ゆいもあ亭【非】日常

映画や小説などのフィクション(非・日常)に関するブログ

原典の方がしっかりしており、心理的にいっそう怖いぞ! 「たたり」

2007-02-12 | 映画
たたり」(THE HAUNTING)

シャーリー・ジャクソンの原作「山荘綺談」が優れているということなのだろうが、この作品、「ホーンティング」以上の傑作だと再認識した。

リメイクの方のヤン・デ・ボン監督には悪いが、あのメリー・ゴー・ラウンドの設(しつら)えられた遊戯室や、VFXで描きこまれた亡霊の存在があってやっと本作に比肩しているというように思う。

筋書き上の違いといえば、山荘のもとの持ち主の死に様とエレナー(エレノア)の母親の死に様が入れ替わっていることくらいではないか。それも、夢現(ゆめうつつ)で返事するエレナーというカットが挿入されることで、ふたりがまさに同じ死に様だったんだろうと想像させるあたりも巧妙だ。

モノクロ映画ながらセットとプロップの質感が本当に素晴らしい。

館の中の彫像たちは、VFXがなくともいつでも動き出しそうで、不気味さを醸していた。実際に「動き」として提示されたのはドアノブの緩やかな回転だけだといいうのに!

音楽も運命を甘受するよりないエレナーの心情と素性によくマッチしていたと思う。

あと一点。モノクロ作品だからこその魅力ということもあろうが、これまた「デッドリー・カラー」バージョンが出てもいいのじゃないかと思った。

*今回このオリジナルを見ながら「丘の家(ヒルハウス)」が「ウィンチェスター・ミステリー・ハウス」のイメージなのだなと感じた。女主人が生きている限り建て増しされたあの家のイメージに、そう、なんとなく近いと。また、もちろん、リチャード・マシスンの「地獄の家」(ジョン・ハフ監督の「ヘルハウス」)も、本作あってこそなのだ、とも痛感した。*


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