ゆいもあ亭【非】日常

映画や小説などのフィクション(非・日常)に関するブログ

韓国版の「リング」は、映画版の演出に沿いながらも、原作をも欲張って取り込んだ、という感じ。

2006-09-11 | 映画
やっと見ました韓国版「リング」(THE RING VIRUS)

なんといいましょうか、日本の映画版に沿いながら(というのは、まだその段階で日本文化の直接紹介ができなかったころなので、半日本資本で日本版「リング」の代わりにリメイクされたから、という事情があるようです)、日本版が切り捨ててしまった原作の良いところも欲張って取り入れたという感じの作品でした。(その段階で原作は翻訳・出版済みだったようですね)。

 女性新聞記者ホン・ソンジュ(シン・ウンギョン)は姪の死をきっかけに、同時に不審な死を遂げた四人の男女の謎を追い始める。そして、姪の司法解剖を担当した解剖医チェ・ヨル(チョン・ジニョン)が不可解な死には超自然な原因があると言っていたと知り、面会に行く。チェ医師は挑発的な態度で、自分は直感で超自然を感じたが、キミはなぜそんな事件に拘るのだという。理を詰めるのは記者の役割だろう、とも。

 つまり、チェ医師は真田広之の高山竜司とは違い、ちょっとエキセントリックではあるものの明白な超能力者でもなく、またソンジュとも初対面であって、元夫婦などではないし、原作の、不可思議な友人でもないわけだ。

 ホン・ソンジュは四人の泊まったペンションで奇妙なビデオを見つけ、これが「リング・ビデオ」であるわけだが、これは原作寄りの内容。例の方言婆さんの「水遊びばかりしていると、亡者が来るぞ。お前は来年子を生むぞ」というセリフも入っているし。目前に顔を歪ませた男というのも入っている。

 で、この男が天然痘である、と。殺人者は博士で父親、というのが日本版映画のはずだが、ひとひねりあって、殺人者の天然痘の男は博士の息子、つまり腹違いの兄という設定。絶滅に向かう天然痘と、死を拒みたい超能力者の力が合わさったという表現は明確ではないのだが。

 韓国版貞子ことパク・ウンソは、確かにペ・ドゥナでしたよ。彼女の出演シーンは過去ということでモノクロの場面が多いのだが、井戸の底で爪を剥がしたシーンで、ああ、ペ・ドゥナだとわかった。

 ホン・ソンジュの子どもは、日本版映画及びハリウッド版とは違って、原作と同じ娘。

 それから、日本版映画では変更されていた半陰陽(ふたなり)の設定は原作から蘇ったのだ。

 それにしても! 韓国オリジナル版DVDを某直輸入ショップのネット販売で買っていたものを、やっと見終えたわけですが、本当に辛い字幕翻訳でした。字幕を読んだだけで日本語として了解するのはなかなか難しい。なまじ語順と語彙の本質が(漢語が結構多い点など)日本語と被るだけに、翻訳者が全部を置き換えようとして変な日本語にしてしまっているせいと、読み取るのに間に合わないほど消えるのが早い部分があるので、字幕読んで、映画版やら原作やらの該当部分を心に浮かべて、やっとなるほどという感じでしたね。

 まあ、物好きのためのコレクターズアイテムだね。


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