

ショップとは別のカステル・デイジの名前になっているお城のような屋敷へバスで移動して、塔の上に昇り、360度周りを取り囲む広大なぶどう園を眺めました。高いところは馬鹿と煙と決まったわけではなく、私も好きですね。カタロニアの象徴であるモンセラートの雄姿も間近に観え、天下をとったような気分で実に爽快無限でした。

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ピメカヴァへの旅 Ⅵ

2007年09月28日 | Weblog
9月18日はメーカー訪問二日目、この日も3軒のメーカーをバスで巡りました。朝一の訪問は、カヴァの中心地サント・サルドゥルニ・ダノイアの街中にあるロセル・イ・フォルモサでした。この街はフレシネとコドルニューが本拠地としており、街中カヴァに関連する業者がたむろしている様な風情です。と言いましても、浅学な私は初めてそれを同行の方やガイドの方にお聞きしたわけで、この街がそんなに有名なカヴァの街だとはバスに揺られて進入して来るまでは知りませんでした。バスは街中の四つ角に止まり、そこにロセル・イ・フォルモサはありました。ワインメーカーと言うよりは、ワイン商という風情の会社でございました。実際にお話を伺うと、ベースワインを購入して二次発酵を社内で行なうスタイルのメーカーでした。間口は小さいものの地下が深く、その地下室も丘全体に迷路のように張り巡らされており、街中の地下でカヴァは製造熟成されておりました。初めて見る都会育ちのカヴァとは一体どの様なものなのでしょうか。

先ずはベースワインを農家から購入しているメリットについて、三から四軒の醸造委託農家があり、そこから試飲して上質のワインを購入する事が出来る。例年実際には二軒程度の農家からの購入になっているとのこと。ちなみにアルコール度数が10.5度程度で酸度が高いものがカヴァのベースワインとして向いている。しかも年間生産量が20,000本と少ないためにベースワインをより厳選して購入できる。メーカからの説明はありませんでしたが、このやり方の一番大きな魅力は資金効率が良い事ではないかと思います。

またここはカヴァの街の繁華街にあるため、観光客も含め消費者の方への直売比率が高く、より消費者サイドに立ったカヴァ製造がなされていると思われます。需要に対応したデコルジュマン、ラベルも豊富に揃え手貼で小口の需要への対応、味筋についても消費者の声を直接反映させており、小回りが利くメーカーであると思います。カヴァの価格も廉く、ブリュットはエレガントで甘味が心地よく美味、グラン・レゼルヴァ・ブリュット・ナチュレはスタイルは同じで多少強く熟成感があり、難点をいえば二つともフィニッシュが私好みでありません。ロゼは色が濃く、日本で売れるスタイルはこれなのかも知れないなあと感じました。試飲の席では特別に、デコルジュマンのときに加えるワインと砂糖の混合液を飲ませていただきました。少し褐色を帯びていて甘くて美味いものでした。こいつを一度飲んでみたいと思っておりましたので、とても嬉しかったですね。

二次発酵には他のメーカー同様王冠が使われていますが、その理由として、25年前までは現在と違いブルットナチュレやブリュットは飲まれていなかったので、コルクの劣化による影響がカヴァに現われにくかった。また現在はベースワインがデリケートでコルクの質も悪くなっているので悪影響が出やすい。要はかつて飲まれていたカヴァと今飲まれているカヴァは相当違うものなのですね、進化と呼べるかどうか分かりませんが、甘味が少なくなり、綺麗な果実味が要求され、繊細な方向に変わってきていると思われます。デコルジュマンを行い最終商品に使用されるストッパーは、伝統に従いコルクを使用しています。

製造途中は新しい技術をとり入れるものの、最後のところで伝統が顔をもたげちゃうんですね。王冠で最終商品を仕上げるまでには大きな思考の飛躍が必要のようです。私は王冠でカヴァを市場に出したら、どれほど売上げが伸びるかを夢想している質の人間ですが、残念ながら我がヴァルファルモサも保守的なストッパー、コルクの呪縛から逃れる事ができません。醸造家で社長のオリオール君に二年前から言っているのですが、真剣に考えた節も見当たりません。コルク臭がつかず、モレも無く、ビールの栓が開けられる人なら、なんら恐れる事も無く簡単に開栓出来、しかもコルクより格段に廉い。ぐずぐずしていると良いこと尽くめの王冠が、我がヴァルファルモサの頭上に輝く前に、フレシネの頭上に輝いてしまいます。しかし、それも妥当なのかも知れません、何といってもフレシネはカヴァの王様ですからね
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ピメカヴァへの旅 Ⅴ

2007年09月27日 | Weblog
充分な食事とお酒をいただいた後はシエスタが原則的に必要なのですが、今回の旅は短期間にピメカヴァの本質まで迫る旅ですので、ダルな感じのままバスに追い込まれ、次なる目的地のフィレットに向かいました。ここはブドウ畑を持たずブドウを農家から購入してワインを造り、二次発酵を行なっているメーカーです。そのためバス乗せられ連れられて来たのは、フェレットの契約先農家の畑で、丁度肌の黒いかた4人がだらだらと収穫をやっているところでした。見たところ白品種で完熟した粒と青い粒が混在している様子ですが、このタイミングが熟度に最適で、ワインにすると10.5度のアルコール度数が期待されるようです。畑の持ち主の爺さんは80歳過ぎで、やけに威勢のいいかたでした。ブドウの買値は未だ決まっていないとのことで、何時も安く買い叩かれると文句を言っておりました。一方フェレットのかたは、あの爺は歳をとっても口数が減らないと文句を言っておりましたが。

フェレットというメーカーは、同行の方のお話では評価の高いメーカーで、今回の訪問メーカーの中で一番期待しているとのことでした。メーカーからいただいた資料の中に、ロバート・パーカーさんの「ワイン・バイヤーズ・ガイド」第六版のコピーがあり、“良い”という項目の中に、カヴァ・フェレットと出ていました。ちなみにその下の“スペイン・グレイテスト・ワインバーゲン”のところに、カスターニョ・へクラとも出ておりました。

先ほど畑で観たパレリャダが収穫されセラーに持ち込まれ、ジュースになっているのを飲ませていただきました。もっと甘くて美味いのかと思ったら、青臭くて葉とか茎とかのニュアンスが強く、飲めた代物ではありませんでした。これ以外にも醗酵途中のワインを幾つか飲ませていただきましたが、この青臭い感じがずっと支配的で、最終的にワインになったりカヴァになったときに、アクセントや隠し味になっているのかなあと思ってみたりしておりました。実態は分かりませんのであしからず。

ワインは噂どおり質の高いものでした。ブリュットナチュレ・グラン・レゼルヴァはロースト香を感じバランスの良いカヴァで、日本で受けそうな優れもの。98年のオールドヴィンテージは古香がありデリケートなカヴァで、グラン・レゼルヴァ・アルトレ・ノスはシャルドネとチャレロの一部を樽熟成したベースワインを使い、シャープですっきりした強さを持ったカヴァでした。スティルワインも中々良く、チャレロはデリケートで良く出来た白、カベルネは好みが分かれるところですが、グリーンでクラシックな赤でした。

夕暮れ時、既に8時は過ぎていたと思うのですが、暮れなずむ屋外でカタロニアの風のそよぎを感じながらの試飲はとても気分の良いものでした。タパスの地元産ハムソーセージチーズも、小腹塞ぎに素晴らしかったですね。メーカーとしては海外の市場はフレッシュなものを好むと考え、熟成期間の短いものを供給しているとのお話でしたが、試したワインは熟成によるフィネスを感じ、軽くて奥行きがあるように感じました。はたして試飲したワインは国内販売用だったのでしょうか、それとも私がペネデスの宵に酔っていただけの事なのでしょうか。

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ピメカヴァへの旅 Ⅳ

2007年09月26日 | Weblog
今日は本当に久し振りに横浜へやって来たという感じです。曇りで肌寒く秋の深まりを感じます。さてピメカヴァへの旅もⅣになりましたが、この旅は長い旅になりそうです。ピメカヴァの参加メーカーの80社80種のカヴァを試飲してカヴァとは何かを考える量によるアプローチでなく、6社という限られた中から全体を見ようという旅ですから、おのずと観察は慎重になり記載もスピード感が失われます。何処まで続くのか私にも分かりませんが、まあ、飽きずにお付き合い下さい。

9月17日二軒目の訪問は、ピメカヴァ会長シャビエルさんのナダルです。一軒目のパラトの時間が押したせいで、いきなり昼食のバーべキューをいただくことになりました。会長として我々をもてなす気持ちが強く出たせいで美味しくお昼をいただいたんですが、食事中に銘柄も説明も聞かずに彼のカヴァを飲んだので、ご自慢カヴァが食事にまぎれて評価の対象から消え去ってしまいました。後日19日の夜に試飲を改めてする機会を設けていただいたので一部の人はきちんと評価できたと思いますが、私は残念ながら先約がありその機会を得ることが出来ませんでした。

食後の畑の見学では休耕地が目につきお聞きしたところ、樹齢60年のチェレロを抜いて更新するところで、このくらいに樹齢になると収量も少なくなり品質も悪く、古ければ良いというものでは無いようです。また、ピノ・ノワールとシャルドネを試験的に少量植えてみたとの事ですが、シャルドネは思った品質が得られず、ピノ・ノワールはいけそうな感触をつかんだとの事です。何処のメーカーも人気のピノとシャルドネの栽培には積極的なようですが、カヴァのシャンパーニュに比する優位性はやわらかさやかるみにあると思うので、伝統品種チャレロ、パレリャダの可能性を突き詰めていただきたいなあと思います。シャンパーニュのコピーを造ったところでシャンパーニュにはなれません。酒類の歴史を見てください。満州で三倍醸造、戦後本醸造を手がけた清酒業界の衰退、第二のビール第三のビールを造ったビール業界、価格を求めて類似品を造った業界は一時しのぎにはなりますが、かりそめの繁栄で模造品はやがて捨てられてゆく運命です。ちなみにいけそうだというピノノワールは今年は8月25日に収穫、この時点で熟しており、当地ではピノは早く収穫する黒ブドウ品種との認識のようです。

今回の旅の目的でもあるハーフボトルの製造方法についての質問を会長にさせていただきました。お答えはピメカヴァを代表しての見解のような気がしてなりません。まずはナダルでは大瓶からハーフボトルに詰め替えて造るトランスファー方式は行っておらず、全て二次醗酵はハーフボトルの中で行っております。トランスファー方式の利点として、オーダーがあったときにいつでもハーフボトルが製造可能で融通性があること、製造コストが瓶内二次醗酵より5~10%安いこと。欠点として、ガス圧が下がったりして詰め替えまえと同じ品質のカヴァではなくなること、瓶詰め後の熟成が期待できず品質劣化が早く起きること。従って品質を重視する当家ではトランスファーは行わないんだよ、そいつは大手二社にでも聞いてくれとでも言いたげでありました。ピメカヴァの矜持でしょうか。
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ピメカヴァへの旅 Ⅲ

2007年09月25日 | Weblog
お話しはなかなか前へ進まず、まだホテル・サンセバスチャンから一歩も踏み出しておりません。それでもこの日9月17日09:30にホテルを出発して、一路最初の訪問地ヴィラフランカの北にあるパラトへバスで向かいました。ピメカヴァの中でも日本への輸出を望み、販売にも積極的であるだけでなく、近代的な設備と技術を取り入れている良く整備されたメーカーでした。ワインも悪うはずは無く、現代的な綺麗なスタイルで、好みの差はあれとても良いカヴァでした。

私的に特に感銘を受けたのは、98年収穫のカヴァで、ヴィンテージ・シャンパーニュをお好みの方でしたらお馴染みの酵母由来の古香というべき香りがあり、繊細で奥行きとやわらかさを持っており魅了されました。スティルワインのテンプラニージョにカベルネを加えた赤も高価では有りますが洗練優雅を体現し、改めて良いものは高い値に見合うだけの楽しみを与えてくれるものだと思いました。

ここでは丘の左右に南と北向きに畑を持っており、丘の上と谷では土壌中の水分量の違いによる収量の差が出るため、如何に収量調整を行うかの説明を伺いました。丘の頂に近いところでは台木を多収性の41Bを使い、谷では生産量が抑えられる台木SO4を使用しているとの事です。実際に栽培をしている方にとっては当たり前の対応なのでしょうが、私のような一介のワイン商には説明を聞くまでは思いもよらない問題点と対応法で、あらためて栽培の奥の深さを感じました。

パラトは優れた品質のワインでしたが、残念なことに同行のワインバイヤーのどなたからも、最終日にこのメーカーとの個別商談を希望する声があがりませんでした。初日の初めという順番のハンデを負ってしまったのかも知れません。人間昔のことは忘れて当たり前ですし、確かにレゼルヴァ、グランレゼルヴァには微妙に癖があったものの、実際の品質より低い評価をしてしまったのではないかと畏れております。

いよいよ明日から会社へ復帰ですが、この二日間を要しても時差が取れません。事実、皆さんが良き睡眠を貪りになっているこんな時間に、目がパッチリと冴えてPCの前におります。明日は名古屋へ出社いたしますので、久し振りに顔でも観てやろうなんてことで横浜へお越しいただいても、残念ながらお目にかかれません。そのうえ久方ぶりの駒寿司にもありつけないのがさらに残念でなりません。
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ピメカヴァへの旅 Ⅱ

2007年09月24日 | Weblog
ピメカヴァの大きな成果の一つに「カバ 地中海から生まれた偉大なワイン」という三つ折のリーフレットがあります。コンパクトにまとまった優れものです。

ペネデスのカヴァの産地を大きく三つに分け、地中海から山に向かい、ペネデス・リトラル、ペネデス・セントラル、ペネデス・スペリオーレ。それぞれの土地に適応品種として、マカベウ、チャレロ、パレリャダを対応させたとても見やすい地図がありす。

カヴァを理解するうえで次の二つの事柄は重要です。私なんかこのあたりの数値についてはうろ覚えですので、簡潔明瞭に整理されていてとてもありがたいです。

リットル当りの糖分含有量による呼称について
ブリュットナチュレ 0~3g、ブリュット 0~15g、エクストラセッコ 12~20g、セコ 17~35g、セミセコ 33~50g、ドゥルセ 50g以上 

クリアンサ(熟成期間)による呼称について
ホベン 9~15ヶ月、レゼルバ 15~30ヶ月、グランレゼルバ 30ヶ月以上

品種解説では、ブドウの写真とともに以下のような解説が書かれております。マカベウ、カタロニアではマカベオとは言わずこう発音するらしいです。次のチェレロもカタロニアではシャレラとか言っておりましたが、チェレロと表記されており一貫性が無いのがカタランの気質でしょうか。そのマカベウ、海沿いの粘土珪土質、石灰質土壌に植えられ、カヴァに上品な果実の香りをもたらします。チャレロは海抜200~400mに適応し、カヴァにストラクチャーを与えます。パレリャダは300~600mの山岳地帯で栽培され、爽やかさとフローラルな香りをカヴァに与えます。

誰もが読む気をおこす簡潔さで、一般の消費者に充分カバを理解していただける内容を持ったリーフレットというのは、そうざらにあるものではありません。聞いたところ当地で印刷しているので、欲しけりゃ日本へ送るとの事。欲しいに決まってるでしょ、四の五の言わずに送れば良いのになあと思いますが、日本での受け入れ組織ピメカヴァジャパンがまだ無いんですよね。いずれにしろこのリーフレット、日本でのカヴァの普及に大きな貢献をすること、まず間違いありません。
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ピメカヴァへの旅 Ⅰ

2007年09月23日 | Weblog
いよいよ今日からバルセロナ近郊のリゾート都市シッチェスのホテル・サンセバスチャンに宿を構え、4日間に渡りカヴァと取り組んだ今回の旅の模様をお伝えいたします。

9月16日日曜日を厭わずに、成田からパリ経由でバルセロナへ向かったのですが、酷く疲れました。1月にもヴァルファルモサの招待でやってきたのですが、わずか半年の間に旅の疲れが倍にも感じるほど年老いてしまったようです。前週の試飲会の疲れを取る間も無くやって来たので、その疲れが残っているせいだとすればそう悲観することは無いのかもしれませんが。目的地のシッチュスに夜に着いて死んだように眠り込んだのですが、不愉快なことに朝三時には目覚め、身体は眠っているのに脳は覚めている嫌な気分のまま月曜日の朝を迎えました。

今回のツアーはピメカヴァのご招待ですので、この日の朝一番にピメカヴァとは何ぞやというお話を会長であらせられるシャビエル・ナダルさんより賜りました。会創設の目的、大変重要ですねこれが無いと如何なる会も始りません。2006年2月8日にこのピメカヴァが創設されるまでは、インスティチュート・オヴ・カヴァという団体が唯一あり、フレシネとコドルニューという大手二社が彼らの利益を代表するようなやり方で会を運営していた。本来会員全員の利益を誘導すべき会が大手二社に良いように私されていたようです。カヴァの生産者は当地に268社あるようですが、その91%が零細企業(ピメ)のメーカーです。じゃあピメっていうのは何処までなのかといえば、案外明確になっており年間生産量が60万本以下と定められています。会の運営方針も崇高で、子孫の代まで変わらぬ豊かな土地を残すために、自然環境に配慮した農業をしてゆく。消費者にこの地に来てもらって実際に葡萄作りワイン造りを観てもらうエノツーリーズムの推奨。参加会員の質の向上を図る勉強会の開催。将来的には品質、サーヴィスの基準を作る等々です。

現在80社ほどが加盟なさっているとの事ですが、滞在中おいおいピメカヴァのメンバーの皆さんと仲良くなって、忌憚の無い話をお伺いして分ってきたのは、80社の内日本へ輸出を希望しているのが25社、内10社は既に日本に輸出しており、残り16社程度が日本向け輸出を希望しているに過ぎない。80社の中でも規模考え方はバラバラで、統率が取れているとはいえないのが実情らしいことが分ってきました。何処も人間が多く集まれば一枚岩で物事が進むなんて事はありえないわけで、規模の違いが質の違いを生み、厄介な問題を抱えながらも崇高な目標を掲げ、旗を振っている若き44歳のシャビエルさんは大変偉いもんだと感心をいたしました。

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無事帰還

2007年09月22日 | Weblog
本日バルセロナからパリ経由で無事に帰って参りました。成田到着時28.9℃は予想外の暑さ、「暑さ寒さも彼岸まで」の格言は彼岸が終わるまでとの事でしょうか。地中海の都市シッチェスの爽やかな秋と比べると湿潤な我が母国を感じました。行きの時差も厳しいですが、帰りの時差がまた一際厳しいもので、身体が地に付かない感じで常に眠く、日暮れとともに眠りに就けば、きっと目覚めは本未明なんて事になりそうです。

ピメ・カヴァについては6メーカーの訪問とこれらのメーカーのワインの試飲に限られたものの「百聞は一見に如かず」の格言どおり、気がつかなかったことや、予想もしなかったことの発見があり大変勉強になりました。具体的な内容につきましては明日よりシリーズでお伝えいたしますので、ぜひお楽しみにしていただく事として、今日は書き手の体調頗る悪く、ひとまず以上の戯文でお茶を濁し無事帰還のご報告といたします。
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ドメーヌ デ ローリエ ピクプール ド ピネ

2007年09月21日 | Weblog
このワインは本当に目立たなかったですね。世間の反対を押し切って取り扱いを決めた私でさえ忘れていたくらいですから、ご来場のお客様で気がつかれた方がいらっしゃったかどうか。それでも名古屋の試飲会もお開きに近くなり、会場にぽつねんと置かれたこのワインを発見したときには、近くのお客様に声を掛けて無理やり飲んでもらいました。脅迫的に肩口から美味いだろ美味いだろと囁きながらでしたが、おおよその皆様の感想は南のワインなのに綺麗な酸が充分あり、奥行きもあって美味しいとの評判でした。

コトー デュ ラングドック アペラシオンのワイン、この地の典型的なボトルですが、背が高くてそれなのにずんぐりした印象の見かけないボトル、地味なラベル、しかも安くない。売れない要素が揃っているのです。しかしそれにもかかわらずワインが美味いのです。魅力的なんです。私にとってワインの仕事も最後段階にかかって来て、このようなワインを皆さんに案内するのが使命なのかなあと考えるようになってまいりました。機会があったらお試しになってください。

我がイナリヤト食文研のワインとビールはこちらからご覧になれます
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