エンゼルシュタインの「イワン雷帝」。いろんなことで有名な映画だが、
映画を見るときの大筋、ポイントを絞ると以下三点。
① ロシア史上最蛮勇をふるった皇帝・・・貴族や教会を強権でもって抑え込む。
② ロシアの領土拡大・・・モンゴルの末裔国家を滅ぼす。初めてシベリア進出。
③ 勝手・奔放な私生活・・・6回の結婚、息子殺し、後継者争いからロシア分裂。
この中でも、特に②の一つ、「カザンハーン国」 . . . 本文を読む
エンゼルシュタインの映画で有名な「アレキサンドル・ネフスキー」・・・ロシアの古事記ともいうべきものだ。
ロシアに行くとこの言葉(名前)は頻発する・・・教会や修道院の名前、地名や道路、ビルのの名前、その他至るところで・・・。
要するに、彼はドイツ人に勝った英雄なのだ(正確に言えば1240年、当時北東欧で猛威をふるったドイツ騎士団国家に「チュド湖の戦い」で勝った)。しかしちょうどその時期、東より攻 . . . 本文を読む
ロシアの古事記「ルスランとリュドミーラ」
19世紀中頃からロシアは急速に「国民芸術家」を育て、いわば国家意識昂揚のためのストーリーに音楽をつけた「国民オペラ」をいくつか作るが、
プーシキンが古い民話を物語に書き、グリンカが曲をつけた「ルスランとリュドミーラ」はロシアの建国物語、ロシアの古事記ともいうべきものだ。
ストーリーはよくある「公家の姫の婿取り物語」なのだが・・・・・・
この公家は一体 . . . 本文を読む
およそ日本人で、バルカン半島の民族紛争について、正確・まともな意見を言える人は少ないだろう。とにかく古くからの民族覇権争い、カソリック・ギリシャ・イスラム入り乱れての宗教紛争、異民族支配、共産主義支配・・・・・世界をややこしくする総てがある。
世界の映画関係者が絶賛したこの映画、我々は「とにかくよくできている、各種映画賞を総なめしたのもうなずける」というほか、下手なことは言えないし、言っても虚 . . . 本文を読む
東映映画「反逆児」(1961年)は今井大輔監督自身が脚本を書き、絶頂期の中村錦之助(萬屋錦之助)を用いた力作。原作は大仏次郎の「築山殿始末」。
この原作・映画の「築山殿事件」や「信康仕置事件」は徳川家康物には必ず出てくる有名な話・・・有名偉人の優秀な嫡男が、理不尽な話で若くして悶死を余儀なくされるという話は、菊地寛の「忠直卿行状記」と双璧だと思う。
歴史上は、この原作や映画で描かれているストー . . . 本文を読む
吉川英治の原作「新・平家物語」を映画化したものという。
それはその通りなのだが、映画の内容は「Young Kiromori」=「若き日の清盛」といったもので、吉川の作品を通して映画化したものではない。
しかし一般に「平清盛」といえば、奢る平家を象徴する悪者で歴史上の役割も正当ではない中、この映画は平安末期、武家の台頭という歴史背景をも取り入れつつ「若き日の清盛」を見せてくれる貴重な映画だ。
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日本初の総天然色映画「地獄門」がデジタルリメイクされて、NHKに登場。
本邦初の「色つき映画」ということで気合いが入ったようだ。衣笠監督の色の演出が入念で、結果的にそれが日本人の色彩感覚、美的センスを海外に知らせることになり、
本作はアカデミー賞にて衣裳デザイン賞(和田三造)と名誉賞(外国語映画賞)を受賞し、
カンヌ国際映画祭でもグランプリを受賞した。
但しそれだけではない。
原作が菊地寛の . . . 本文を読む
「英国王のスピーチ」という映画、
アカデミー作品賞を獲るにふさわしい物語(脚本)に仕上げるには許される範囲内なのだろうか、内容面でジョージ6世をやや美談化し過ぎた感じがする。
しかしそれよりも一番に思うこと。
イギリス人は大英帝国時代に築いた伝統なのか、シェクスピアを生んだ誇りなのか、言語問題に関心が強い。というか、英語を喋ることに優越感を持っている。
今回の映画でジョージ6世の吃音を治す . . . 本文を読む