映画で楽しむ世界史

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シルクロード旅行(その1)日本人の西域好き

2011-06-18 12:03:33 | 舞台は東アジア・中国
シルクロード旅行(1)日本人のシルクロード好き

東北大震災とそれに続く政治のすったもんだで、むしゃくしゃする日が続き、
思い切ってシルクロードまで行ってくることにした。

別に気取る訳ではないが、改めて考えるに、日本人は何故シルクロードがこうも好きなのだろう。
いろいろな理由が考えられる。例えば・・・

① 漢字文化、漢文読み、唐詩好き⇒西域への憧れ

② 仏教の伝来した道、西洋にも繋がるという旅情

③ 井上靖、平山郁夫等シルクロード好きの文化人

④ そして何よりもNHKのシルクロード番組の迫力


しかし、私が一番納得する答えは、司馬遼太郎氏の「街道を行く」にある説明である。
それはシルクローには関係のない「25巻 中国・閩の道」に出てくるので、
ちょっと目に着き難いのだが、氏は以下のように言う。

「奈良朝・平安初期までの日本が、遣唐使を派遣して唐文明を摂取しつづけたことは、
よく知られている。遣唐使という国家事業が廃止されたのは9世紀末である。
以後日本は文化的には鎖国のかたちになった。同時に世界でも独自な平安文化が醸成された。
その一方において、唐の記憶は、文化として強烈にのこった。(唐詩の西域への異国趣味など)」


私はこれに日本人の「タコつぼ精神」と結びつけて考える。

日本人は「自分たちの国、領土が海に囲まれていることを意識の底まで刷り込まれている。
海路は難多く、異人・異文化には接触しにくい。しかし異人・異文化には優れたものがある。
だから絶えずアンテナを張って海の外の様子を伺っている必要がある」

この意識から来る知識欲・情報要求・・・それが上記①ー④の理由の根底にあるのだと思う。

そして、19世紀末(日本での明治末期)、ヨーロッパ人の間で未知の大陸探検熱が興り、
中央アジアにも優秀な探検隊が入ってきた。
スウェーデン人のヘディン、イギリス人ノスタイン、ロシア人のブルジェワルスキー等に刺激され、
日本も大谷探検隊が派遣され、ことは承知の通りである。

現代の我々はこういう延長線上にいる。
(了)



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