青桐の葉っぱの途切れたところから あっ夏の雲 あの下は雨
縁台のペンキの白がまぶしいよ スイカのたねを土にぺっぺっぺっ
さるすべりの赤い花ふさはみ出して弁天橋のこっちは夏だ
しそジュースがうまいって話を聞いたからしそを残して夏草を引く
園芸用支柱の長さ足らずしてつるむらさきの蔓はとまどう
もしかしてとなりの家の時計かも あまりにリアルな郭公のこえ
雨上がりの茗荷の葉っぱにくっついてそらまめになりたいんだ雨蛙
種を取るために残した大根の種うなだれている夏の庭
夕立はたしかな虹を立たしめて君のかつてをひらく、ひらくよ
※ ルビ 蔓(つる) 郭公(かっこう) 茗荷(みょうが)
_/_/_/ 未来10月号掲載歌 _/_/_/
_/_/_/ 笹公人 選歌欄 _/_/_/