会社へと電話がくるということは悪い知らせだ ざわざわゆれる
一世紀以上を生きた祖母は逝き弥生の空をわたる西風
妻と子をせまい車に乗せてゆく 東京の夜はきらきらしてる
からっぽのキャラメルの箱投げつけて泣かせてしまった昔を思う
ラジカセをぶっ壊されたことだって忘れられない思い出なのだ
突然に動き出してもおかしくはない感じにて眠っているよ
おばあちゃんは美人だねえと母は言う そうだよねえとゆっくり返す
やっと楽になるね母さんなんてこと口にだしては言わないけれど
_/_/_/ 未来7月号掲載歌 _/_/_/
_/_/_/ 笹公人 選歌欄 _/_/_/