くりぃーむソ~ダ

気まぐれな日記だよ。

よもよも

2016-03-31 06:33:54 | Weblog
なんとも、

函館方面もうすっかり雪もなくなって、

スタンド通りかかるとタイヤ交換してる車もちらほら。。

一般車はわかるけど、

どう見ても大型の働く車も交換してるから、

もう雪が降ったりしないんだろうなと思いつつ、

モヤモヤ・・・。

まだ自分の車タイヤ交換してないから、

必要以上にする減るんじゃないかって思うと、

モヤモヤ・・・。

だけどさ、

黒松内方面通ると気候が一気に変わるでしょ、

あれが悩みの種で、

この前も真冬かってくらい雪積もってたりして、

そこを夏タイヤでぶっちぎると思うと、

人に迷惑かけそうでとてもじゃないけど無理。。


そう言えば、
10年以上も前に書いたお話
修正しいしい
ウプし始めたけど、
ヘタクソでどうもすんません。。
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夢の彼方に(11)

2016-03-30 22:16:20 | 「夢の彼方に」
 黙って話を聞いていた村長が、あごに手を当てながら、考えるように言った。
「……それで、ひと足先に王様の城に向かった小人が、この子を急いで連れてくるように言ったのかね」
 モネアは、大きくうなずいた。
「今ここにいたマジリックなら、これから城に行くと言っていたんだが……」
「村長、あんな頼りない魔法使いにまかせちゃいけませんよ」と、モネアが怒ったように言った。「雲みたいにふわふわした人じゃなく、誰かもっとしっかりした人に……」
「モネアが言うのもわかるが、突然の大風で村も滅茶苦茶だ。誰かの手があくまで、何日もかかるだろう。良くないことが起こる前にこの子を城に連れて行くには、それしかないんじゃなかろうか」
「お呼びですか?」と、シルクハットを被った男が、先ほど出て行ったドアとは反対側のドアを開け放して、小走りに近づいてきた。「わたしの最高に素敵な手品が、ぜひまた見たいとおっしゃるのなら、このまま公演を延長して差し上げても、なにも問題ございませんよ――」
 にっこりと白い歯を見せて笑う男の顔を見て、モネアはあきれたようにため息をついた。
「マジリック、君はこれから、ねむり王様の城に行くと言っていたね」と、村長が言った。
「舞台の予定がなければ、残念ながら、そのとおりです」と、マジリックは目を輝かせながら言った。「なにか――」
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夢の彼方に(10)

2016-03-30 22:14:48 | 「夢の彼方に」
「――まあ、オレは王様の城で、目覚ましの銅鑼を叩いていたガッチって言うんだが……城を出てきた時には、王様はちゃんと眠ったままで、別におかしな様子なんて、どこにもなかったんだけどな……」
 と、小人のガッチが、急に思い出したように言った。
「扉は、どうなったんだ? まだ空に浮かんでるのか……」
「王様の扉は、この子が中から飛び出すと、煙が風に吹かれるようにすーっとどこかへ消えてしまったよ」
「あの、王様って、誰なんですか?」と、サトルが口を開いた。「ぼく、昨日まで自分の部屋にいたはずなんだけど、ここは、どこなんですか? 夢を見ていた間に、ずいぶん遠い所まで来ちゃったみたいなんですけど……」
 小人のガッチとモネアは、なにも言わずにお互いの顔を見合わせると、急に黙りこくってしまった。恐くなったのか、興味深げにサトルを見ていた女の子も、母親と向かい合わせで膝に座ったまま、甘えるようにしがみついて、顔をぎゅっと胸に押しつけた。
「さっ、おしゃべりはここまでだ」と言って、小人のガッチがテーブルの上にふわりと飛びあがった。「スープを飲んじまったら、さっさと服を着替えるんだ」
「おかみさん、里に帰ろうと思ったが、そうもいかなくなったらしい」と、小人のガッチが振り返って、モネアに言った。「この子が着替えたら、村長の所に行って、すぐに城まで送ってもらってくれ。オレは一刻も早く城に戻る。大臣には話をしておくから、頼んだぜ――」
「気をつけて行っておくれよ……」
 モネアが言うと、ガッチは片足立ちで靴を履き直しながら、ストンとテーブルの下に飛び降りた。ネズミのような素早さで、自分の背丈の何倍もあるドアを開けると、外に走り去っていった。
 サトルは、何か大変なことになったぞと思いながら、食べかけのスープをそのままにして、モネアが揃えてくれた少し小さめの服に着替えた。モネアは、一緒に行くと言ってぐずる女の子を、ちょっと出かけてくるからと、兄弟の女の子に預けた。
 着替えが終わると、サトルはわずかに表情が厳しくなったモネアに手を引かれ、心持ち急ぎ足になりながら、村長の家に向かった。
「おや、元気になったな」
 村長は、タマネギ畑でサトルが倒れていた時、鍬を持って様子をうかがっていたおじいさんだった。
 と、顔がすっぽり隠れてしまうほど、白黒の大きなシルクハットを被った男が、三人に背を向けている椅子から立ち上がって、モネアに深々と頭を下げた。
「やあ、またお会いしましたね、どうでしたか、今回の私の公演は?」
「村長、それがね、ちょっと困ったことになって……」モネアは言うと、ちらりと男を睨むように目配せした。
「おっと、これは申し訳ない」といって、シルクハットを被った男は後ろを向くと、小さくスキップをするように部屋の外に出て行った。
「この子のことで、ぜひ聞いてほしいことがあるんですけど……」
 サトルはモネアに促されるまま、自分の部屋に現れたヒゲの生えた子供を追いかけて、気がつくと畑に倒れていたことを、順を追って話した。
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夢の彼方に(9)

2016-03-30 22:12:24 | 「夢の彼方に」
「まったくとんでもないことが起きたもんだよ。あたしが外で洗濯物を干してたら、いきなり嵐みたいな大風が吹いてくるんだもの。あわてふためくったりゃありゃしないさ。家にはまだ小さい子供もいるからね、間違って外に出て、風に飛ばされちゃ大変だって、すぐに家の中まで戻ったんだよ。けどね、下から二番目とまん中の子が見あたらなくって、危ないとは思ったんだけど、軒下の柱につかまりながら、もう一度外に出たのさ。そしたら、風にふらふら飛ばされそうになりながら、子供達が手をつないでこっちに向かって来るじゃないか。急いで子供達の所に駆けて行ったんだけど、風がどんどん強くなってきてね、子供達もろとも、あさっての方向に飛ばされそうだったよ。扉が浮かんでるって聞いたのは、その時さ。子供達がせかすように畑の方を指さすもんだから、風に目を細めて見てみると、確かにタマネギ畑の上に扉が浮かんでるじゃないか――」
 と、サトルはついつい食事に夢中になって、モネアの声が離れていくのにに気がつかなかった。
「――オイ、聞いてんのかよ」と、テーブルの向かい側から、男の人の声が聞こえた。
「はいっ  」
 スープが鼻に触れるほど、皿に顔を近づけていたサトルは、あわてて返事をしながら、顔を上げた。そして、すぐに「えっ……」と目を丸くした。
 サトルの目の前にいたのは、鳩ほどの背丈しかない赤い小人だった。
「おまえ何者だぁ? いきなり空から降ってきやがって、もしもオレ様じゃなかったら、二人とも大怪我してたところだぜ」
 小人に驚いたサトルが、口をパクパクさせたまま声を出せないでいると、モネアが一番下の女の子を足に抱きつかせたまま、部屋に戻ってきた。
「おや、あんたも元気になったんだねぇ」
「世話になったなぁ」赤い小人は言うと、テーブルの下にちょこんと飛び降り、このとおりだ、と二、三度その場で跳ね上がって見せた。
「お礼なら、この子達に言いなよ」と、モネアは足に抱きついた子供を見ながら言った。「この子達が、タマネギ畑に埋まってたあんたを見つけて、介抱してくれたんだからさ」
「――お嬢ちゃん、ありがとうよ」と、小人は照れくさそうに言った。「今、おかみさんの話を聞かせてもらったんだが、オレはちょうど、暇をもらって里に帰る途中だったんだ。村に入ってすぐ、強い風が吹いてきて、タマネギ畑まで飛ばされちまった。おぼれる者は何とかで、今にも引っこ抜けそうなタマネギの茎につかまって、風に飛ばされまいと踏ん張ってた。そうしたら、急に影が伸びてきて、オレの周りだけ暗くなるじゃないか。どうしたんだと思って見上げれば、いつの間にか、真上の空に扉が浮いていやがる。王様が、またなにかやらかしたなと思ったら、この子が落ちてきて、ガツン! 我ながら恥ずかしい話だが、気を失っちまった」
「おや、あんた王様に詳しいのかい?」と、サトルの向かい側に腰を下ろしながら、モネアが言った。「近頃じゃ、あんまりいい噂も聞かないんだけど、やっぱり、ねむり王様になにかあったのかねぇ……」
「空に出てきた扉は、城で見た王様の扉にそっくりだったからな。もしかしたら何かあったのかもしれないが……」
「――あんた、暇をもらって里に帰るところだって言ってたけれど、ひょっとして、お城にいたんじゃないのかい」
 赤い小人は、こちらを見てちょっと困ったように眉をひそめると、頭を掻きながら、話しにくそうに言った。
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夢の彼方に(8)

2016-03-30 22:09:57 | 「夢の彼方に」
 サトルは、みんなの後を追いかけるのをあきらめ、広いグラウンドで一人きり、帰って行く仲間達の後ろ姿を見送った。
 肩を落としたサトルは、ヒゲの生えた子供が逃げこんだ家に戻ると、玄関のドアに恐る恐る手を掛けた。中にどんな人がいるのか――ゴクリとつばを飲みこみながら、音を立てないようにそっと開けていった。家の中は、弱い照明が灯されていた。人のいる気配はなかった。後ろ手にドアを閉めて中に入ると、広い廊下が果てしがないほど奥まで続いているのが見えた。廊下の両側には、等間隔にびっしりと、同じ形のドアが並んでいた。
(この部屋のどれかに、あいつが逃げたはずだ――)
 サトルは、思いつくまま片っ端からドアを開けていった。しかし、ヒゲの生えた子供の姿は、どこにも見つからなかった。あまりにも多い部屋に辟易しながら、また次のドアを開けると、誰もいないはずの部屋のドアが、サトルの後ろですっ――とわずかに開いたような気がした。おやっと思い振り返ると、ヒゲの生えた子供が、「わーっ」と目をつぶりながら、ドン、とサトルにぶつかってきた。両手で胸を突かれ、勢いよくドアの向こうに押し出されたサトルは、真っ逆さまに深い闇の中へ落ちて行った――。
 ――……
 モネアの家にやって来ると、玄関を開けたとたん、留守番をしていた子供達が、一斉に飛び出してきた。モネアの足にも腕にも、競い合うようにしがみつき、まとわりついて、すぐには離れようとしなかった。危なっかしい足取りで、懸命に走ってきた一番小さな女の子が、兄弟とは違うサトルに気がつくと、怖がって一人、べそをかいた。
「おやおや、怖がることなんてないじゃないか――」モネアは、べそをかいた女の子をなだめるように言った。「着ている服がちょっと泥だらけだけど、おかしな所なんて、どこにもありゃしないよ」
 モネアは、「気にしなくていいよ」と言いながら、緊張した様子のサトルを家の中に入れると、厚い木のテーブルを指さして、椅子に腰を下ろすようにうながした。
「果物をもらってきたから、みんなでお食べ」と、モネアは持っていた網篭を、サトルとあまり年の変わらない男の子に手渡した。「小さなお客さんにも、ちゃんと分けてあげるんだよ」
 男の子は、舌なめずりをしながらうなずいた。子供達は、篭を横取りされまいとする男の子と押し合いへし合いしながら、奥の部屋へ下がっていった。
 サトルがテーブルに着くと、モネアは「お腹がすいてるだろう――」と言って、さっそく具がたっぷり入ったオニオンスープと、ふかふかのパンをご馳走してくれた。
「まだたくさんあるから、遠慮なくお食べ……」
 サトルが夢中で食べていると、部屋をわずかに離れたモネアが、
「ちょっと小さいかもしれないけど」
 と言いながら、サトルに着替えの服を持ってきてくれた。
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夢の彼方に(7)

2016-03-30 22:07:29 | 「夢の彼方に」
 勢いよく走ってきた馬車が、目の前を通り過ぎて行った。驚いて飛び退くと、もうもうと砂煙が舞い上がった。舗装されていない、地面が剥き出しの道路だった。自動車は一台も走っていなかった。信号機もバス停もなく、街灯も立っていなかった。
 歩いているうち、サトルは少しずつではあるが、断片的な記憶を、徐々に思い出していった。
 ――……
 ヒゲの生えた子供の後を追いかけて、サトルが部屋の壁に開いた穴を抜けると、そこは小学校のグラウンドだった。もう授業は終わったらしく、がらんとした広いグラウンドには、数えるほどの生徒達だけが残って、サッカーをやっていた。と、その中の一人は、サトル自身だった。声を上げながら、懸命に走っているサトルは、隣のクラスの男子と、サッカーの試合をやっていた。
(今度こそ、負けないぞ……)と、ボールを追いかけているサトルは、先週の試合で負けた雪辱をはらそうと、いつになく躍起になっていた。サトルのちょっとしたミスで、惜しくも敗れた試合だった。
 自分に張りついたディフェンスをかわすと、パスが回ってきた。先週の試合と、まったく同じ展開だった。記憶が確かなら、もう少しでアディショナルタイム。腕時計を気にしている審判が、手を挙げて残り時間を告げるところだ。試合は、サトルのクラスが1点差を追いかけて、隣のクラスのゴールに攻めている場面だった。このままドリブルで前に出て行けば、ゴール前が開いて、最高のチャンスがやって来る。サイドから走ってくる見方のフォワードが、あの時と同じようにゴール前に出てくれば、後はボールに引きつけられた敵をかわして、パス――。
 前を走っていたのは、ヒゲの生えた子供だった。サトルと並んで走りながら、おびえたような目をちらりとこちらに向けた。子供は、逃げるようにサトルを追い越すと、どんどん先へ走って行った。サトルはパスを出すタイミングを逃し、やすやすと敵にボールを奪われてしまった。しかしサトルは、ミスを取り返そうとせず、一人だけボールと反対方向を向くと、必死で子供の後を追いかけていった。
「待て!」
 サトルは子供に追いつくと、捕まえようと後ろから手を伸ばした。しかし、指先がかろうじて青い服に触れたものの、今一歩のところで足が追いつかず、捕まえ損なってしまった。子供はサトルの手を逃れると、見たこともない大きな家の門を抜け、低い階段を駆け上がると、玄関のドアをバタンと閉めて中へ入ってしまった。
 サトルは、一気に階段を駆け上がった。閉じられたドアの前で足を止め、立ったまま膝に手をつくと、ぜえぜえと荒い息をついた。
「あーあ」と、がっかりしたような声が聞こえた。
 サトルが振り返ると、試合に負けたクラスメート達が、グラウンドの隅に集まって、悔しそうに肩を落としていた。サトルはまだ試合中だったことを思い出し、「ごめんよ」と言いながら、駆け戻ろうとした。しかし、いくら走っても、目と鼻の先に見えるみんなの所へは、まるで近づく事ができなかった。ぜえぜえと、苦しい息を我慢しながら走り続けても、みんなが集まっている所には、とうとうたどり着くことができなかった。クラスのみんなは、大きな声で叫んでいるサトルに目を止めることもなく、互いに声を掛け合うと、手を振って、それぞれグラウンドを後にしていった。
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夢の彼方に(6)

2016-03-30 22:05:33 | 「夢の彼方に」
 セルナ先生が肩にかけていたのは、ヒゲの生えた子供に持ち去られたランドセルだった。
「あっ」サトルは思わず声を上げると、ランドセルに手を伸ばした。「これ、ぼくのです……」
 息を弾ませたセルナ先生が、ほっとしたように言った。
「よかった。あの子達が、サトル君と一緒に落ちてきたのを見たんですって」
「先生ー」と、少し離れたところから、子供達の声が聞こえた。
 セルナ先生が「はーい!」手を挙げて振り返ると、小さな子供達が何人か、楽しそうに笑いながら、飛び跳ねるように手を振っていた。
「落ちてきた……」と、サトルはランドセルに目をやったまま、つぶやくように言った。
「モネアさんも、わたしで何かお手伝いできることがあれば、遠慮なく声をかけてくださいね」
「ありがとう、先生」と、モネアが言った。「こっちこそ、旦那と子供達で手が余ってるんだから、助けてほしいことがあれば、すぐにでもお手伝いさせて頂きますよ」
「それじゃあね――」セルナ先生はサトルに笑顔で言うと、手を振りながら、子供達の所に駆けていった。
 受け取ったランドセルは、空っぽのように軽かった。モネアの後に続いて、サトルはまた歩きはじめた。しかし、すぐに立ち止まると、草の生えた地面にランドセルを置いて、中を開けてみた。入っていたのは、国語の教科書がひとつきりだった。ほかに入っていたはずの教科書も、ノートも、筆箱もなかった。
(落ちてきたって、どういう事なんだろう……)
 モネアが、サトルの様子に気がついて、立ち止まった。
「どうしたんだい。早くしないと、日が暮れちまうよ」
 サトルは顔を上げると、ランドセルを肩にかけながら、モネアの所へ走っていった。
 家に招待してくれたモネアと並んで歩きながら、サトルは自分がどうしてここにいるのか、ここはどこなのか、なんとか思い出そうとしていた。夢を見ているような浮遊感が、まだ抜けきっていなかった。記憶があいまいで、はっきりとした自信はなかったが、何度も来たことがある場所のような、不思議な安心感があった。迷子になったという不安は、少しもなかった。すぐにでも、家に帰れると思っていた。
 畑を抜けると、広い通りに出た。おかしな事が、いくつも目についた。空はからりと晴れ渡り、雲ひとつない天気にもかかわらず、鉢植えの花が散乱し、太い木の枝が折れ、壁の板が、ところどころ剥がれ落ちている家もあった。今さっきまで、猛烈な台風が吹き荒れていたかのような有り様だった。人々が外に出て、額に汗を流しながら、懸命に後片づけをしていた。
 しかし、サトルがそれ以上に奇妙に思ったのは、村の様子だった。並んでいる建物は、どれも自分達で手作りしたような木の家だった。けっして、立派とは言えなかった。サトルの町に比べると、どれも古ぼけた家ばかりで、苔むした木の臭いが、ぷんと漂ってきそうだった。人々の服装も、見慣れた洋服を着ている人は誰もいなかった。名探偵のドラマで見るような、古めかしい格好をしていた。
 通りには、行き来する人達に混じって、ロバを引いている人の姿があった。ロバの背中には、たくさんの荷物が山のように載せられていた。足を進める度、大きな荷物がゆっさゆっさと揺れ、今にもずり落ちてしまうんじゃないかと、思わず目を奪われた。
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夢の彼方に(5)

2016-03-30 22:02:46 | 「夢の彼方に」
 サトルは、二人の顔を交互に見ながら言った。
「サトル、です……」
 サトルだってよ――。聞かないわね……。と、別の女の人が声をひそめ、隣り合った人と向かい合って、なにやらひそひそと話し始めた。
 と、セルナ先生と呼ばれていた女の人が、にっこりと笑いながら、顔を近づけて言った。
「サトル君って言うんだ」
「まったく、人騒がせにも程があるよ」と、頭に布を巻いた女の人が、不機嫌そうに言った。「おまけに人をこんなに泣かせるなんてさ、悪い子だよ」目の下を指でぬぐいながら、クスンと鼻をすすった。
「ほんと、驚かされるねぇ」ため息をつきながら、モネアが言った。
「さっ、立てる?」と、セルナ先生が手を差し出した。「どこか痛いところはない……」
 サトルは「いいえ」と首を振りながら、肘を突いて体を起こした。どこにも、痛い所はなかった。もわっと軟らかな土の感触が、お尻から伝わってきた。体を起こすと、畑の中にいるのがわかった。緑色の茎をつけたタマネギが、黒い土を根につけたまま、そこいら中にゴロゴロと転がっていた。目と鼻を刺激するタマネギの臭いが、むせ返るほど漂っていた。どうして、自分はここにいるのか……。寝ぼけているせいか、サトルは昨夜からの出来事を、なにも覚えていなかった。
 ペコリ、と頭を下げながら、サトルはセルナ先生の手を握ると、ヨイショと立ち上がった。着ているパジャマの背中も尻も、畑の土で真っ黒だった。後ろを振り返り、また振り返りはたき落とすと、手を貸してくれたセルナ先生も、パジャマについた土を一緒に払ってくれた。
「タマネギも大切だが、坊やに怪我がなくって、本当に良かったよ。なあ――」と、鍬を持ったおじいさんが言った。
 モネアは、心配そうにサトルを見ながら、何度も大きくうなずいた。
 と、頭に布を巻いた女の人が言った。
「大事にならなくてよかったけど、ここじゃタマネギが目にしみて、涙が止まらないよ」
 サトルの回りに集まった人達も、涙をしきりにぬぐいながら、鼻をクスンクスンさせていた。
「これ、うちのやんちゃ坊主が履き古した靴だけど」と、モネアがサトルの足下に靴を置いた。「さぁ、履いてごらん――」
 サトルは、こくりとうなずいた。
「大きさはちょうどいいみたいだね」と、靴のつま先を親指で押しながら、モネアが言った。「誰か迎えに来てくれるまで、わたしの家においで。なぁに、遠慮することはないさ、子供の一人や二人増えたって、たいして変わりゃしないよ。それより、お腹がすいているんじゃないのかい?」
 モネアの後ろについて、サトルは、タマネギがたくさん転がっている畑を後にした。集まっていた人達も、口々に「ひどい風だったな」と言いながら、それぞれ畑を後にしていった。
 歩きはじめてすぐ、サトルに手を貸してくれたセルナ先生が、走って追いかけて来た。
「これ、サトル君の?」
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夢の彼方に(4)

2016-03-30 21:59:34 | 「夢の彼方に」
         2
 仰向けに気を失っていたサトルが目を覚ますと、見ず知らずの人達が、サトルの周りをぐるりと取り囲んでいた。人々は誰もが目に涙を浮かべながら、サトルの顔を心配そうにのぞきこんでいた。
「おい、目を開けたぞ――」と、男の人が声をひそめて言った。
「寝間着じゃないのかい……しかも裸足だよ――」と、女の人が気味悪そうに言った。
「空から落ちてきた所を、モネアさんが見てたらしいぞ」と、また別の男の人が、人差し指を空に向けながら言った。
「鍛冶屋のところのおかみさんかい?」と、男の人が聞いた。
「ああ、アレイの嫁さんだ」と、鍬を持ったおじいさんが言った。
「何でまた――」と、話を聞いていた男の人が、驚いたように言った。「あんな高い所から落ちきて、よく助かったもんだ」
「……頭でも打ってるんじゃないのかね」と、頭に布を巻いた女の人が、サトルの顔をのぞきこんだ。
「学校の屋根が、丸ごと持って行かれたほど、ひどい風だったからな。人が飛ばされてきたって、おかしくないだろう」と、白髪の生えたおじいさんが言った。「タマネギ畑も、見てのとおりの有り様だしな――」
「どうだい、先生の知ってる子かい?」と、女の人が言った。
「いいえ、私の生徒じゃありません……」と、長い髪を後ろで結った女の人が、首を振った。
「セルナ先生が知らないとすりゃ、やっぱりこの村の子じゃなさそうだな」と、鍬を持ったおじいさんが言った。
「王様の扉から落ちてきたんだよ」と、女の人の声が聞こえた。集まっていた人達が顔を上げると、網篭を持った女の人が、こちらにやって来るのが見えた。「子供達も一緒だったから、間違いないさ」女の人は、子供の靴を脇に挟みながら、長いスカートをたくし上げ、ぬかるんだ地面を一歩ずつ、足下を確かめるようにやって来た。
「モネアさん、一緒に倒れていた小人は、大丈夫だったかい」と、男の人が言った。
「ああ、気を失っていただけさ」と、モネアが言った。「うちの子供達が興味津々でね、みんなでかわるがわる家に運んでいったよ」
 と、ヒゲを生やした男の人が、背伸びをしながら、大きな声で言った。
「おい、医者はまだか?」
「しっ」と、誰かが怒ったように言った。
「おっ、気がついたみたいだな……」
 サトルが目をぱちくりさせると、「おーい、子供が起きたぞ」と、鍬を手にした男の人が、後ろを振り返って、大きな声を上げた。
「おーい、子供が目を開けた」と、別の男の人が言いながら、人の輪を抜けてどこかに走って行った。
 頭に布を巻いた女の人が、サトルの顔をのぞきこみながら言った。
「あんた、どこの子だい?」
「名前はなんて言うの?」と、モネアが顔をのぞかせた。
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よもよも

2016-03-30 06:23:11 | Weblog
なんとも、

毎月ぼやいてる気がするけど、

もう3月も終わりだべさ・・・。

厳しい冬は気を抜くと

すぐに体調壊したりして気が張ってるからいいけどさ、

暖かくなってくると気が抜けてだれて困るし、

張ってた気が抜けるんでなんか精神的につらくなる・・・。

こんな晴れてンのに働きたくねぇとか、もっと眠ってたいとか。。

・・・・

って、学生の頃となんも変わってねぇや。。
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