コートジボワール日誌

在コートジボワール大使・岡村善文・のブログです。
西アフリカの社会や文化を、外交官の生活の中から実況中継します。

国連PKOを訪ねる

2008-09-23 | Weblog
国連は、紛争が発生した地域において、紛争当事者の合意に基づいて、出先の組織を作って送り込み、様々な活動をしている。いわゆる、国連の平和維持活動(PKO)である。この国連組織は、国連官僚や文民警察などの文民部門だけの場合もあるし、これに加えて各国から派遣された軍隊により軍事部門、つまり平和維持部隊を構成する場合もある。

さて、コートジボワールにもPKOが派遣されている。2002年9月以来、国が南北両勢力に分かれて紛争状態に陥った。翌2003年、仏の仲介で両勢力の間で停戦合意が成立、2004年4月に、この停戦合意の実施を支援することを任務とする、国連コートジボワール活動(UNOCI)が設立された。

今日(23日)はこのUNOCIの本部を訪ね、活動の総責任者であるチョイ事務総長特別代表に表敬かたがた、話を聞こうという算段である。
UNOCI本部は、アビジャン市内の丘の上にある旧ホテルを改装した、本格的なベースキャンプである。国連軍の警備兵が守るゲートを、車でくぐる。国連旗がひるがえる前庭に、腹に「UN」と大書きした白い四輪駆動車が所狭しと並べられている。国連関係者たち、軍服を着たPKO将校たちが、忙しく行き来している。

ああ、この雰囲気である。そう、私も今から9年前、コソボの国連PKOミッションの一員として働いていた。紛争の現場で、さまざまな背景や国籍の人々と一緒に、さまざまな課題に日々追われながら、さまざまな突発事件に翻弄されながら、平和をとりもどすために働く使命感。PKOの現場には、平和への手応えがある。

コートジボワール政府が、大統領選挙を着実に実施し、国内の和解を平和的に進めてゆけるように支援することが、UNOCIの役割である。そのために必要な、物量面での協力、地域の治安や安全の確保、選挙実施の技術支援などを、これから展開していく。それと並行して、社会政策や、民生の向上なども手がけていく。

応接室で待っていると、チョイ代表が現れる。韓国の出身、われわれ日本人と同じ顔なので、親近感がわく。
「大統領選挙にむけて、どの政治勢力も本気であるし、妨害の動きも全く見られない。大統領選挙は、その時期はともかくとして、必ず行われる。」チョイ代表は、自信を持ってそう述べる。「今やコートジボワール国民全体が、大統領選挙に期待している。北部の勢力も協力的であり、国連の要員も安全に行き来している」と彼は言う。45カ国から派遣された7千人の兵力による大ミッションが、ほぼ日本と同じほどの面積のコートジボワール全土にわたって、活動を展開しているのである。

チョイ代表は続ける。「現時点で世界に16ある国連PKOのうち、唯一前向きに動いているのが、このミッションなのだ。国連は、このコートジボワールで成功しなければならないし、成功は手の届くところにある。」

その成功物語に、日本の存在感がほしい。資金面では、活動予算の6分の1は日本が出している。最近は、2万2千個の投票箱を日本の資金で供給することが決まった。しかし、このPKO活動に行き来する国連要員のなかで、肩に日の丸を付けている人はいない。日本の仕事を見せてやることは出来ない。大使としては、それをただ悔しいと言っていてはいけない。日本人がここにいなくても、日本が平和に力強い意欲を持っていることをアピールしていく方法は、必ずやあるはずだ。

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