
4月17日にウクライナ戦争の30日間エネルギー施設攻撃禁止措置が切れたことを受け、マルコ・ルビオ米国務長官は翌18日「進展がない場合」和平努力から米国が手を引く可能性に言及したと、元産経新聞ロンドン支局長の木村正人氏。
17日にパリでエマニュエル・マクロン仏大統領、英国、ドイツ、ウクライナ高官らと協議したルビオ氏は「数日以内に、今後数週間で和平が実現可能かどうかを判断する」と、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領に痛みを伴う妥協を促したと、木村氏。
「この戦争は米国の戦争ではない。我々が始めた戦争ではない。ドナルド・トランプ米大統領は87日間、この戦争を終結させる努力を繰り返し行ってきた。この戦争を終わらせる可能性が存在するかどうかを決定し、判断する段階に差し掛かっている」と、ルビオ国務長官。
更に、ゼレンスキー大統領には痛みを伴う妥協を促したのだそうです。
ルビオ氏は、ウクライナ戦争は膠着状態に陥っており、どちらの側にも戦争を迅速に終結させる戦略的能力はなく、軍事的な解決策はないと断言。
トランプ氏も米ホワイトハウスで記者団に「もし何らかの理由で、ロシアとウクライナのどちらか一方が非常に困難な状況を作り出すのなら、私たちは『あなたは愚かだ、あなたは馬鹿だ、あなたはひどい人間だ』と言って手を引くだけだ。しかし、そうなることを望まない」とも。
「問題解決のチャンスはある」とトランプ氏は停戦に望みを繋いだと、木村氏。
「毎週2500人が戦場で殺されている。今もゲームをしている人々が殺されている。それを放置しない。誰も私を操っていない。終わらせたいという熱意は両サイドから感じている。問題解決のチャンスはある」とトランプ氏。
ウクライナ政府が18日に発表した鉱物資源開発を巡る署名済み覚書によると、同国と米国は経済連携の一環としてウクライナ復興のための投資基金を設立する方針だ。キーウとワシントンは26日までに最終合意を目指していると、木村氏。
米戦略国際問題研究所(CSIS)のミック・ライアン研究員(元オーストラリア陸軍少将)は、「和平交渉がマンハッタンのオフィスビルの売買交渉ではないことをトランプ政権も徐々に理解し始めたようだ」と指摘。
「トランプ政権は、ある目標(それが何なのかはよくわからないが、ロシアの立場をひっくり返すという神話のような目的以外には不明)を達成するための、公にされていないスケジュールに基づいて動いており、他の問題へと移行したがっている。戦争――そこに伴う莫大な人的・戦略的リスク――を、ありふれた不動産取引とは異なるものとして捉えることができていないようだ」と、ライアン氏。
ゼレンスキー氏を繰り返し侮辱する一方で、プーチン氏を元気づけてきた。「ウクライナには“ニンジンなしの棍棒だけ”、ロシアには“棍棒なしニンジンだけ”の外交姿勢をとってきた」と非難!
ロシアによるプロパガンダやウクライナ領土に対する権利を主張するメッセージはトランプ政権の交渉担当者によって増幅され、長年にわたる米国の欧州同盟国は蚊帳の外に置かれた。トランプ政権はロシアとの経済的機会という幻影に目をくらまされているとライアン氏。
西側に対抗する姿勢を強めるプーチン氏はウクライナ戦争を機に中国との関係を強め、ロシアを中国と並ぶ主要な反西側勢力と位置付けている。トランプ氏のプーチン氏への宥和的な姿勢とウクライナや欧州への敵対姿勢はむしろプーチン氏をより大胆にさせる恐れが大きいと。
米国とウクライナの鉱物協定についてライアン氏は「この合意から最も期待できるのは米国をウクライナとの長期的なパートナーシップに引き込み、いずれ安全保障の保証につながる点だ。しかし現在のトランプ政権下ではそのような展開はほぼ不可能だろう」と分析。
トランプ氏はウクライナ国民の米国への信頼を破壊した。プーチン氏の立場を強め、独裁国家の侵略行為に対して米国は干渉しないとの誤ったメッセージを発信している。「中国が台湾周辺で活動を強化し、日本に対する行動を活発化させている点で最も顕著に現れている」と、ライアン氏。
# 冒頭の画像は、4月17日、ウクライナ情勢に関して協議するためにフランスを訪れた米国のルビオ国務長官

萩の新芽
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自信満々だったウクライナ停戦協議から「手を引く」とまで言い出したトランプ、ただプーチンを鼓舞して終わりなのか | JBpress (ジェイビープレス) 2025.4.21(月) 木村 正人
米国務長官「進展がない場合、他の課題に進む必要がある」
[ロンドン発]4月17日にウクライナ戦争の30日間エネルギー施設攻撃禁止措置が切れたことを受け、マルコ・ルビオ米国務長官は翌18日「進展がない場合、私たちは他の課題に進む必要がある」と和平努力から米国が手を引く可能性に言及した。
前日の17日にパリでエマニュエル・マクロン仏大統領、英国、ドイツ、ウクライナ高官らと協議したルビオ氏は「数日以内に、今後数週間で和平が実現可能かどうかを判断する」と、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領に痛みを伴う妥協を促した。
「この戦争は米国の戦争ではない。我々が始めた戦争ではない。ドナルド・トランプ米大統領は87日間、この戦争を終結させる努力を繰り返し行ってきた。この戦争を終わらせる可能性が存在するかどうかを決定し、判断する段階に差し掛かっている」(ルビオ氏)
トランプ氏のスティーブ・ウィトコフ特使はウラジーミル・プーチン露大統領と3回会談した。「戦争終結が可能であれば、できる限りのことを行う。しかし両者の立場がかけ離れていて実現不可能であれば、大統領は『終了』を表明する段階にある」とルビオ氏は突き放した。
トランプ氏「『あなたは愚かだ』と言って手を引くだけ」
ルビオ氏は、ウクライナ戦争は膠着状態に陥っており、どちらの側にも戦争を迅速に終結させる戦略的能力はなく、軍事的な解決策はないと断言した。ロシアに関しては「3年以上もコミュニケーションを取ってこなかったロシアとの交渉ではコミュニケーションが重要だ」と配慮を見せた。
トランプ氏も米ホワイトハウスで記者団に「もし何らかの理由で、ロシアとウクライナのどちらか一方が非常に困難な状況を作り出すのなら、私たちは『あなたは愚かだ、あなたは馬鹿だ、あなたはひどい人間だ』と言って手を引くだけだ。しかし、そうなることを望まない」と強調した。
「毎週2500人が戦場で殺されている。今もゲームをしている人々が殺されている。それを放置しない。誰も私を操っていない。終わらせたいという熱意は両サイドから感じている。問題解決のチャンスはある」とトランプ氏は停戦に望みを繋いだ。
ウクライナ政府が18日に発表した鉱物資源開発を巡る署名済み覚書によると、同国と米国は経済連携の一環としてウクライナ復興のための投資基金を設立する方針だ。キーウとワシントンは26日までに最終合意を目指している。
露大使「現在の状況下で完全な停戦について話すことは非現実的」
ウクライナ政府は世界の「戦略的原材料」の約5%が同国に埋蔵されていると主張する。合意内容は不明だが、エネルギーインフラ、石油、天然ガスなど鉱物資源の管理権限が含まれる可能性があると英BBC放送は報じている。米国が要求した5000億ドルという数字は削除された。
これに先立つ4月17日、ロシアのワシリー・ネベンジャ国連大使は「エネルギーインフラ施設を対象に限定的な停戦を試みたが、ウクライナ側が順守しなかった。現在の状況下で完全な停戦について語るのは非現実的だ」と述べた。
ロシアはトランプ氏とプーチン氏の電話会談で合意された30日間エネルギー施設攻撃禁止措置を順守していると主張しているのに対し、キーウは「クレムリンの宣伝作戦で実体がない」とロシア軍がその後もウクライナのエネルギー施設への攻撃を継続していると非難している。
米戦略国際問題研究所(CSIS)のミック・ライアン研究員(元オーストラリア陸軍少将)は19日付ブログで「1945年以来欧州で最も大規模で残虐な戦争の和平交渉がマンハッタンのオフィスビルの売買交渉ではないことをトランプ政権も徐々に理解し始めたようだ」と指摘している。
ロシアの立場をひっくり返すという神話のような目的
「トランプ政権は、ある目標(それが何なのかはよくわからないが、ロシアの立場をひっくり返すという神話のような目的以外には不明)を達成するための、公にされていないスケジュールに基づいて動いており、他の問題へと移行したがっている。交渉に関わっている誰一人として、戦争――そこに伴う莫大な人的・戦略的リスク――を、ありふれた不動産取引とは異なるものとして捉えることができていないようだ」(ライアン氏)
ライアン氏は「トランプ氏の戦争への介入は全てが災難だった」と切り捨てる。ゼレンスキー氏を繰り返し侮辱する一方で、プーチン氏を元気づけてきた。「ウクライナには“ニンジンなしの棍棒だけ”、ロシアには“棍棒なしニンジンだけ”の外交姿勢をとってきた」と非難する。
ロシアによるプロパガンダやウクライナ領土に対する権利を主張するメッセージはトランプ政権の交渉担当者によって増幅され、長年にわたる米国の欧州同盟国は蚊帳の外に置かれた。トランプ政権はロシアとの経済的機会という幻影に目をくらまされているとライアン氏はいう。
1970年代初頭、米国のリチャード・ニクソン米大統領とヘンリー・キッシンジャー国家安全保障問題担当大統領補佐官は共産主義国家の中国が米国に敵対的だったにもかかわらず、毛沢東と国交を回復させた。中ソ分裂を巧みに利用し、地政学的三角関係を構築するのが狙いだった。
宥和的な姿勢がプーチンをより大胆にさせる
「逆ニクソン戦略」をとるトランプ氏はロシアを中国から引き離し、米国側に寝返らせることができると信じている。ロシアは中国の「下位パートナー」に転落。対米関係を修復することで国際的地位を改善できると考えているため、トランプ氏のアプローチを歓迎する可能性があるとみているようだ。
西側に対抗する姿勢を強めるプーチン氏はウクライナ戦争を機に中国との関係を強め、ロシアを中国と並ぶ主要な反西側勢力と位置付けている。トランプ氏のプーチン氏への宥和的な姿勢とウクライナや欧州への敵対姿勢はむしろプーチン氏をより大胆にさせる恐れが大きい。
米国とウクライナの鉱物協定についてライアン氏は「この合意から最も期待できるのは米国をウクライナとの長期的なパートナーシップに引き込み、いずれ安全保障の保証につながる点だ。しかし現在のトランプ政権下ではそのような展開はほぼ不可能だろう」と分析する。
トランプ氏はウクライナ国民の米国への信頼を破壊した。プーチン氏の立場を強め、独裁国家の侵略行為に対して米国は干渉しないとの誤ったメッセージを発信している。「中国が台湾周辺で活動を強化し、日本に対する行動を活発化させている点で最も顕著に現れている」(ライアン氏)という。
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【木村正人(きむら まさと)】
在ロンドン国際ジャーナリスト(元産経新聞ロンドン支局長)。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。
米国務長官「進展がない場合、他の課題に進む必要がある」
[ロンドン発]4月17日にウクライナ戦争の30日間エネルギー施設攻撃禁止措置が切れたことを受け、マルコ・ルビオ米国務長官は翌18日「進展がない場合、私たちは他の課題に進む必要がある」と和平努力から米国が手を引く可能性に言及した。
前日の17日にパリでエマニュエル・マクロン仏大統領、英国、ドイツ、ウクライナ高官らと協議したルビオ氏は「数日以内に、今後数週間で和平が実現可能かどうかを判断する」と、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領に痛みを伴う妥協を促した。
「この戦争は米国の戦争ではない。我々が始めた戦争ではない。ドナルド・トランプ米大統領は87日間、この戦争を終結させる努力を繰り返し行ってきた。この戦争を終わらせる可能性が存在するかどうかを決定し、判断する段階に差し掛かっている」(ルビオ氏)
トランプ氏のスティーブ・ウィトコフ特使はウラジーミル・プーチン露大統領と3回会談した。「戦争終結が可能であれば、できる限りのことを行う。しかし両者の立場がかけ離れていて実現不可能であれば、大統領は『終了』を表明する段階にある」とルビオ氏は突き放した。
トランプ氏「『あなたは愚かだ』と言って手を引くだけ」
ルビオ氏は、ウクライナ戦争は膠着状態に陥っており、どちらの側にも戦争を迅速に終結させる戦略的能力はなく、軍事的な解決策はないと断言した。ロシアに関しては「3年以上もコミュニケーションを取ってこなかったロシアとの交渉ではコミュニケーションが重要だ」と配慮を見せた。
トランプ氏も米ホワイトハウスで記者団に「もし何らかの理由で、ロシアとウクライナのどちらか一方が非常に困難な状況を作り出すのなら、私たちは『あなたは愚かだ、あなたは馬鹿だ、あなたはひどい人間だ』と言って手を引くだけだ。しかし、そうなることを望まない」と強調した。
「毎週2500人が戦場で殺されている。今もゲームをしている人々が殺されている。それを放置しない。誰も私を操っていない。終わらせたいという熱意は両サイドから感じている。問題解決のチャンスはある」とトランプ氏は停戦に望みを繋いだ。
ウクライナ政府が18日に発表した鉱物資源開発を巡る署名済み覚書によると、同国と米国は経済連携の一環としてウクライナ復興のための投資基金を設立する方針だ。キーウとワシントンは26日までに最終合意を目指している。
露大使「現在の状況下で完全な停戦について話すことは非現実的」
ウクライナ政府は世界の「戦略的原材料」の約5%が同国に埋蔵されていると主張する。合意内容は不明だが、エネルギーインフラ、石油、天然ガスなど鉱物資源の管理権限が含まれる可能性があると英BBC放送は報じている。米国が要求した5000億ドルという数字は削除された。
これに先立つ4月17日、ロシアのワシリー・ネベンジャ国連大使は「エネルギーインフラ施設を対象に限定的な停戦を試みたが、ウクライナ側が順守しなかった。現在の状況下で完全な停戦について語るのは非現実的だ」と述べた。
ロシアはトランプ氏とプーチン氏の電話会談で合意された30日間エネルギー施設攻撃禁止措置を順守していると主張しているのに対し、キーウは「クレムリンの宣伝作戦で実体がない」とロシア軍がその後もウクライナのエネルギー施設への攻撃を継続していると非難している。
米戦略国際問題研究所(CSIS)のミック・ライアン研究員(元オーストラリア陸軍少将)は19日付ブログで「1945年以来欧州で最も大規模で残虐な戦争の和平交渉がマンハッタンのオフィスビルの売買交渉ではないことをトランプ政権も徐々に理解し始めたようだ」と指摘している。
ロシアの立場をひっくり返すという神話のような目的
「トランプ政権は、ある目標(それが何なのかはよくわからないが、ロシアの立場をひっくり返すという神話のような目的以外には不明)を達成するための、公にされていないスケジュールに基づいて動いており、他の問題へと移行したがっている。交渉に関わっている誰一人として、戦争――そこに伴う莫大な人的・戦略的リスク――を、ありふれた不動産取引とは異なるものとして捉えることができていないようだ」(ライアン氏)
ライアン氏は「トランプ氏の戦争への介入は全てが災難だった」と切り捨てる。ゼレンスキー氏を繰り返し侮辱する一方で、プーチン氏を元気づけてきた。「ウクライナには“ニンジンなしの棍棒だけ”、ロシアには“棍棒なしニンジンだけ”の外交姿勢をとってきた」と非難する。
ロシアによるプロパガンダやウクライナ領土に対する権利を主張するメッセージはトランプ政権の交渉担当者によって増幅され、長年にわたる米国の欧州同盟国は蚊帳の外に置かれた。トランプ政権はロシアとの経済的機会という幻影に目をくらまされているとライアン氏はいう。
1970年代初頭、米国のリチャード・ニクソン米大統領とヘンリー・キッシンジャー国家安全保障問題担当大統領補佐官は共産主義国家の中国が米国に敵対的だったにもかかわらず、毛沢東と国交を回復させた。中ソ分裂を巧みに利用し、地政学的三角関係を構築するのが狙いだった。
宥和的な姿勢がプーチンをより大胆にさせる
「逆ニクソン戦略」をとるトランプ氏はロシアを中国から引き離し、米国側に寝返らせることができると信じている。ロシアは中国の「下位パートナー」に転落。対米関係を修復することで国際的地位を改善できると考えているため、トランプ氏のアプローチを歓迎する可能性があるとみているようだ。
西側に対抗する姿勢を強めるプーチン氏はウクライナ戦争を機に中国との関係を強め、ロシアを中国と並ぶ主要な反西側勢力と位置付けている。トランプ氏のプーチン氏への宥和的な姿勢とウクライナや欧州への敵対姿勢はむしろプーチン氏をより大胆にさせる恐れが大きい。
米国とウクライナの鉱物協定についてライアン氏は「この合意から最も期待できるのは米国をウクライナとの長期的なパートナーシップに引き込み、いずれ安全保障の保証につながる点だ。しかし現在のトランプ政権下ではそのような展開はほぼ不可能だろう」と分析する。
トランプ氏はウクライナ国民の米国への信頼を破壊した。プーチン氏の立場を強め、独裁国家の侵略行為に対して米国は干渉しないとの誤ったメッセージを発信している。「中国が台湾周辺で活動を強化し、日本に対する行動を活発化させている点で最も顕著に現れている」(ライアン氏)という。
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【木村正人(きむら まさと)】
在ロンドン国際ジャーナリスト(元産経新聞ロンドン支局長)。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。
17日にパリでエマニュエル・マクロン仏大統領、英国、ドイツ、ウクライナ高官らと協議したルビオ氏は「数日以内に、今後数週間で和平が実現可能かどうかを判断する」と、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領に痛みを伴う妥協を促したと、木村氏。
「この戦争は米国の戦争ではない。我々が始めた戦争ではない。ドナルド・トランプ米大統領は87日間、この戦争を終結させる努力を繰り返し行ってきた。この戦争を終わらせる可能性が存在するかどうかを決定し、判断する段階に差し掛かっている」と、ルビオ国務長官。
更に、ゼレンスキー大統領には痛みを伴う妥協を促したのだそうです。
ルビオ氏は、ウクライナ戦争は膠着状態に陥っており、どちらの側にも戦争を迅速に終結させる戦略的能力はなく、軍事的な解決策はないと断言。
トランプ氏も米ホワイトハウスで記者団に「もし何らかの理由で、ロシアとウクライナのどちらか一方が非常に困難な状況を作り出すのなら、私たちは『あなたは愚かだ、あなたは馬鹿だ、あなたはひどい人間だ』と言って手を引くだけだ。しかし、そうなることを望まない」とも。
「問題解決のチャンスはある」とトランプ氏は停戦に望みを繋いだと、木村氏。
「毎週2500人が戦場で殺されている。今もゲームをしている人々が殺されている。それを放置しない。誰も私を操っていない。終わらせたいという熱意は両サイドから感じている。問題解決のチャンスはある」とトランプ氏。
ウクライナ政府が18日に発表した鉱物資源開発を巡る署名済み覚書によると、同国と米国は経済連携の一環としてウクライナ復興のための投資基金を設立する方針だ。キーウとワシントンは26日までに最終合意を目指していると、木村氏。
米戦略国際問題研究所(CSIS)のミック・ライアン研究員(元オーストラリア陸軍少将)は、「和平交渉がマンハッタンのオフィスビルの売買交渉ではないことをトランプ政権も徐々に理解し始めたようだ」と指摘。
「トランプ政権は、ある目標(それが何なのかはよくわからないが、ロシアの立場をひっくり返すという神話のような目的以外には不明)を達成するための、公にされていないスケジュールに基づいて動いており、他の問題へと移行したがっている。戦争――そこに伴う莫大な人的・戦略的リスク――を、ありふれた不動産取引とは異なるものとして捉えることができていないようだ」と、ライアン氏。
ゼレンスキー氏を繰り返し侮辱する一方で、プーチン氏を元気づけてきた。「ウクライナには“ニンジンなしの棍棒だけ”、ロシアには“棍棒なしニンジンだけ”の外交姿勢をとってきた」と非難!
ロシアによるプロパガンダやウクライナ領土に対する権利を主張するメッセージはトランプ政権の交渉担当者によって増幅され、長年にわたる米国の欧州同盟国は蚊帳の外に置かれた。トランプ政権はロシアとの経済的機会という幻影に目をくらまされているとライアン氏。
西側に対抗する姿勢を強めるプーチン氏はウクライナ戦争を機に中国との関係を強め、ロシアを中国と並ぶ主要な反西側勢力と位置付けている。トランプ氏のプーチン氏への宥和的な姿勢とウクライナや欧州への敵対姿勢はむしろプーチン氏をより大胆にさせる恐れが大きいと。
米国とウクライナの鉱物協定についてライアン氏は「この合意から最も期待できるのは米国をウクライナとの長期的なパートナーシップに引き込み、いずれ安全保障の保証につながる点だ。しかし現在のトランプ政権下ではそのような展開はほぼ不可能だろう」と分析。
トランプ氏はウクライナ国民の米国への信頼を破壊した。プーチン氏の立場を強め、独裁国家の侵略行為に対して米国は干渉しないとの誤ったメッセージを発信している。「中国が台湾周辺で活動を強化し、日本に対する行動を活発化させている点で最も顕著に現れている」と、ライアン氏。
# 冒頭の画像は、4月17日、ウクライナ情勢に関して協議するためにフランスを訪れた米国のルビオ国務長官

萩の新芽
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