映画で楽しむ世界史

映画、演劇、オペラを題材に世界史を学ぶ、語ることが楽しくなりました

ゲーテ街道を「ファウスト」(2)

2012-07-22 19:01:31 | 舞台はドイツ・オーストリア
ファウスト(2) 最近のドイツ旅行はかっての「ロマンテック街道」一辺倒から脱し、メルヘン街道、 古城街道、ファンタステック街道、アルペン街道等々いろんな観光ルートが楽しめるようだ。 中でも「ゲーテ街道」は、ライプチッヒから中央ドイツを南西に横切ってゆくのだが、 途中イエナ、ワイマール、アイゼナハなど正に、ゲーテ・シラーを彷彿させる街町を通ってゆく。 そこで問題のゲーテ。彼は当時のドイツでいえば . . . 本文を読む

ドイツらしさ一杯「ファウスト」(1)

2012-07-22 19:01:12 | 舞台はドイツ・オーストリア
ファウスト(1) 第68回ヴェネチア国際映画祭で「金獅子賞」を獲った「ファウスト」。 言わずと知れたドイツの文豪ゲーテの代表作を映画化したもの。 原作の「ファウスト」は、中世ドイツに実在したと言われるドクトル・ファウストゥスの伝説を下敷きに、 ゲーテが一生かけて完成した大作。 主人公ファウスト博士は、医学を始め、錬金術や占星術など考えられるあらゆる知識を会得したが、 その限界に至ったのかどう . . . 本文を読む

絵葉書のような「ゲーテの恋」

2011-11-30 12:19:40 | 舞台はドイツ・オーストリア
絵葉書のような「ゲーテの恋」 久しぶりのドイツ映画。ゲーテの若き日の彷徨を描いた 「若きウェルテルの悩み」の映画化と考えていいだろう。 18世紀末のドイツの雰囲気はよく出ていて、 絵葉書やプロマイド写真のような出来上がり。但し・・・それだけ。 しかしゲーテといえばシラーと並びドイツ人が誇る大文豪、ドイツの至るところに彼らの銅像がある。 彼らが煽った「シュトゥルム・ウントドランク」=疾風怒濤 . . . 本文を読む

史上初のSF映画「メトロポリス」

2011-03-12 18:21:32 | 舞台はドイツ・オーストリア
「THE COMPLETE METROPOLIS!」というDVD SF映画の幕を開いたといわれる1926年のドイツ映画の「完全復元版」。 この映画、当初のオリジナル作品は3時間を超える超大作、アメリカの「イントレランス」ともいうべき貴重なものなのだが、完成の時期があまりにもまずい。 第一次大戦後のドイツには社会主義・共産主義の嵐が吹き荒れ、1919年かろうじて社会民主党主導の「ワイーマール共 . . . 本文を読む

「冬物語」のこだわり

2011-02-17 10:15:01 | 舞台はドイツ・オーストリア
2月12日NHKhi、蜷川幸雄、彩の国劇場の「冬物語」。 この劇を見るたび思う疑問、シチリアとボヘミアの関係。 シェクスピアは種本を変えて両国をとり替えたため「ボヘミアの海岸」などというあり得ないことが起きたとされているが、そもそも歴史上どうして双方の交流が生じたかが問題。 . . . 本文を読む

第九に執念「敬愛なるベートーヴェン」

2010-12-26 18:47:01 | 舞台はドイツ・オーストリア
現在上映中の「敬愛なるベートーヴェン」 第九交響曲が出来上がる裏には、聴覚を失い、満足な家族も持たない、あの気難しい作曲家に仕え、彼のなぐり書きの楽譜を清書した女性「写譜師」がいたという話。 当時のウイーンの情景をよく映し出してはいるし、ベートーヴェンの人柄とそれを理解しようとする写譜師のスト-リーはよく分かるが、映画全体としては単純、起伏に欠けいまひとつ物足りない。 ところでこの第九は . . . 本文を読む

楽聖の恋人探し「ベートーベン 不滅の恋」

2010-12-26 18:46:34 | 舞台はドイツ・オーストリア
「ベートーベン演奏会デヴュー200年記念作品」と銘うった「ベートーベン 不滅の恋」( 1994年のアメリカ映画) 1、ベートーベンの恋人探し  べトーベン映画は何本かあるが、この映画はべトーベンの遺書に中に紛れ込んでいた宛先不明の恋文について、何時、誰宛てにかかれたものかという事実探しを主軸にすえるもの。このテーマは、恋文の中に出てくる一文から「不滅の恋」探しと呼ばれ、永年に亘り多く . . . 本文を読む

モーツアルトの命日「アマデウス」

2010-12-26 18:46:06 | 舞台はドイツ・オーストリア
12月5日はモーツアルトの命日。NHKはBSで「アマデウス」放映。    この映画の中に出てくるVIP2人    一人はザルツブルグの「大司教」・・・当時の大司教の名は、ヒエルニュムス・コロデド。そもそもザルツブルグはローマ時代からの歴史ある街、カソリック教会の中でも地位が高い大司教を擁き、他の領主諸侯から独立したいわばミニ国家(日本流に言えば門前町 . . . 本文を読む

ヴィスコンティ監督「ルードヴィヒ」

2010-12-26 18:44:44 | 舞台はドイツ・オーストリア
11/23日、NHKのBS映画劇情は「ルードヴィヒ」 ヴィスコンティ監督が渾身の力を込めた4時間の大作だが、監督は単純に耽美主義的に「狂王ルードヴィヒ」を描いているだけではない。この一作に4時間という時間をかけたのは、ドイツを始めとするヨーロッパ人の自らの歴史に関する深い愛憎、怨念のようなものを塗りこめたかったからに違いない。  ともあれこの映画の主たるストーリー・・・バイエルン王 . . . 本文を読む

舞姫(森鴎外)

2010-12-26 18:42:53 | 舞台はドイツ・オーストリア
11/02 深夜BS放送 郷ひろみの 「舞姫」   映画としての出来は決していいとは思わないが、篠田監督は近年「スパイゾルゲ」とかこの舞姫とか、日本と西洋の接点、映画化には難しい分野に関心を寄せられる。どういう心境の変遷があるのであろうか。  内容は一種の「青春の蹉跌」もの風に描かれるが、そのストーリーは別にして・・・ ビスマルク時代のベルリンの雰囲気が味わえるのがよい . . . 本文を読む

「ロード・オブ・ザ・リング」対「ナルニア国物語」

2010-12-26 18:42:02 | 舞台はドイツ・オーストリア
おすすめ「魔法ファンタジーの世界」(岩波新書) CGの技術が深化し、ファンタジー映画のスケールが大きくなった。パソコンゲームで育った年代の人には格好のエンターテインメントだろう。大人も無邪気に楽しめばいい。 しかし、少し薀蓄に浸るとすれば、こういうファンタジー物語もやはり歴史物に起源があることを知るべきだ。 「指輪物語」のトールキンは元々言語学者で、明らかにゲルマン民族の伝説を受け継いでいる . . . 本文を読む

「ブリキの太鼓」の鑑賞法

2010-12-26 18:19:11 | 舞台はドイツ・オーストリア
重苦しく後味の悪い映画の代表?へ挑戦してみよう 原作は戦後ドイツ文学最大の成果ともいわれるギュンター・グラスの小説なのだが、いやはやなんとも重苦しく、且つ後味が悪い(総ての評論家も同様のことを言う)。この映画を正しく鑑賞するには、事前にか事後にか相当の知識を得ておく必要がある。とてもエンターテインメント気分だけでは済まない。 3点ぐらいに絞って書く。 Ⅰ、グダンスクというところ 先ず重苦 . . . 本文を読む

「第三の男」のウイーン事情

2010-12-26 15:09:14 | 舞台はドイツ・オーストリア
NHKのBS映画 「第三の男」当時のオーストリア   あまりにも有名なこの映画、背景は第二次大戦直後のウイーンであることは衆知の如くであろう。ウイーンは1945年4月、先にソ連軍によって解放され、地方諸州を含めてソ・米・英・仏四カ国に占領統治される。 その限りにおいてベルリンと同じ。だのにベルリンのように壁が築かれることはなかった。何故だろう。後に「祖国の父」と呼ばれる立派な政治 . . . 本文を読む

「西部戦線異状なし」を見直すと

2010-12-26 12:55:20 | 舞台はドイツ・オーストリア
映画史に輝く「西部戦線異状なし」。この映画が第一次大戦が終わって10年ちょっとの1930年に出来ていること、この映画が大ヒットしたにも関わらず、その10年後にまた第二次大戦が始まっていること、いったいどう考えればいいのだろう。 そしてこの映画のお陰で「西部戦線」は第一世界大戦の象徴のような役割を果たしているが、この西部戦線という言葉、西の戦場という意味を超えて、如何なる意味を含んでいるのだろうか。 . . . 本文を読む

ドレスデンを空襲したのは

2010-12-26 11:13:14 | 舞台はドイツ・オーストリア
「ドレスデン・運命の日」 この映画を見るには、少し予備知識が要る。 ついでにドレスデンの歴史を整理しておこう。 1、誰が何故?ドレスデンを空襲 ドレスデン大空襲は1945年2月の話。この時期、西より英米軍、東よりソ連軍がドイツの枢要都市に迫り、第二次世界大戦の帰趨はほぼ明らかになっていた。 そしてドレスデンは「エルベ河畔のフィレンツィア」ともいはれる美しい街、歴史の街・・・・・典型的なバロック様 . . . 本文を読む