晴れたが少し肌寒い春が本格的になるのはもうすぐだ転寝の季節が・・・。
今日は誕生日・・・この歳になっては芽出度い事もないのだが・・・。子供たちと劇団の青年が会食の場を作ってくれるというが・・・。日本料理店へ行く事になるが・・・。
時の流れは速い・・・。10年なんかすぐだ・・・と言っても日にちに直すと3650日・・・。今まで23360日生きたことになるが・・・。歳をとると一日なんか直ぐ過ぎる・・・。うろうろとしていてはいけないと思うが流されてしまうが・・・。何かを作り夢中になることが長寿の秘訣か・・・。
九太郎がいく・・・15
主が転寝をしているので・・・。ママさんに言って外へ出してもらう。風は少し寒いが心地いい。
今日も三太郎さんの続きを・・・。今日で終わりか・・・。
明日から振る字がかまってくれなかったら何をしょうか・・・。
目覚めて俺はまだ朦朧としている頭を振り振り、両手を伸ばして前身を屈め背を高々と持ち上げ尻を突き出して欠伸をしていたところに、
「まあ、可愛い猫がいるわ。君の名は・・・確か三太郎くんだったわね。貫之さんに百日間毎日毎日電話を掛けることが出来たらデートをしてあげましょうと言ったものだから、貫之さんは最初の内は仕事や遊び、映画にテレビ、ビリーヤードにボーリング、お父さまとお母さまのこと、道真ちゃんのこと、車に読書に・・・。段々話が尽きたのでしょうか、まあ、普通の方だったらこの辺りでリタイヤをする方が多いいのですけれど、切羽詰まると底力が出ると言うし、知恵も働くという事かしら。貫之さんは丁度五十日目から、五右衛門君がどうした、三太郎君がこうしたと言いだしたのよ。最初はなんの事か分からなかったのょ。犬とか猫とか言ってくれればいいのに・・・その日から、電話が楽しみで楽しみで、トイレに発つのを忘れて何回が失敗りましたのよ。だって、私は犬も猫も大好きなんですもの。その話だったら、一生していてもいいくらいなの。だって、動物を可愛がるって事は愛ですもの。そぅよ、友情もいるしと言うことは生き物として互いに励まし合うことだし助け合うと言う事だしー、尊敬が不可欠だしだと言う事は互いに偉大さといたらなさを知ることだしー、親子の情愛もなかったら困るということは育てる責任と躾ける忍耐と勇気がいることだしー・・・。その事は結婚生活には重大で大切な事なんですもの。子供の頃から、私は結婚するのだったら、絶対に動物大好き人間でなくてはやーだーと決めていたの。良かった、お義父さんと言う人は、まるで、ゴリラの様な方だしー、お義母さんは山羊のように大人しい方だしー、道真さんは・・・そう、盲導犬の様な方だしー。今日お邪魔をして本当に良かったと思うのよー」
前髪を少しだけ額に散らし、あとはワンレーンにして背に垂らした、うら若い乙女は俺に密かにそう言ったのだった。
やったぜ、貫之さん。目出度い目出度いぜ、百日間、俺も陰ながら応援し声援し見守って来た甲斐があったというものだ。そのために、話の材料の提供には協力したつもりだ。五右衛門君の兄さんと語らってプロレスショウのような八百長を仕組んだり、便所のスリッパの片方を隠したり、猫撫で声で擦り寄ってみせたり、尻尾をわざと踏まれてみたり、カーテンを駈け上がって落ちてみたり、欲しくもない餌を欲しがってみたり、まあー俺が考えられることは総てやったのだから。
「小野小真智と言うの、仲良くしましょうね」
と言って俺は小真智さんに抱き上げられたのだった。ふくよかな弾力のある二つの隆起が俺の首筋の辺りにあった。そして、静さんにはない甘い匂いが俺の鼻腔を擽った。俺の心臓はなぜか激しく打ち股間に全身の血が集まるのを覚えた。
「ここでしたかな、トイレと言われて発たれたが中々帰られないので道に迷われたのかと心配いたしました。何分古くてだだっ広い家でして、この前なんか帰り道が分からなくて困った方がおられましてな・・・」
主人はサービス精神を精一杯に発揮して言った。まあ、慣れぬ事とは言えユーモアとしては上等なものではなかった。主人が本領を発揮するのは五右衛門くん宜しく月に向かって吠える時だ。つまり、権力に立ち向かう時は本能丸出しで立ち向かうのだが、どうも、若くて綺麗な女性には言葉が萎縮するらしい。
「ご心配をお掛けいたしまして誠に申し訳ございません。猫の匂いがしていたものですから、ついつい足先が・・・。私は暗がりでも、どうなにややこしい露地でも道に迷ったことは御座いませんの。だって、私は夜目遠目ですもの。そして、迷いそうな所に私の匂いをそーと置いておきますから・・・」
小真智さんは零れそうな白い歯を見せた。
「それではまるで五右衛門か三太郎と一緒ということになりますぞ」
「はい。幼い頃から、自然と共に生活をし学び、人間が動物としての本能を取り戻すことを習得しましたもの。犬に負けない臭覚、食物を穴を掘り貯える技術、どんな物でも咀嚼する鋭い頑丈な歯と顎、誰の足音かを選別の出来る耳、猫の俊敏性、トイレをきちんと後方付けする几帳面さ、甘える娼婦性、どの草が薬草かを選り分けることの出来る鑑識眼、等などを治めて参りましたのです。これは、私の先祖が家訓として残したものです」
「うーん。それは参りましたな。常日頃から、その大切さは心に銘じておりましたが、その実践迄は中々出来ませんでした。・・・それ程の家柄の才女が我が家のような貧乏と友情関係にある家柄とは釣り合わないのではありますまいか」
主人はへりくだり、腰を砕けて言った。
「何を申されます。百日間一日も欠かさずに電話をしてくださった愛情はどんな高価なものにも勝ります。それに、柿本家はあの柿本人麻呂様に繋がるお家柄と言うことはよく存じております。何を隠しましょう、私の先祖は・・・」
「小野小町、クレオパトラ、楊貴妃と並び称せられた世界三大美人のお一人、でしょう。深草少将との事でつとに有名な・・・」
「あの逸話は間違っておりますの。あんな約束をしたことを小町はどんなに悔やんだことでしょう。だけど、百日間と言うのは代々小野家の女子が嫁す時に出す条件だったのです。小町も心ならずも・・・。そして、この私も・・・」
「有り難い、それでこそ、情があると言うものです。我が家に嫁いで戴けますかな」
「はい喜んで。それについて・・・」
「それについて、なにか・・・」
「はい、私は子供が好きですから・・・」
「この私も子供が好きなのは人後に・・・」
「私は、人間の出産に疑問を持っておりますの・・・」
「ほほ、どのような事ですかな」
「私は、最低三人から五人一辺に産みとう御座います」
「それは・・・」
主人は何がどうなったのか呆気に取られていた。
「はい、犬や猫のように・・・」
「と言う事は・・・」
「はい。その方が経済的ですし・・・、今後の日本の人口問題を考えますと一挙に一・五三から二ー三に出生率が・・・」
「そこまで・・・」
「はい、種の保存。これからの人間は段々弱くなります。弱い動物ほど多産でなくてはならないという本能の原則があります。これは自然界の法則にのっとっておりまして・・・」
「どんな夢を見ていたのか知らないが、心地好く眠っていたな。お前は何も考えなくていいな」
主人は胡坐をかき原稿を書いていた。その胡坐の中ですっかりいい気分で眠っていたらしい。さーて、今度はどんな夢を運んで来てくれるか・・・。
一年間ともに暮らしたが主のことは理解しがたいことばかりだ。これから観察を繰り返し人間を解剖していきたいと思うが・・・。
ひとまずここで俺の物語は未完としておこう。
こんな本はどうでしょうか・・・。
世界遺産マップス 世界遺産を旅する 白神山地 奈良世界遺産散歩 すばらしい世界遺産
先人はすばらしいものを残してくれた・・・心の糧にして・・・。
今日は晴れ桜の話ちらほらと
めでる心とマナーが大事
2006/03/23誕生日めでたいというか通過点・・・。
孫に贈ろう鯉幟・・・。