リンカーン
確かに真面目に(コマーシャル第一でない)取り組んだ映画とは思うが、
アメリカ人ならともかく、一般の日本人としては、チョット事前準備してゆかないと充分味わえない。
リンカーン大統領にとっては、戦争のテーマであった「奴隷解放」を確実なものするためには、
戦争そのものを終わらせる前に(即ち南軍と停戦交渉する、そして南部の連邦復帰を認めるその前に)、
奴隷解放をうたう憲法13条を定めてお . . . 本文を読む
カンヌ映画祭でパルムドール(最高賞)を獲った「ツリー・オブ・ライフ」。
監督のテレンス・マリックは「孤高の映像作家」などと持ち上げられるが、
要は綺麗だが難解なものに取り組むご仁。
だから「天国の日々」や「シン・レッド・ライン」など、何故かヒットしない、
興行上の失敗作を世に送り出す厄介作家でもあると思う。
今回ブラッド・ピットが好演しているとはいえ・・・ヒットするとは限らない。
この映画 . . . 本文を読む
アメリカ独立戦争を見る映画
アメリカの革命?独立?を扱った、あるいはそれを背景にした映画は期待に反しあまりない。特にワシントンやフランクリン等の英雄の顔にお目にかかれない。
しかしよーく探すと面白いものもある・・・ただしあまりヒットしたものがなく、DVDショップでもあまり置いていない。
現在DVDで見られるものの中では、アル・パチーノ主演の「レボリューション めぐり逢い」が圧倒的によくできて . . . 本文を読む
「ウォールストリート」。
前作から24年。刑務所を出てきたマイケル・ダグラスが、大学教授ぶって「バブルの物語」を講演したり庶民ぶって地下鉄に乗ったり、
最近のバブル(サブプライムローン問題)を反省しながら、
一方では「人間世界には繰返し起こるとこと」を分っていて・・・また投資で大儲け。
しかし娘の結婚・妊娠を前にして、孫の顔を見たくなって・・・人間的に終わります。
(了)
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2月14日NHKbs「愛と追憶の日々」を改めて見て、
このアカデミー賞作品の面白さがやっと分った。日本語でいえばこの映画「庶民的」あるいは「大阪的」。
母と娘の葛藤の日々を描きつつ、普通の人間の本音が明け透けに語られる。
建前でものを言うのが可笑しい、何とも言えない悲哀が漂うところ。 . . . 本文を読む
映画「ソーシャル・ネットワーク」を見るとよくわかるが、Facebookの最初の発想は、なんの事ない、学生たちの「雨夜の品定め」のための「電子釣書(つりがき)」システムに他ならない。このシステムが世の中をどう変えたか、映画のパートⅡを作って欲しい。 . . . 本文を読む
スタインベックの代表作2本
理想主義的なウイルソン大統領のリーダーシップで第一次世界大戦を終わらせたアメリカ。
大戦後、空前の経済的繁栄がもたらされ、高度の独占資本が発達し、工業生産も全世界の40%を超え、文句なしの世界一国家となる。電話や自動車の普及、ラジオ、映画ジャズといった独特のアメリカ文化が流行し、摩天楼ビルが繁栄を象徴する。大統領フーヴァーはこれを「永遠の繁栄」と呼んだ。 . . . 本文を読む
「映画で楽しむ世界史(現代編)」
昨年書いた「映画で楽しむ世界史」では、まだ映画(映像)がない時代即ち19世紀末までの歴史を対象とし、その後のことはあまり考えていなかったが・・・。
しかし考えて見ると、大体中学、高校の歴史の学習は最初の頃はイヤに丁寧だが、後の方はいい加減で、駆け足で終わってしまう。小生など、現代史をまともに勉強したという記憶がない、受験にも現代史部分はほとんど出 . . . 本文を読む
1、南北戦争後のアメリカ史区分
南北戦争後、第二次世界大戦にいたる60-70年のアメリカの歴史を考えるに、現代にも関わるあまりにも多くのことがあって、少し時代区分して頭に入れたほうがいい。アメリカ史専門の猿谷要氏により(物語アメリカの歴史)以下のように整理しておこう。
? アメリカ帝国の出現(1865-1900)・・・独占資本の形成、爛熟による「第一次金ピカ時代」
政治的にはモンロー主義を脱し . . . 本文を読む
2月26日NHK衛星第二放送
アメリカの南北戦争は、欧米では一般に"the American Civil War”(内戦、市民戦争)と呼ばれるが、日本では単なる内戦では充分ニュアンスが伝わらないし、何よりもcivil=市民の観念が訳しにくい。
そしてこの戦争のきっかけとなったのは奴隷問題であることは間違いないが、国家組織論から見れば南部諸州がアメリカ連邦制度の中に留まるかどうか . . . 本文を読む
NHK衛星放送
これほど評価の固まった映画監督も珍しい。何しろこの監督エド・ウッドは常に「史上最低の・・・」という形容詞付きで紹介される。
彼が活躍?したのは1930年代のハリウッド。1929年に起きた大恐慌は映画界にも甚大な影響をもたらし、映画会社は弱肉狭小の時代。トーキー映画への切替に伴い、サウンド機能を備えた劇場建設のため膨大な設備投資も要り、映画製作費引下げに必死の . . . 本文を読む
8月27日衛星映画劇場でジョンウエインの「捜索者」
この映画、初期の西部劇(典型的には「駅馬車」)のように、野蛮なインディアン対正義感溢れるヒーロー、そして追いつ追われつの活劇といったものとは少し違う。
しかしアメリカ映画協会が映画生誕100周年を期して行なった人気映画ベスト100では、西部劇部門でナンバーワンに選ばれている。ストリーも勧善懲悪型ではなく、劇的要素も . . . 本文を読む
2009年6月4日、NHKBSでオードリーヘップバーン生誕80周年記念だとかで「許されざる者」が放映された。
気をつけねばならないのだが、この題名(日本語)の映画は二本あっていずれもなかなかの見もの。
英語では、1960年のヘップバーンものは「The unforgiven」、1992年のクリント・イーストウッドものは「Unforgiven」。要するに前者は定冠詞付きだが、後者にはない。ということに . . . 本文を読む
この映画の最大のポイントは日本語の題名の良さ。
原作はデビッド・グターソンという作家の「Snow Falling on Cedars」で、ペン・フォークナー賞なる賞も取ったベストセラーなのだそうだが、日本語に翻訳された小説(講談社)には「殺人容疑」というタイトルが付いている。
映画の題としては、原題に忠実に訳し「ヒマラヤ杉に降る雪」としただけのことだろうが、その日本語が良い・・・単なる . . . 本文を読む
2月28日の衛星映画劇場「月の輝く夜に」
この映画を簡単に関するネット記事などを見ると「ニューヨークである未亡人に求婚する二人の兄弟をめぐるラブ・コメディ」とか「ブルックリンのイタリア系社会の人間模様を、暖かい眼差しで描くロマンチック・コメディ」とか紹介されている。
それはそれで正しいが、少し詮索してシチリア人社会を描いたものという点に拘れば、いわば「 . . . 本文を読む