現在の電力業界を一変させる電力制度改革を巡る議論が今月から本格化するのだそうです。
業界各社が経営赤字や原発再稼働で政府に頼らざるをえないこのタイミングを見計らって推進しようとする政府に対し、業界側は、発電と送配電は一貫体制が望ましいとし反発を強めているのだそうです。
「電力業界の制度改革は、電力各社の収益悪化につながり、苦境に陥っている電力会社の信用をさらに落とす可能性がある」との専門家の見方もあります。
電力改革激突の様相 各社の「弱み」突く 政府 事業縮小避けたい 業界 (1/8 読売朝刊)
電力制度改革を巡る議論が今月から本格化する。電力各社の送電と配電事業を一括運営する公的機関の設立や、原子力発電所の運営形態見直しなど、現在の電力業界を一変させる議論が順次始まる。しかし、政府による急激な改革に、電力業界は強く反発しており、両者の攻防が激しさを増しそうだ。
今月から本格議論
■改革
枝野経済産業相は、原発事故の再発防止と、電力不足の解消を目指している。
6日の記者会見で経産相は、原発の運営見直しについて「原子力の安全確保、原発への依存度低下、電力の安定供給」の3点を重視する点を強調した。
電力業界のとりまとめ役だった東京電力は原発事故で経営危機に陥り、政府の支援なしでは立ちゆかない状態だ。運転停止中の原発を多数抱える他の電力会社も、再稼働に向けて政府に頼らざるを得ない。改革は、このタイミングを突いた。
発送電分離や送配電事業の一括運営は、新規業者が参入しやすい環境を整えるものだ。競争によって、世界的にも割高な電気料金が値下がりする期待もある。
政府は東電と原子力損害賠償支援機構が3月に策定する総合特別事業計画に、発送電分離などの改革を反映させる。今夏までにエネルギー改革の基本方向を定める方針だ。
■反発
電力業界は防戦一方だ。
電気事業連合会の八木誠会長(関西電力社長)は6日、都内で記者団に対し、顧客の需要などに応じた安定供給を進めるには、「(発電と送配電は)一貫体制が望ましい」と強調した。
電力総連の種岡成一会長も、経産相が示した改革の論点整理について、「労働現場の実態を踏まえないまま示されたことは極めて遺憾だ」との談話を発表した。電力関係者をほとんど交えずに、改革の議論が進んでいる点に不快感を示した。
送配電事業の一括運営は、電力会社に大きなダメージを与える。
沖縄を除く電力9社の電気事業固定資産に送電線や変電所など送配電設備の占める比率は、最も低い北陸や北海道がほぼ半分で、残る7社は6割を超える。
海外では、送配電事業を一括運営する公的機関が設備投資計画を決めている事例もある。同様の制度になれば、電力会社は自社の設備投資を決められなくなる。原発の運用が切り離される可能性もある。これらが実現すると、電力会社の事業は大幅に縮小し、火力や水力による発電会社となる。
BNPパリバ証券の中空麻奈氏は「電力業界の制度改革は、電力各社の収益悪化につながり、苦境に陥っている電力会社の信用をさらに落とす可能性がある。政府は電気料金の値下がりなど国民に改革のメリットを明確に示す必要がある」と指摘する。
電力制度改革を巡る議論が今月から本格化する。電力各社の送電と配電事業を一括運営する公的機関の設立や、原子力発電所の運営形態見直しなど、現在の電力業界を一変させる議論が順次始まる。しかし、政府による急激な改革に、電力業界は強く反発しており、両者の攻防が激しさを増しそうだ。
今月から本格議論
■改革
枝野経済産業相は、原発事故の再発防止と、電力不足の解消を目指している。
6日の記者会見で経産相は、原発の運営見直しについて「原子力の安全確保、原発への依存度低下、電力の安定供給」の3点を重視する点を強調した。
電力業界のとりまとめ役だった東京電力は原発事故で経営危機に陥り、政府の支援なしでは立ちゆかない状態だ。運転停止中の原発を多数抱える他の電力会社も、再稼働に向けて政府に頼らざるを得ない。改革は、このタイミングを突いた。
発送電分離や送配電事業の一括運営は、新規業者が参入しやすい環境を整えるものだ。競争によって、世界的にも割高な電気料金が値下がりする期待もある。
政府は東電と原子力損害賠償支援機構が3月に策定する総合特別事業計画に、発送電分離などの改革を反映させる。今夏までにエネルギー改革の基本方向を定める方針だ。
■反発
電力業界は防戦一方だ。
電気事業連合会の八木誠会長(関西電力社長)は6日、都内で記者団に対し、顧客の需要などに応じた安定供給を進めるには、「(発電と送配電は)一貫体制が望ましい」と強調した。
電力総連の種岡成一会長も、経産相が示した改革の論点整理について、「労働現場の実態を踏まえないまま示されたことは極めて遺憾だ」との談話を発表した。電力関係者をほとんど交えずに、改革の議論が進んでいる点に不快感を示した。
送配電事業の一括運営は、電力会社に大きなダメージを与える。
沖縄を除く電力9社の電気事業固定資産に送電線や変電所など送配電設備の占める比率は、最も低い北陸や北海道がほぼ半分で、残る7社は6割を超える。
海外では、送配電事業を一括運営する公的機関が設備投資計画を決めている事例もある。同様の制度になれば、電力会社は自社の設備投資を決められなくなる。原発の運用が切り離される可能性もある。これらが実現すると、電力会社の事業は大幅に縮小し、火力や水力による発電会社となる。
BNPパリバ証券の中空麻奈氏は「電力業界の制度改革は、電力各社の収益悪化につながり、苦境に陥っている電力会社の信用をさらに落とす可能性がある。政府は電気料金の値下がりなど国民に改革のメリットを明確に示す必要がある」と指摘する。
電力の発送電分離や自由化について、当然のことのように各メディアが取り上げており、枝野氏はこの流れに乗って「原子力の安全確保、原発への依存度低下、電力の安定供給」の3点を重視した原発の運営見直しや、送電と配電事業を一括運営する公的機関の設立などの電力制度改革を唱えているのだそうです。
遊爺も、発送電分離には、送電と配電事業を一括運営する公的機関の設立が必須で、そこまで群雄割拠する自由化には、米国の大停電を引き合いに出すまでもなく危惧を覚えます。
問題は、発電だけに限定され小規模化し自由競争にさらされた会社が、国家の基幹エネルギーの電力を、長期持続可能な安定供給が可能なのか、小規模化した各社に世界の先端を行く技術開発余力がもてるのかと言う点です。
価格競争の激化で電力料金が値下がりすることは、東京電力の損害賠償能力の削減にもつながりますし、その他の発電会社の安全対策投資にも影響がないかが気がかりです。
TPP参加交渉と言った時機の判断を要するものでも、時間をかけろとする声が少なくないのですが、国内で完結する発送電分離や自由化について、単に海外に事例があるからとか、原発事故と結びつけたりして急いで進める声が多いのには、当面主力となる火力発電の資源を海外からの購入に依存する島国の日本にとってのメリットとデメリットの議論をもっと深めたうえで結論を出すべきで、各社が抵抗できない今のうちに強行してバラしてしまおうと言うのは、菅が孫にそそのかされて動いていたような、なにか特殊な急ぐ必要性に迫られているのではないのかと、勘ぐってしまいたくなるのです。
マムシグサの実 撮影=六甲高山植物園
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