マッチョすぎる「孔子の教え」
この映画、孔子の生きた春秋時代の雰囲気は部分的にはよく描けているが、
CGを使った軍隊や戦場のシーンがオーバーかつ多用し過ぎて、
一体孔子をどういう人物と心得ているのか。
確かに孔子とか論語とかいろんな本があるのだが、もうひとつピンとこない。
上から目線で説教臭い「お言葉」をあれこれ捏ねまわされてもぜんぜん面白くない。
もっと人間臭く書いてくれないと・・・。
そ . . . 本文を読む
なんともお粗末「1911」
中国の「辛亥革命」は中国、いや世界史上も最重要出来事の筈。
この映画はその「革命100周年映画」と鳴り物入りの公開であるが、
現在の映画の水準から言ってもなんともお粗末。
歴史などと五月蠅いことを言わずに、
全くのエンタメと割り切って見るとしても、これがちっとも面白くない。
ともあれ映画造りの土台たる脚本がチグハグ、人物描写がとてもステレオタイプ、戦闘シーン過剰 . . . 本文を読む
最近のなり物入りの映画だが、ヒットは期待薄、早期に切り上げられるだろう。
ともかく、お金と、渡辺謙の英語やコン・リーの美貌が勿体ない。
製作者か監督かしらないが、
「最後まで誰が犯人か分からないミステリー仕立て、エキゾチック上海、一流役者」
というだけで、あとは宣伝費任せ。・・・一人よがりもいいとこだ。
背景となっている歴史的事件ももう少し丁寧・正確さが欲しい。
(・・・・目くじらを立てる . . . 本文を読む
五味川純平氏の「戦争と人間」・・・大変な力作かつ大作であることは間違いない。
これが日本の文壇・文学界にどう位置づけられているのか、分からないが、
以下素人が全く勝手に想像を逞しゅうして一筆。
ちょっとオーバーに、一言で言えば、この小説は日本版「戦争と平和」なのだという珍説。
五味川氏は「人間の条件」の成功で、日帝とその結果としての戦争・敗戦を伝えるものとして、
自己の役割に自信を持ったに . . . 本文を読む
NHKBSプレミアムが8月15日―20日の間、「人間の条件」を一部から六部まで、連日一部づつ一挙放映した。
私にとっての「人間の条件」・・・高校生時代(昭和34-37)、若い社会の先生がこの本を愛読し、
文字通り寝食を忘れて読んでいた、さすがに本のあらすじまでは話されなかったが、
「君たちにはちょっと早い。読んだら勉強できなくなる」と話されたことを鮮明に覚えている。
その後大学に入って、この . . . 本文を読む
シルクロード紀行(6)河西回廊と嘉峪関
中華世界から外の世界への第一歩、シルクロードへの出発点となる地域がいわゆる「河西回廊」。
・・・・・当初、漢の武帝がBC111年に置いた河西四郡(武威、腸液、酒泉、敦煌)が始まりとされ、
11世紀には、河西五州(上記夫々が涼州、甘州、粛州、砂州とされ、新たに安西に瓜州が置かれた)として再編成された。
このことが頭にあると、当初、旅行会社のシルクロードツ . . . 本文を読む
5、シルクロード紀行(5)莫高窟の秘密
シルクロードや敦煌について不勉強だから仕方ないのだが、単純な疑問。
「砂漠の中の美術館」と言われる莫高窟・・・何故あんな辺鄙な山の窟の中で、あんなに多くの美術財=壁画や彫像などが創作され、鎮座されるに至っているのか。
その成立ち、あるいはその歴史的意味につき納得できる答えが欲しい。
敦煌への道中、柳園からの悪路、
バスのガイドが「敦煌は仏教が中国へ伝わる . . . 本文を読む
4、シルクロード旅行(4)砂漠の砂と礫
トルファンから敦煌へ行くには、新疆線の夜行列車で約7時間半、明け方荒野の真ん中「柳園駅」へ降り立つ。そこから128キロ、「田舎の」バスで2時間半ぐらい灰色に荒れた「砂漠地」を行き、やっと敦煌郊外の緑・・・楡・柳・葡萄などに辿りつく。
その関、砂漠の荒れた風景、激しいバスの揺れに悩まされると「シルクロード⇒砂漠⇒月の砂漠」という一般に刷り込まれている先入観 . . . 本文を読む
3、シルクロード旅行(3)古都トルファン
ウルムチは清朝が征服地統治のために造った政治都市であるのに対し、
トゥルファンは古代ウイグル王国の首都機能を担ったこともあり、
最もウイグルの香り、シルクロードの雰囲気を保った都市。
・・・シルクロードの天山南路と天山北路の分岐点に位置し、
現在では鉄道の蘭新線と南彊線の分離点にあたる。
周辺には中国流に言えば6つの「全国重点文物保護単位」があり
( . . . 本文を読む
2シルクロード旅行(2)新疆ウイグルの意味
今回旅行会社のツアーで行った「シルクロード旅行」往路は先ず上海、西安と乗り継いで、
新疆ウイグルの首都「ウルムチ」から始まる。
朝一番観光バスに乗って、現地案内人の最初の紹介話は「新疆」の「彊」という文字の説明。
これはよく分かった。
この地名は清の乾隆帝が、この地で勢力を伸ばしたジュンガル部を滅ぼし「新しい領土」という意味で名付けたもの。
この疆 . . . 本文を読む
シルクロード旅行(1)日本人のシルクロード好き
東北大震災とそれに続く政治のすったもんだで、むしゃくしゃする日が続き、
思い切ってシルクロードまで行ってくることにした。
別に気取る訳ではないが、改めて考えるに、日本人は何故シルクロードがこうも好きなのだろう。
いろいろな理由が考えられる。例えば・・・
① 漢字文化、漢文読み、唐詩好き⇒西域への憧れ
② 仏教の伝来した道、西洋にも繋がるという . . . 本文を読む
1、中国の明治維新はいつか
現代の中国人に、建前でなく本音をきいてみたいのだが、中国近代化のための革命は何時始まった、誰が最も貢献者なのか。もっと具体的に言うと、孫文か蒋介石か毛沢東なのかという問題。この3人どれを欠いても今日の中国がありえないのは事実であるが、3人の誰が最も尊敬に値するのか。
ちなみに中国の建国記念日・・・国民党政府の後継たる台湾政府は辛亥革命の10月10日(双十節)を大々 . . . 本文を読む
半植民地化する「眠れる獅子」中国
1、中国に黒船がきた
中国人の心の中にある所謂「中華思想」が、長い歴史の中で何時ごろどうして出来上がったのか?大変興味深い問題であるが、この思想が始めて欧米文明に出会ったときどういうことにアイなったのであろうか?
中国清朝は永年実質的鎖国政策をとり、貿易を広州港一つに絞っていたが、最初開国要求を持ってきたのはやはりイギリスで、1793年のマカー . . . 本文を読む
ノーベル平和賞ダライ・ダマにも関わる歴史物語
「リトル・ブッダ」の記事を書きながら、この映画のことを忘れていたことに気がついて、改めてアジア史も勉強し直さねばならないと猛反省の次第。
この映画は興行面ではもう一つであったようであるが「ガンジー」や「ラスト・エンペラ」に比肩する大作、重要映画である。
映画の内容はいろいろ奥深いが、要約すれば以下の3点
①実際に「セブンイヤーズ . . . 本文を読む
井上靖の「敦煌」は民族興亡史の交差点
映画「敦煌」は日本の映画史に残る名作。
シルクロードでのロケ風景に加え、長安城や敦煌城のセットも素晴らしい。砂漠、草原での戦闘シーンもよく出来ているし、夫々の俳優もよく演じていて迫力がある。しかしやはり大事なのは井上靖の原作。この時代を出切るだけ史実でたどってゆく試み・・・結構難しい。
そもそも敦煌 . . . 本文を読む