4
サトルが目を覚ましたのは、暖かな朝日が、顔をほんわかと照らし始めてからでした。まぶしい光に柔らかく包まれ、ふわふわと重さを感じさせない体は、まるで翼の生えた天使が、天国の空を気ままに飛んでいるかのようでした。
「おっ、やっとお目覚めかい。今日もいい天気になりそうだぜ」と、サトルの耳元でガッチの声が聞こえました。
「おはよう、ガッチ……」
と、サトルはすぐに息を飲みました。
サトルが天使になったような気分で起きてみると、そこは地上にあるすべての物がミニチュアに見えてしまうほど、高い空の上でした。サトルは、そんな高い空の上で、物干し竿にぶら下げられた洗濯物のように、宙に浮いていました。
どうしてこんな所にいるのか――頭の中で昨日の出来事を思い出し、こんがらがった考えを整理しました。そして、出てきた答えのとおり、恐る恐る真上を見上げました。
バサッバサッ――と、繰り返し鳴り続く翼の音は、まるで山が丸ごと飛び上がったかのような、巨大な石の鳥のものでした。サトルはその鳥の、これまた大きな足に、しっかり襟元をつかまえられていました。
「――はっはっは」と、ガッチがからかうように言いました。「なにをびくびくしてんだ、サトル。顔が空みたいに真っ青だぞ」
サトルは、なんとか口を開こうとしましたが、ガッチの言うとおり顔が青ざめて、小刻みに震えているのが精一杯でした。
「まあいいさ――」と、ガッチがあきらめたように言いました。「あの岩山で、この鳥に引っさらわれた時は、この足をなんとか放させて、逃げようとしたんだ。けど、ここぞって時にサトルが気絶しちまって、起こす間もなく、あっという間に空高く持って行かれたもんだから、さすがになんにもできなくて、しかたなく空の上でひと晩過ごしたのさ」
「ぼく達、どうなるの、かな――」と、サトルは震える声で言いました。
「子供のエサにでもするつもりだろうよ。子供って言っても、親がこんなにでかいんじゃ、子供も恐竜ほどはありそうだな……」と、ガッチが言いました。
「……」と、サトルは首を傾げました。「石の鳥って、肉を食べるの?」
と、ガッチは宙に目を向けたまま、何も答えませんでした。
「――とにかくよ、どっかに連れて行かれる前に、さっさと逃げ出さないと、またひどい目にあっちまう」と、ガッチは言いました。
「どうやって……」と、サトルが言いました。
「そうだよな。こんな高い所で落ちたりしたら、それこそ一巻の終わりだし――。まぁ、海なり湖なりがあれば、別なんだが――」と、ガッチは思案げに言いました。
「ガッチ!」と、サトルが急に言いました。「あれ見て。川だよ、川があるよ」
サトルが目を覚ましたのは、暖かな朝日が、顔をほんわかと照らし始めてからでした。まぶしい光に柔らかく包まれ、ふわふわと重さを感じさせない体は、まるで翼の生えた天使が、天国の空を気ままに飛んでいるかのようでした。
「おっ、やっとお目覚めかい。今日もいい天気になりそうだぜ」と、サトルの耳元でガッチの声が聞こえました。
「おはよう、ガッチ……」
と、サトルはすぐに息を飲みました。
サトルが天使になったような気分で起きてみると、そこは地上にあるすべての物がミニチュアに見えてしまうほど、高い空の上でした。サトルは、そんな高い空の上で、物干し竿にぶら下げられた洗濯物のように、宙に浮いていました。
どうしてこんな所にいるのか――頭の中で昨日の出来事を思い出し、こんがらがった考えを整理しました。そして、出てきた答えのとおり、恐る恐る真上を見上げました。
バサッバサッ――と、繰り返し鳴り続く翼の音は、まるで山が丸ごと飛び上がったかのような、巨大な石の鳥のものでした。サトルはその鳥の、これまた大きな足に、しっかり襟元をつかまえられていました。
「――はっはっは」と、ガッチがからかうように言いました。「なにをびくびくしてんだ、サトル。顔が空みたいに真っ青だぞ」
サトルは、なんとか口を開こうとしましたが、ガッチの言うとおり顔が青ざめて、小刻みに震えているのが精一杯でした。
「まあいいさ――」と、ガッチがあきらめたように言いました。「あの岩山で、この鳥に引っさらわれた時は、この足をなんとか放させて、逃げようとしたんだ。けど、ここぞって時にサトルが気絶しちまって、起こす間もなく、あっという間に空高く持って行かれたもんだから、さすがになんにもできなくて、しかたなく空の上でひと晩過ごしたのさ」
「ぼく達、どうなるの、かな――」と、サトルは震える声で言いました。
「子供のエサにでもするつもりだろうよ。子供って言っても、親がこんなにでかいんじゃ、子供も恐竜ほどはありそうだな……」と、ガッチが言いました。
「……」と、サトルは首を傾げました。「石の鳥って、肉を食べるの?」
と、ガッチは宙に目を向けたまま、何も答えませんでした。
「――とにかくよ、どっかに連れて行かれる前に、さっさと逃げ出さないと、またひどい目にあっちまう」と、ガッチは言いました。
「どうやって……」と、サトルが言いました。
「そうだよな。こんな高い所で落ちたりしたら、それこそ一巻の終わりだし――。まぁ、海なり湖なりがあれば、別なんだが――」と、ガッチは思案げに言いました。
「ガッチ!」と、サトルが急に言いました。「あれ見て。川だよ、川があるよ」