
米国民を含む英語を話す諸国民の物語は、絶対的な権力を懐柔していく物語だったと、フィナンシャルタイムズのマーティン・ウルフ チーフエコノミクスコメンテーター。
チャールズ1世に死刑を宣告した人々はいみじくも、この王は「自分の思い通りに支配するための際限ない、かつ専制的な権力」を手に入れようとする罪を犯したと喝破した。
米国の独立宣言と合衆国憲法の批准により、この専制政治との戦いはさらに進んだ。
南北戦争も同様で、他人に対する絶対的な権力を保持することは何人にも認められないという原則が、この戦争を経て確立された。
米国で今日起きていることは歴史的にも世界的にも重要だ。
なぜなら、気まぐれな権力行使に対する抑制が持ちこたえられるか否かが問われているからだと、マーティン・ウルフ。
20世紀の大惨事について少しでも知っている人であれば、この問題の重要性に気づかないはずはない。
専制支配を法の支配に置き換えること、そしてその法に基づいて判断する役割を裁判所に、法を制定する役割を議会にそれぞれ付与することは、道徳的な目標と実用的な目標の両方に資する。
この抑制を無視する政府は独裁政権だと、マーティン・ウルフ。
評論家のアンドリュー・サリバンが評しているように、「米国で重視されるのは法の権威だ。トランプはむき出しの権力を重視している。米国は理性への信頼の上に成り立っていた。トランプは自分自身の本能しか受け入れない」とも。
「バイデンは年を取っているかもしれないが、トランプは狂っている。それも、周りから見て楽しいと思える狂い方ではない。危険な狂い方をしている。彼の本能は独裁者のそれだ」
と、マーティン・ウルフ氏が昨年6月に指摘。そして、実際その通りであることが明らかになっている。
トランプが始めた貿易戦争はそうした危険性の証明の一つだとも。
すべての国に対する「相互」関税の発表が2日にあり、市場が大荒れになった後に税率の10%への引き下げと90日間の延期があった。
税率が懲罰的な高水準になった米国と中国の報復合戦も、この時期に行われている。
株価は下落し、市場のボラティリティー(変動性)が高まっている。
そしてそれ以上に気がかりなことに、米国債の利回りが上昇しているにもかかわらず米ドルが下落した。
資本が米国自体から逃げ出し始めたかに見えた。トランプが怯んだのも無理はないと、マーティン・ウルフ氏。
大統領は世界に「関税をかける」時、外国人が2024年末時点で米国債を8兆5000億ドル(公的債務総合計の4分の1に近い額)保有していることを認識しておくべきだったと!
保護主義の経済学それ自体よりもさらに大きな懸念を生みだしているのが、トランプの貿易戦争の進め方だと、マーティン・ウルフ氏。
深刻なのは関税の利用のされ方だと!
1970年代の米国連邦議会は浅はかなことに、「非常事態」への対応であればこの税金を思い通りに課す権限を大統領に付与してしまった。
これは典型的な専制政治だ。おかげで今、驚くまでもなく、トランプはこの権限を利用してカオス(混沌)を作り出していると、マーティン・ウルフ氏。
この関税で米国は再度工業化されるなどと、真剣に考えられる人はいない。それどころか一連の関税は企業活動をマヒさせ、物価を押し上げ、景気を減速させるとも。
何をやり出すのか予測がつかない独裁者が生み出すのは、ムダと不安、そして広範囲に及ぶ不確実性だ。
これらは繁栄を阻害すると、マーティン・ウルフ氏。
方針がころころ変わるトランプの貿易戦争と世界貿易システムの破壊は現在、それを実証している最中だとも。
今では、共産党という官僚機構がある習近平の中国の方が米国よりも、企業にとって予測可能な存在になっている。
これは実にショッキングな話だ。スキャンダルでもある
トランプを支持した人々は、束縛を解かれれば彼がカオスをまき散らすことを分かっているべきだったと、マーティン・ウルフ氏。
どんな人物にも絶対的な権力を与えてはならない。そうした権力を欲しがるデマゴーグについては特にそうだとも。
世界の課題はこの愚行に屈せず生き残ることだ。そして米国の課題はこの愚行を終わらせることだと、マーティン・ウルフ氏。
欧州の有力国では脱トランプ依存策協議に入っている事は諸兄がご承知のとおりです。
日本の「岸波政権」は。。。
対米投資国も、米国債保有国も日本がトップであることをトランプ氏に知らしめて、互恵の為の協議を進めるべきですね。
安保で、米国は日本の危機には出動するが、日本は米国の危機時には出動しないと、トランプ氏。
日本国憲法の草案を創ったのは米軍。その前文で「(日本国民は)平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」とし、日本の軍事行動を制限したのは米国ですね。
安倍ロスの今日のトランプ氏(2期目の今期限りの大統領職期限)は、期限制限の中で実績を残そうとの焦りがあるのか、1期目に比べディールの質が弱くなった(特に対プーチン)様に感じるのは遊爺が素人だからでしょうか。
# 冒頭の画像は、トランプ大統領
狂ったのか、株価下落・国債金利上昇で怯んでいるのか?

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狂った王様の経済的帰結、トランプ流の気まぐれは持続的なダイナミズムと相容れない――マーティン・ウルフ | JBpress (ジェイビープレス)
2025.4.22(火) Financial Times
「首をはねておしまい」
これは「不思議の国のアリス」に登場する専制君主ならではの気まぐれの権化、ハートの女王が好んで発する宣告だ。
女王は面白いかもしれない。しかし、現実はそうではない。
専制的な支配者は昔からずっと、領地の住民はもとより自分の家族にさえ苦難をもたらしてきた。宮廷はおべっか、えこひいき、腐敗の温床だ。
これこそ、勝手気ままに行われる専制政治の対価だ。
絶対的な権力との闘いの歴史
その全盛期においては、米国民を含む英語を話す諸国民の物語はそのような絶対的な権力を懐柔していく物語だった。
1215年の大憲章(マグナ=カルタ)から17世紀前半の内乱、1649年のチャールズ1世の処刑を経て、ジェームズ2世の追放、1689年の権利章典の発布に至るまで、これは長く苦しい闘いの歴史だ。
チャールズ1世に死刑を宣告した人々はいみじくも、この王は「自分の思い通りに支配するための際限ない、かつ専制的な権力」を手に入れようとする罪を犯したと喝破した。
米国の独立宣言と合衆国憲法の批准により、この専制政治との戦いはさらに進んだ。
南北戦争も同様で、他人に対する絶対的な権力を保持することは何人にも認められないという原則が、この戦争を経て確立された。
米国で今日起きていることは歴史的にも世界的にも重要だ。
なぜなら、気まぐれな権力行使に対する抑制が持ちこたえられるか否かが問われているからだ。
20世紀の大惨事について少しでも知っている人であれば、この問題の重要性に気づかないはずはない。
専制支配を法の支配に置き換えること、そしてその法に基づいて判断する役割を裁判所に、法を制定する役割を議会にそれぞれ付与することは、道徳的な目標と実用的な目標の両方に資する。
そのような国でのみ、国民は専制政治を免れている安心感を得ることができる。
この抑制を無視する政府は独裁政権だ。
評論家のアンドリュー・サリバンが評しているように、「米国で重視されるのは法の権威だ。トランプはむき出しの権力を重視している。米国は理性への信頼の上に成り立っていた。トランプは自分自身の本能しか受け入れない」。
我々は今、米国という共和国それ自体への周到に計画された攻撃を目の当たりにしているのだ。
貿易戦争の経済的コスト
我々はまた、経済的なコストについても教訓を与えられている。
裕福で権力もあるトランプ支持者たちは、このコストを無分別にも無視している。
筆者は昨年6月、次のように指摘した。
「バイデンは年を取っているかもしれないが、トランプは狂っている。それも、周りから見て楽しいと思える狂い方ではない。危険な狂い方をしている。彼の本能は独裁者のそれだ」
そして、実際その通りであることが明らかになっている。
トランプが始めた貿易戦争はそうした危険性の証明の一つだ。
本紙フィナンシャル・タイムズの「関税トラッカー」がまとめたところによれば、驚いたことに米国と米国から責められている国による「重要な関税の発表」はここ3カ月弱で25件に達している。
しかも、そのうちの7件が4月2日から11日までの間に集中している。
すべての国に対する「相互」関税の発表が2日にあり、市場が大荒れになった後に税率の10%への引き下げと90日間の延期があった。
税率が懲罰的な高水準になった米国と中国の報復合戦も、この時期に行われている。
株価は下落し、市場のボラティリティー(変動性)が高まっている。
そしてそれ以上に気がかりなことに、米国債の利回りが上昇しているにもかかわらず米ドルが下落した。
資本が米国自体から逃げ出し始めたかに見えた。トランプが怯んだのも無理はない。
大統領は世界に「関税をかける」時、外国人が2024年末時点で米国債を8兆5000億ドル(公的債務総合計の4分の1に近い額)保有していることを認識しておくべきだった。
関税の使い方に見る専制政治
保護主義の経済学それ自体よりもさらに大きな懸念を生みだしているのが、トランプの貿易戦争の進め方だ。
確かに、関税は政策手段としては悪手だ。
貿易可能財の生産には自国市場への強いバイアス(偏重)を、そして輸出には高率の税――実質為替レートの上昇を介した間接的な負担と、投入財の価格上昇を介した直接的な負担――をそれぞれ負わせるからだ。
しかし、それ以上に深刻なのは関税の利用のされ方だ。
関税は税金だ。1970年代の米国連邦議会は浅はかなことに、「非常事態」への対応であればこの税金を思い通りに課す権限を大統領に付与してしまった。
その「非常事態」が想像上のものであったとしても、だ。
これは典型的な専制政治だ。おかげで今、驚くまでもなく、トランプはこの権限を利用してカオス(混沌)を作り出している。
この関税で米国は再度工業化されるなどと、真剣に考えられる人はいない。それどころか一連の関税は企業活動をマヒさせ、物価を押し上げ、景気を減速させる。
気まぐれな権力の行使を終わらせることには、こうしたカオスを回避できる利点があった。
例えば、英国は17世紀末までに巨額の資金を長期間、それも低利で借りられるようになっていた。
これはまさに信頼の賜であったし、18世紀と19世紀に金融が栄える基盤の一つにもなった。ひいては産業革命と、その結果としてもたらされる繁栄を強く促す要因にもなった。
これに対し、何をやり出すのか予測がつかない独裁者が生み出すのは、ムダと不安、そして広範囲に及ぶ不確実性だ。
これらは繁栄を阻害する。
方針がころころ変わるトランプの貿易戦争と世界貿易システムの破壊は現在、それを実証している最中だ。
独裁者崇拝の愚行を終わらせろ
米国は現在、84日間ほどで180を超える国々と通商協定を締結することになっている。まるでばかげた話だ。
それに、たとえそれらの「ディール」がまとまるとしても、果たして長続きするのか。疑わしいと言わざるを得ない。
目の前にカオスが広がっているなかで、企業は長期投資を計画できるだろうか。つまるところ、企業は物事を日単位ではなく年単位で考えなければならない。
今では、共産党という官僚機構がある習近平の中国の方が米国よりも、企業にとって予測可能な存在になっている。
これは実にショッキングな話だ。スキャンダルでもある。
トランプを支持した人々は、束縛を解かれれば彼がカオスをまき散らすことを分かっているべきだった。
「独裁者」の崇拝という愚行は繰り返し起きる。
すでに分かっているように、どんな人物にも絶対的な権力を与えてはならない。そうした権力を欲しがるデマゴーグについては特にそうだ。
トランプの通商政策が成し遂げている唯一良いことは、その事実を改めて教えてくれていることだ。
これらの政策はカオスの前触れだ。
世界の課題はこの愚行に屈せず生き残ることだ。そして米国の課題はこの愚行を終わらせることだ。
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マーティン・ウルフ ロンドンのフィナンシャルタイムズのチーフエコノミクスコメンテーターです。彼は2000年に金融ジャーナリズムへのサービス“に対してCBE(大英帝国の司令官)を授与されました。
2025.4.22(火) Financial Times
「首をはねておしまい」
これは「不思議の国のアリス」に登場する専制君主ならではの気まぐれの権化、ハートの女王が好んで発する宣告だ。
女王は面白いかもしれない。しかし、現実はそうではない。
専制的な支配者は昔からずっと、領地の住民はもとより自分の家族にさえ苦難をもたらしてきた。宮廷はおべっか、えこひいき、腐敗の温床だ。
これこそ、勝手気ままに行われる専制政治の対価だ。
絶対的な権力との闘いの歴史
その全盛期においては、米国民を含む英語を話す諸国民の物語はそのような絶対的な権力を懐柔していく物語だった。
1215年の大憲章(マグナ=カルタ)から17世紀前半の内乱、1649年のチャールズ1世の処刑を経て、ジェームズ2世の追放、1689年の権利章典の発布に至るまで、これは長く苦しい闘いの歴史だ。
チャールズ1世に死刑を宣告した人々はいみじくも、この王は「自分の思い通りに支配するための際限ない、かつ専制的な権力」を手に入れようとする罪を犯したと喝破した。
米国の独立宣言と合衆国憲法の批准により、この専制政治との戦いはさらに進んだ。
南北戦争も同様で、他人に対する絶対的な権力を保持することは何人にも認められないという原則が、この戦争を経て確立された。
米国で今日起きていることは歴史的にも世界的にも重要だ。
なぜなら、気まぐれな権力行使に対する抑制が持ちこたえられるか否かが問われているからだ。
20世紀の大惨事について少しでも知っている人であれば、この問題の重要性に気づかないはずはない。
専制支配を法の支配に置き換えること、そしてその法に基づいて判断する役割を裁判所に、法を制定する役割を議会にそれぞれ付与することは、道徳的な目標と実用的な目標の両方に資する。
そのような国でのみ、国民は専制政治を免れている安心感を得ることができる。
この抑制を無視する政府は独裁政権だ。
評論家のアンドリュー・サリバンが評しているように、「米国で重視されるのは法の権威だ。トランプはむき出しの権力を重視している。米国は理性への信頼の上に成り立っていた。トランプは自分自身の本能しか受け入れない」。
我々は今、米国という共和国それ自体への周到に計画された攻撃を目の当たりにしているのだ。
貿易戦争の経済的コスト
我々はまた、経済的なコストについても教訓を与えられている。
裕福で権力もあるトランプ支持者たちは、このコストを無分別にも無視している。
筆者は昨年6月、次のように指摘した。
「バイデンは年を取っているかもしれないが、トランプは狂っている。それも、周りから見て楽しいと思える狂い方ではない。危険な狂い方をしている。彼の本能は独裁者のそれだ」
そして、実際その通りであることが明らかになっている。
トランプが始めた貿易戦争はそうした危険性の証明の一つだ。
本紙フィナンシャル・タイムズの「関税トラッカー」がまとめたところによれば、驚いたことに米国と米国から責められている国による「重要な関税の発表」はここ3カ月弱で25件に達している。
しかも、そのうちの7件が4月2日から11日までの間に集中している。
すべての国に対する「相互」関税の発表が2日にあり、市場が大荒れになった後に税率の10%への引き下げと90日間の延期があった。
税率が懲罰的な高水準になった米国と中国の報復合戦も、この時期に行われている。
株価は下落し、市場のボラティリティー(変動性)が高まっている。
そしてそれ以上に気がかりなことに、米国債の利回りが上昇しているにもかかわらず米ドルが下落した。
資本が米国自体から逃げ出し始めたかに見えた。トランプが怯んだのも無理はない。
大統領は世界に「関税をかける」時、外国人が2024年末時点で米国債を8兆5000億ドル(公的債務総合計の4分の1に近い額)保有していることを認識しておくべきだった。
関税の使い方に見る専制政治
保護主義の経済学それ自体よりもさらに大きな懸念を生みだしているのが、トランプの貿易戦争の進め方だ。
確かに、関税は政策手段としては悪手だ。
貿易可能財の生産には自国市場への強いバイアス(偏重)を、そして輸出には高率の税――実質為替レートの上昇を介した間接的な負担と、投入財の価格上昇を介した直接的な負担――をそれぞれ負わせるからだ。
しかし、それ以上に深刻なのは関税の利用のされ方だ。
関税は税金だ。1970年代の米国連邦議会は浅はかなことに、「非常事態」への対応であればこの税金を思い通りに課す権限を大統領に付与してしまった。
その「非常事態」が想像上のものであったとしても、だ。
これは典型的な専制政治だ。おかげで今、驚くまでもなく、トランプはこの権限を利用してカオス(混沌)を作り出している。
この関税で米国は再度工業化されるなどと、真剣に考えられる人はいない。それどころか一連の関税は企業活動をマヒさせ、物価を押し上げ、景気を減速させる。
気まぐれな権力の行使を終わらせることには、こうしたカオスを回避できる利点があった。
例えば、英国は17世紀末までに巨額の資金を長期間、それも低利で借りられるようになっていた。
これはまさに信頼の賜であったし、18世紀と19世紀に金融が栄える基盤の一つにもなった。ひいては産業革命と、その結果としてもたらされる繁栄を強く促す要因にもなった。
これに対し、何をやり出すのか予測がつかない独裁者が生み出すのは、ムダと不安、そして広範囲に及ぶ不確実性だ。
これらは繁栄を阻害する。
方針がころころ変わるトランプの貿易戦争と世界貿易システムの破壊は現在、それを実証している最中だ。
独裁者崇拝の愚行を終わらせろ
米国は現在、84日間ほどで180を超える国々と通商協定を締結することになっている。まるでばかげた話だ。
それに、たとえそれらの「ディール」がまとまるとしても、果たして長続きするのか。疑わしいと言わざるを得ない。
目の前にカオスが広がっているなかで、企業は長期投資を計画できるだろうか。つまるところ、企業は物事を日単位ではなく年単位で考えなければならない。
今では、共産党という官僚機構がある習近平の中国の方が米国よりも、企業にとって予測可能な存在になっている。
これは実にショッキングな話だ。スキャンダルでもある。
トランプを支持した人々は、束縛を解かれれば彼がカオスをまき散らすことを分かっているべきだった。
「独裁者」の崇拝という愚行は繰り返し起きる。
すでに分かっているように、どんな人物にも絶対的な権力を与えてはならない。そうした権力を欲しがるデマゴーグについては特にそうだ。
トランプの通商政策が成し遂げている唯一良いことは、その事実を改めて教えてくれていることだ。
これらの政策はカオスの前触れだ。
世界の課題はこの愚行に屈せず生き残ることだ。そして米国の課題はこの愚行を終わらせることだ。
---------------------------------------------------
マーティン・ウルフ ロンドンのフィナンシャルタイムズのチーフエコノミクスコメンテーターです。彼は2000年に金融ジャーナリズムへのサービス“に対してCBE(大英帝国の司令官)を授与されました。
チャールズ1世に死刑を宣告した人々はいみじくも、この王は「自分の思い通りに支配するための際限ない、かつ専制的な権力」を手に入れようとする罪を犯したと喝破した。
米国の独立宣言と合衆国憲法の批准により、この専制政治との戦いはさらに進んだ。
南北戦争も同様で、他人に対する絶対的な権力を保持することは何人にも認められないという原則が、この戦争を経て確立された。
米国で今日起きていることは歴史的にも世界的にも重要だ。
なぜなら、気まぐれな権力行使に対する抑制が持ちこたえられるか否かが問われているからだと、マーティン・ウルフ。
20世紀の大惨事について少しでも知っている人であれば、この問題の重要性に気づかないはずはない。
専制支配を法の支配に置き換えること、そしてその法に基づいて判断する役割を裁判所に、法を制定する役割を議会にそれぞれ付与することは、道徳的な目標と実用的な目標の両方に資する。
この抑制を無視する政府は独裁政権だと、マーティン・ウルフ。
評論家のアンドリュー・サリバンが評しているように、「米国で重視されるのは法の権威だ。トランプはむき出しの権力を重視している。米国は理性への信頼の上に成り立っていた。トランプは自分自身の本能しか受け入れない」とも。
「バイデンは年を取っているかもしれないが、トランプは狂っている。それも、周りから見て楽しいと思える狂い方ではない。危険な狂い方をしている。彼の本能は独裁者のそれだ」
と、マーティン・ウルフ氏が昨年6月に指摘。そして、実際その通りであることが明らかになっている。
トランプが始めた貿易戦争はそうした危険性の証明の一つだとも。
すべての国に対する「相互」関税の発表が2日にあり、市場が大荒れになった後に税率の10%への引き下げと90日間の延期があった。
税率が懲罰的な高水準になった米国と中国の報復合戦も、この時期に行われている。
株価は下落し、市場のボラティリティー(変動性)が高まっている。
そしてそれ以上に気がかりなことに、米国債の利回りが上昇しているにもかかわらず米ドルが下落した。
資本が米国自体から逃げ出し始めたかに見えた。トランプが怯んだのも無理はないと、マーティン・ウルフ氏。
大統領は世界に「関税をかける」時、外国人が2024年末時点で米国債を8兆5000億ドル(公的債務総合計の4分の1に近い額)保有していることを認識しておくべきだったと!
保護主義の経済学それ自体よりもさらに大きな懸念を生みだしているのが、トランプの貿易戦争の進め方だと、マーティン・ウルフ氏。
深刻なのは関税の利用のされ方だと!
1970年代の米国連邦議会は浅はかなことに、「非常事態」への対応であればこの税金を思い通りに課す権限を大統領に付与してしまった。
これは典型的な専制政治だ。おかげで今、驚くまでもなく、トランプはこの権限を利用してカオス(混沌)を作り出していると、マーティン・ウルフ氏。
この関税で米国は再度工業化されるなどと、真剣に考えられる人はいない。それどころか一連の関税は企業活動をマヒさせ、物価を押し上げ、景気を減速させるとも。
何をやり出すのか予測がつかない独裁者が生み出すのは、ムダと不安、そして広範囲に及ぶ不確実性だ。
これらは繁栄を阻害すると、マーティン・ウルフ氏。
方針がころころ変わるトランプの貿易戦争と世界貿易システムの破壊は現在、それを実証している最中だとも。
今では、共産党という官僚機構がある習近平の中国の方が米国よりも、企業にとって予測可能な存在になっている。
これは実にショッキングな話だ。スキャンダルでもある
トランプを支持した人々は、束縛を解かれれば彼がカオスをまき散らすことを分かっているべきだったと、マーティン・ウルフ氏。
どんな人物にも絶対的な権力を与えてはならない。そうした権力を欲しがるデマゴーグについては特にそうだとも。
世界の課題はこの愚行に屈せず生き残ることだ。そして米国の課題はこの愚行を終わらせることだと、マーティン・ウルフ氏。
欧州の有力国では脱トランプ依存策協議に入っている事は諸兄がご承知のとおりです。
日本の「岸波政権」は。。。
対米投資国も、米国債保有国も日本がトップであることをトランプ氏に知らしめて、互恵の為の協議を進めるべきですね。
安保で、米国は日本の危機には出動するが、日本は米国の危機時には出動しないと、トランプ氏。
日本国憲法の草案を創ったのは米軍。その前文で「(日本国民は)平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」とし、日本の軍事行動を制限したのは米国ですね。
安倍ロスの今日のトランプ氏(2期目の今期限りの大統領職期限)は、期限制限の中で実績を残そうとの焦りがあるのか、1期目に比べディールの質が弱くなった(特に対プーチン)様に感じるのは遊爺が素人だからでしょうか。
# 冒頭の画像は、トランプ大統領
狂ったのか、株価下落・国債金利上昇で怯んでいるのか?

この花の名前は、ニオイスミレ
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遊爺さんの写真素材 - PIXTA