キュヴェ タカ/cuvee taka 「酔哲湘南日記」

新鮮な山海の恵みを肴に酒を吞み、読書、映画・音楽鑑賞、散歩と湘南スローライフを愉しんでいる。 

ANAに乗って考えた事

2007年10月31日 | Weblog
帰り際にストのため帰還が一日遅れましたが、本夕無事に湘南の我が家へ帰って参りました。ミラノまでエールフランスが車を回してくれたので二時間ほどで空港に着き、ロンドンからANAで帰ってきました。機種はトリプル7でエールフランスと一緒なのですが、椅子とその配置が少し違うようで快適でした。CAも動きが合理的で無駄がなく、とても気持ちの良いサーヴィスで快適でした。我々、長い間日本のやり方に自信喪失気味でしたが、やはり優れているところは随分多いですね。

明日からは会社です。目の前の現実と向き合わなければならないのですが、結果が良いと駄目なところが見えず、結果が悪いと良いところが分らなくなります。これを見極める目さえもっていれば、結果が悪くても悲観せず、結果が良くても驕る事無くやってゆけるのですが、なかなか出来ないものです。この二週間の旅が目の曇りを綺麗にしてくれているかも知れません。非日常の世界から一気に日常を覗き込んでみる事にいたしましょう。
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トリノよりⅦ

2007年10月30日 | Weblog
トリノからの便りもなんだかんだでⅦになりました。エキストラの一日が、与えられたスケジュールからの解放された一日となり、色々整理したり考えたりする時間が持て、経験の反復が出来、それが深まりつつあるのを感じています。多少ですけどね。

昨日は止宿しているエアープレイス・ホテルのリストランテ・イカロでお昼と夕食をいただきましたが、空港近くの郊外のホテルで、ろくなものが出ないのじゃないかとの心配をよそに、美味しい食事がいただけました。昼はもちっりとしたフレッシュ・パスタを牛肉から取ったブイヨンを煮詰めたソースで和えたもの、豚肉の薄切りをグリルしたのに緑の葉っぱが振りかけてあるもの、アップルパイ、珈琲。夜はタリアテッレをトマト、バジルソースで和えたもの、アントルコートのグリルにフライドポテトを添えたもの、アップルタルト、グラッパをいただきました。夜にはワインもいただき、地元のグリオニーリョ、コッポ2006をいただきました。佐和さんは夜にミックスサラダとラムチョップを食されましたが、ソムリエに料理に合うやつをきいたら、赤で地元のワインがいいでしょうと、ドルチェットを勧められました。佐和さんがこの品種が嫌いなので、エレガントで軽いやつをと再度聞いたら件のワインになりました。色は薄く、果実の味わいが強烈で無く、色の割に構成はしっかりしていて、食事の後半は風味も出て来てなかなか美味しかったです。ちなみにこの店ではグリオニーリョが13~18€で提供されています。我々には良心的に感じられましたが、こちらの人にとっては如何なものなのかは不明。グラッパは店の男の子に白と黄色のやつをとお願いしたら、佐和さんには白いマスカット、私には黄色いネッビオーロを選んでくれました。こちらでは夫々の品種がこのような捕らえ方で認識されているんだなと了解され、こういう部分が現地に来ないと分からないところで、ふぅーんて感じでした。料理については、濃厚なソースが使われていないので、食べ飽きせず何日でも食べ続けられそうです。フランスのレストランの料理とは、そこのところが明らかに違います。フレンチは華美な洗練が重いほうへ向かった例なのかもしれません。和食は洗練が無駄を省いた軽い方へ向かいました。イタリアンはその中間のところへ洗練が収束していっているような気がいたします。ま、5,6日過しただけでは確実な事は何ともいえないですがね。

10月30日09:33 トリノにて TAKA


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トリノよりⅥ

2007年10月29日 | Weblog
10月29日、本来であれば今頃日本へ向かってロシア上空を飛んでいなければいけないのですが、今朝4時半トリノ空港へ来てみたらトリノ・パリ間の便は飛んでいるものの、パリ・東京の席がないとのことで、止む無く空港近くのホテルへ引き返しました。明日昼にミラノへ車で移動して、ミラノ・ロンドン、ロンドン・東京の乗り継ぎで31日夕刻日本へ帰る手筈をエールフランスの空港カウンターで二時間も待たされた後、長々と交渉してようやく確保いたしました。てな訳で、現在はミラノ郊外のエアーパレス・ホテルというところで無聊を託っております。滞在中読もうと思っていた「虚無への供物」は上巻を失い、下巻は無用の長物に成り下がり、高見順「敗戦日記」はついにトリノ空港での予想外の展開の中で、ゆっくり味わいながら読んだにもかかわらず読了。折角いただいたエキストラの1日、今回いただいた資料の整理をすることにでもいたしましょう。

さて昨夜はあれからトリノ北の山岳地帯へ向かいDOCで言うところのヴァルスーサへ向かいました。ふもとの街の前市長が街のローマ遺跡を紹介してくれましたが、1世紀から4世紀にかけての城壁や門などが残り、中世に建設された街の下からも最近ローマの遺跡が発見されておりました。1920年代にはムッソリーニによって建設された城壁のようなものも残り、ローマ、中世、現代と歴史の層が積み重なっている街でしたが、ローマの遺跡の上に出た月が2000年の。ブドウ生産者はこの街の上に大体居を構えているようで、標高500メートルから800メートルくらいにかけて20軒ほどがワイン生産をしており、内12軒が協会に加盟してヴァルスーサの呼称を冠しているようです。その中の一軒が山の上でレストランを経営しており、山の料理を喰わせます。そこにヴァルスーサの生産者が3人集まり我々を山の料理店で歓待してくれました。ワインは6種類用意されており、なんと驚くべきことに朝訪れたおじさんのワインが並んでいました。もっと驚くべきことには、生産者のうちの一人が私を知っているとのこと、良く彼を見てみると、おじさんのブースで一緒にワインをプロモーションしていました。さらによく見ると、もう一人の生産者もおじさんのブースで会い、ワインの試飲までしておりました。なんだかここの人たちとは縁が深いなあと思いました。おじさんに夜アルプスの山岳地帯へ行くけどと、予定表を見せたのですが、そこは俺のところと違うとか言っておりました。畑は奥さんの持ち物で俺は単なるワーカーだと言っていましたから、このような夕食会が催されることを知らなかったのでしょうね。

山の料理は、胡桃とセロリのサラダ、焼き栗とハム、ブドウの葉で包んだソーセージとハムで包んだプルーンとコーンのポレンタ、豚肉を栗とポルチーニのグリル付きあわせにブロッコリーのマッシュ、しっとりしたケーキに山の実のグラッパ漬け。栗が豊富に使われていたところに山の料理店ならではの趣を感じました。最後の締めはグラッパ、これも料理店のおばさんが10種類ほど運んできましたが、一緒に会食していた前市長の白のドライのやつが一番だと叫んでおり、他のものは野菜や木の実を漬け込んだもので、梅酒の製法と同じためいわゆるリキュールでした。ここだけでなく、お招きいただいたところはいずこも自家製のグラッパをお持ちでしたが、このリキュールタイプのものが多く見受けられました。

山のワインの特徴は、段々畑の傾斜地で栽培しているため、機械化が困難ですべて手作業になること、マセラシオンは12日ですぐにマロラクティック発酵を行い、一軒を除いて木樽とのコンタクトはせず、ブドウの持つ本来の味わいを表現しているところにあります。北へ20キロでフランス、車で1時間南へ下りるとトリノですが、集まった人達の人柄といい、ワインといい浮世離れした純朴さで日本ではもうなかなか見かけることが出来ない純粋さでもあります。大いに感銘を受けまた。

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トリノより

2007年10月29日 | Weblog
最後の一日がこの後のメーカー訪問、会食を残して終わろうとしています。本日は事前に決められたメーカーとのアポは2件しかありませんでしたが、ぺスカイヤのブースを訪問、アルプスの山岳地帯の1.5ヘクタールでワインを造っているおじさんのブースを訪問、昔ながらのスタイルのワインを賞味した後は、イタリア中のワインが品種毎に並べてある部屋で初日に続き試飲をしました。これがなかなかキツイ、合計ざっと300本ぐらいになるのでしょうか、品種は150種類を超えていると思います。延べ時間7時間の試飲になりましたが、やはりこうなると白がきついですね。それでも体力の限界まで試飲を重ねていると、何かしら見えてくるものがあります。今は時間が無いので書くことができませんが、帰国後じっくりと発酵させてからまとめてみたいと思います。

もう外にお迎えのバスが来てしまいます。これからトリノの北の山岳産地へ出かけてきます。
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トリノよりⅣ

2007年10月28日 | Weblog
10月28日、日曜日のトリノの朝は静かです。昨夜は零時を過ぎても繁華街と思われる街の通りは、若い人たちで一杯でした。バーやディスコティックから溢れ出してたむろしている姿は何処も同じです。今朝三時に夏時間から冬時間に変更のため時計が一時間戻りました。それもあって長い夜を楽しんでいたのかもしれません。

いよいよ今日は長かった二週間の旅の終わりです。明日早朝トリノ空港へ向かい、パリ経由で成田まで帰ります。昨日欠航になって心配していたトリノ・パリのフライトも、どうやら明日は飛ぶようです。毎年この時期フランスに来ており、そして決まってエール・フランスのストに遭います。お馴染みにはなっておりますが、予定したフライトが欠航になると大騒ぎをしなくてはならないので、やはり好い加減にしてくれという気持ちではあります。日本で交通機関のストライキが実質無くなってもう長いですね。

今日はサローネ・デル・ヴィーノへの最終日です。三日間ぎっしりと予定が組まれて大変ではありましたが、やはりとても勉強になります。イタリアワインは殆ど知らず、とても弱いのですが、このようなことを何度か繰り返せば全体像が見えてくるような感じがしてきました。ま、何事もそうですが、知らないことには真正面からがむしゃらにあたってゆくのが一番の近道ではあります。25時間の珍しい一日が与えられたわけですから、時間の許す限りワインにぶつかりたいと思います。

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トリノよりⅢ

2007年10月28日 | Weblog
連日厳しい日程が続いておりますが、10月27日はやはり9時にホテルを出発して9時半にサローネ・デル・ヴィーノの会場に着きました。今日にして初めてこのワインコンヴェンションの名称が分かりました。10時より13時まで6軒のメーカーと商談試飲を致しましたが、もう何がなんだか何処が何処だか良く分かりませんが、それでもピエモンテのぺスカイヤの白、ソロルナがクリーミーな香りで印象に残りました。昼にイータリーで軽く飯をいただき、14時半から7軒の試飲商談を致しました。状況は午前中と同じですが、印象に残ったのがサルディニアから来たメーカーのワインでした。土着品種で素晴らしい赤を造っていました。

完全に疲れ果て会場を後にしたのが六時過ぎ、ホテルで20分の休息を取り、トリノ南部の町へ出かけ史跡見学をさせていただき、9時に近くのコーーペラティヴへ、セラー見学の後スプマンテの歓迎を受け夕食会場へ、いろいろな料理で歓待されましたが、考えてみるとパスタが出なかった気がいたします。ワインは赤の微発泡性をメインに造っていて、面白いなと思いました。イタリア語しか話さないここの副社長と訳の分からぬ話をしておりましたが、この厳しい環境を切り抜けるにはいかにすべきか必死の感じを受けました。彼は、地場品種をオークを使わないで個性的なワインに仕上げて行くんだという意気込みをお持ちでした。最後にグラッパを振舞われ、ホテルに着いたのはまたもや午前一時を回っておりました。

ワイン業者として成功するには、言葉の問題や舌の良し悪しよりも、でかい胃袋を持っていてタフなことが何よりも重要だと言うことがお分かりいただけると思います。
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トリノよりⅡ

2007年10月27日 | Weblog
10月27日朝を迎えておりますが、昨日の日程は言語に尽くせないくらい強行でした。朝9時にホテルを出て、9時半会場到着、10時より地場品種ごとに分かれたワインを試飲、100本ほどもやったでしょうか、12時半昼食、7,8種類のワインがでました。2時半から30分ずつ7メーカーと商談試飲、7時前にホテル帰還、7時より南にあるワイン産地にバスで出発、8時半ワイナリー到着7種類ばかり試飲、9時過ぎワイナリー出発、10時前生産者経営のレストラン到着、10種類ほどワインが出る。12時半会食終了。13時半ホテル到着。と言うわけで細かな報告が出来ません。これからすぐにまた会場に向かい、13のメーカーと商談、夜は昨夜とほぼ同じスケジュールです。時間がありません、では。
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雨のトリノ

2007年10月26日 | Weblog
10月26日朝、トリノは昨日に続き雨。ここは雨が多いのでしょうか。たまたま雨の日に当たっているのかもしれませんが、比較的温暖でブルゴーニュから比べると雨にもかかわらずだいぶ暖かです。あるいはブルゴーニュは温室効果で気温が下がったのでしょうか。

イタリアは5年ほど前にシチリアに行っただけで殆ど馴染みがありません。トリノについても何も情報を得ないまま来ているので、些細なことでも見るもの聞くものが初めてで好奇心がやけに刺激されています。昨夜ブッフェにでてきた料理を見ると、5種類のハム、ラビオリ、ペンネ、肉と豆の煮込み、肉団子、ほうれん草のバター炒め、ポテトサラダ、チーズ、フルーツ。今朝の朝食のアイテムは、10種類のパン、ソーセージ、ハム、スクランブルエッグ、ベーコン、シリアル、チーズ。まあ、これだけでは当地の蜀に関してとやかく言えるわけではありませんが、肉乳製品、パスタは予想されたところでした。この後数日間である程度のところまで食の経験ができるので楽しみにしています。

街を一時間ばかり歩いてみましたが、アーケードが長く続いているので驚きました。雨が降っていたので、濡れないように何処まで行けるか歩いたのですが、行きかえり一時間アーケードに守られて歩くことが出来ました。古い建物に曲線摸様が多用されているようにも感じ、ガウディのことを思ったりいたしました。

これからいよいよコンヴェンションに向けて出発です。夜遅くまでスケジュールされていますし、明日も同様で、今日の様子をご報告できる体力と時間があるかどうか分かりませんが、隙をみてレポートする予定ですので楽しみにしていてください。
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トリノより

2007年10月25日 | Weblog
怒涛の文字の羅列をお送りいたしましたが、実はブルゴーニュ通信にはⅤ、Ⅵがあり未完です。ブルゴーニュでの最後の二日間は、連日5軒のドメーヌにお邪魔し、セラーを拝見させていただき、試飲を重ね、ヴィンヤードまで見せていただいたりしているものですからくたくたで、さすがにPCの前に座る気力が御座いませんでした。しかしながら疲れた分だけ成果は大きく、後日ゆっくりとご報告をさせていただこうと思っております。今日のところはこの程度に収め、明日気力と時間があるようでしたら、トリノでのイタリアワイン・コンヴェンションの模様をお伝えしたいと思います。日本時間は23時少し前ですね、私はこれから一仕事しなければいけませんが、みなさん、おやすみなさい。
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ブルゴーニュ通信Ⅳ

2007年10月25日 | Weblog
10月22日、朝から北風が吹き、湘南の漁師の天気予報は完全に外れ、今日も好天になりました。B&Bの向かいの小学校も始まり、いよいよワイン商のお仕事も再開の月曜日です。

午前中取引先のルーパージュ社をニュイ・サン・ジョルジュに訪れ、試飲をいたしました。先ずは白から、ブルゴーニュ・グラン・オーディナリー2006はレモンアシディティーの香り、アタックは柔らかく、フィニッシュに酸と微かな苦味が続きます。シャブリ2006は柔らかく、モンテリ2005は木樽で酸化熟成させた風味があり、シャブリ1級2005は厚みがあり、途中鈍重ですがフィニッシュの酸は効いています。ムルソー2005は木樽とトースト香があり、チャーミングでフィニッシュも綺麗、ムルソー1級プルゾ2004はさすがに美味い。お次は赤です。サヴィニ・レ・ボーヌ1級レ・ヴェルジェレス2004は、この地区の独特の風味が果実味と相まって複雑な風味になっています。シャンボル・ミジュニ2004はフェミニンですがフィニッシュにタンニンを感じました。ボンヌ・マール2004は前半チャーミングに感じますが、さすがにフィニッシュにタンニンと酸がきっちりとあり余韻が長いです。シャルム・シャンベルタン2004は酸がかなり強いと感じ、ラトリシエールシャンベルタンはタンインが感じられないくらい酸が被さっていました。2004年は結構長熟なワインのようです。

会社でお昼をいただきましたが、何時ものキッチンのおばさんが準備をしてくれていました。野菜が多いのが街のレストランと異なるところでとても救われます。人参、セルリー、ビートを細く切ってドレッシングで和えたものなんか実に好ましく多量に胃の中に落とし込みました。メインは七面鳥をきのこのクリームで煮たやつで、肉は余り美味くありませんでしたが、きのこが美味でした。チーズは、コンテ、ブリアサヴァランと何とかシトーとか言ってましたが、シトー派修道院由来のものらしくソフトタイプのものでした。チーズはその半分が脂肪なので日本では食べないのですが、フランスに来たときだけ解禁しています。実に美味いですね。デザートは、フランボアーズのタルトでした。ワインはモンテリエ、ムルソー・ポルゾ、サヴィニ・レ・ボーヌ・レ・ヴェルジェレス、シャルム・シャンベルタンを試飲したワインからチョイスしましたが、お楽しみはルイ・パージュが今年始めてリリースするマコン・ヴィラージュ・ロゼ・ヌーボー2007、綺麗な濃いめの桜の花びらのようなピンク、さわやかで気分を軽快にするチャーミングなワインでした。ボージョレ・ヌーボーの落ち込みをいささかでもカヴァーする救世主になればいいのですが。

午後はコルゴロワン村のメゾン・ポール・レッツで試飲を致しました。ここはブドウ生産者からワインを買って熟成させるタイプのメーカーで、比較的古いものを持っています。飲み頃のブルゴーニュはなかなか入手困難のこのご時勢に、舌がしびれるようなワインではなく、エレガントでフィネスを感じ、熟成して香りが複雑に開いたものを皆さんにお届けしたいとやってきました。

サントネークロジュネ1997は10年寝かせた良さを感じません。ヴォルネイ1997も味わいは深いもののピンと来ません。クロデラロッシュ1995になると複雑さがあり、さすが良いイのですが、好みではなく。ちなみにオーナーのミッシェルさんは、このワインをこの日一番に上げていました。コルトン1995はとても旨味がありました。シャルム・シャンベルタン1996は繊細でチャーミングでフィニッシュが長く、私のこの日一番。ポマール1999はかなり良いワインですがまだタンインガ強く、ポマールと言うのは時間が掛かるワインのようです。シャンボルミュジニ・レ・エシャンジェ2000はフェミニンで深い複雑さは無いものの軽いこくとフランボワーズのようなフルーティさがありチャーミングです。佐和さんのこの日のNO1ワイン。ヴォーヌ・ロマネ・レ・ショウム2001は森の土の香り、途中タンニンを感じる。クロサンドニ2000はフレッシュバターの香りを感じ、エレガントでテイスティー。ピュリニー・モンラッシェ1987は、赤ワインから白ワインに試飲を変えるために挟んだワインで、ちょっとコルキーなところがあり、この地域のワインが完全に熟成した風味を持っていました。ムルソー・ジュヌブリエール1996は、とてもよく熟して美味いワインですが、トースト香が強すぎる欠点があります。2005年はバニラの香りが心地よくとても良いバランスのワインで、今後大きく花開きそうです。プイイ・フッセ2003年は特別な風味を持ったワインで、コート・ド・シャロネーズらしからぬワインでした。

オーナーのミッシェルさんは62歳だそうですが、ワイン一筋35年、お金よりワインが好きで、美味くワインが熟成したときは人に売りたくないそうです。生活に不自由無いから言える言葉ではあるのでしょうが、ワインを試飲している姿はただワインを愛おしんでいるようで、実に良い風情でした。私もブルゴーニュのヴィラージュの個性の違いが少しだけ分かるようになりましたが、香りと味を言語化するには限界があり、ミッシェルさんのように頭の中に香りと味を記憶して刻み込んでおく事しか良し悪しの判断の役に立ちません。まだまだこれからですね。
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