くりぃーむソ~ダ

気まぐれな日記だよ。

機械仕掛けの青い鳥(40)

2019-05-10 20:02:10 | 「機械仕掛けの青い鳥」
 ニコライが、大きなグローブのような手でマットの胸をつかみながら、憎々しげに言った。
 ニコライを見上げたマットの目は、虚ろではなかったが、なぜか焦点が合っていなかった。わずかな時間をおき、ニコライを目にとめたマットが言った。
「早く行かなきゃ――」
「――ちっ」と、胸をつかんでいた手を乱暴に離したニコライは、ふらふらと一人で遠ざかっていくマットを目の端でとらえながら、助けを求めるようにイヴァンを見た。イヴァンは、困惑したように首を振った。
「あいつはあきらめろ。オレ達は助け合って、生き残るんだ」
 ニコライは、マットの後についていこうとした子供達を捕まえ、思いとどまらせると、早ばやと休憩を切り上げ、子供達の先頭に立って歩き始めた。
 どのくらい歩いただろうか、ソラとウミは、足が棒になるほどへとへとだった。当然のこと、歩き始めた時と比べ、歩く速度は明らかに遅くなっていた。
 下水道が、迷路のように複雑な構造をしていることばかりが、原因ではなかった。子供達が、たびたび進路を変えたがるせいだった。
 先頭を行くニコライも、最後尾を行くイヴァンも手を焼いていた。誰か一人が、先導しているわけではなかった。うつむきながら、辛抱強く歩き続けている子供達は、フラフラと、ときおり憑かれたように横道に逸れてしまった。強力な磁石が、どこかで子供達を引きつけているかのようだった。
「――ちょっと待て、ニコライの後についていくんだ」と、イヴァンがたびたび行進を止め、進路を修正した。
 さらに歩き続けた隊列は、しかし先に進むより、何度となく立ち止まっては、進路を確かめてばかりいた。隊列を率いている二人も、まったく意図しない事だった。迷路の出口を、完全に見失っていた。子供達に不安を抱かせないよう、冷静を装ってはいたが、一番追いつめられていたのは、イヴァンとニコライだった。
「どうして先に進めない。わざと迷路を造ったわけでもあるまいに、あり得ないほど複雑すぎる」ニコライは小声で言うと、両のこめかみを片手で強く押しながら、疲れたように首を振った。
「同じ場所を通っている可能性は?」
 イヴァンが言うと、ニコライは顔を上げないまま言った。「それはない。いくら薄暗闇だからといって、水の流れまで見落としてはいない」
「ここで、空間を繋げるか……」
「考えたが、それは危険だ。オレ達二人だけならまだしも、子供達がいる」と、ニコライは顔を上げて言った。
「歴史の講義もそうだが、もう少し心血を注いで術を身につけるべきだったよ」イヴァンがくやしそうに言った。「確かに、今のオレの力じゃ、五人同時に移動させるのが限界だ」
「歯がゆいのはおまえだけじゃないさ、もう少し進んでみよう。それでも出口がわからなければ、地上に出るしかあるまい」
 ニコライが言うと、イヴァンは大きくうなずいた。
 二人が、子供達に向かって、「さぁ、行こう」と、声をかけていた時だった。
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よもよも

2019-05-10 06:13:37 | Weblog
やれやれ。

ラーメン食いたい思いが積まって、

仕事帰りのスーパーで

思い切ってラーメンスープの素買ったった。。

帰ってきてフライパンに水汲んで、

野菜茹でてスープっぽくしといてから、

ラーメンスープの素投入。。

? ??

ラーメンじゃん。

面白いってばそりゃそうなんだけど、

ラーメンスープの素入れりゃ、

なんだってラーメンになるんだわ。

こりゃあいい。。

と思う。
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