本年度第85回のアカデミー賞「作品賞」受賞作品だけあって文句なく素晴らしい。
何故だろう・・・アカデミー賞の中でも最も権威ある作品賞、いろんな観点から
「素晴らしい」とされたのは当然なのだが、最大の理由は作品を貫くテンポ感ではないだろうか。
基本的には歴史的事実に基くシナリオで、それも相当「重い」、現在も影を引きずる、
1979年の「イランのアメリカ大使館人質事件」を描くのだから、ついいろいろ . . . 本文を読む
<インド宗教暴動>
報復続発で200人以上殺害(毎日新聞) 2002 年 3 月 01 日
【イスラマバード春日孝之】インド西部グジャラート州の最大都市アーメダバードで、先月27日に起きた列車放火事件を機にイスラム教徒へのヒンズー教徒の報復事件が続発し、各地で暴動が広がっている。
国防省は1日、事態沈静化に向け陸軍を派遣したが、これまでに200人以上が殺害された。暴動が全国規模に飛び火する可 . . . 本文を読む
映像化しにくい仏教「リツル・ブッダ」(5月27日NHK衛星放送)
ラスト・エンペラを作ったベルナルド・ベルトリッチ監督のオリエント3部作の一つ(ラスト・エンペラともう一つは「シェルタリング・スカイ」)。
世界3大宗教の始祖は、キリスト教のイエスはいろいろに映画化され、イスラムのムハンマドも「ザ・メッセージ」という映画になっているから(イスラムの教義に従いムハンマドは顔を出さないが)、
西洋人 . . . 本文を読む
大英帝国の乳牛 インド
1、インド理解の難しさ
日本人にとって近いはずなのに(なにせお釈迦様を生んだ土地)、最も理解しがたい国それがインド。なぜって?一言で言って、近代日本人が馴染んできた西洋思想による近代化が最も当てはまらない、別の間尺を持たないとまったくわからない。
「映画で楽しむ世界史」は基調として、キリスト教をはじめとする一神教に疑問を呈し続けたが、ところ変わってアジアの「インド . . . 本文を読む
モンゴル建国800年記念作品「蒼き狼」
「蒼き狼」はもともとは昭和30年代に井上靖氏が書き、当時大ベストセラーになった小説。それを森村誠一氏が「地果て海尽きるまで小説チンギス汗」としてリメイクしたものを映画化。
チンギス汗については、1992年にモンゴルが作った「チンギス・ハーン」という映画もあるが、チンギス汗を悩み多き人間として描こうという気持ちが強すぎて娯楽性 . . . 本文を読む
チンギス汗の死とその後
1、800年前の1206年
モンゴル内諸族を統一したテムジンは「チンギス汗」としてモンゴル帝国の君主を宣言する。彼とその一族の権威付けには「とこしえの天」から贈与されたカリスマ性を拠り所とする・・・内陸アジアに共通の君主観。あえて西洋風にいえば王権神授説というところか。映画では津川雅彦扮する神官が、仰々しく神のお告げを述べる . . . 本文を読む
タタールの頚木それとも平和
1、井上靖の小説も、あるいは今回の角川映画も描くとおり
・・・チンギス汗の長男ジョチは親父となんとなく旨くいかなかった。
愛憎絡む複雑な関係の原因は、ジョチは本当のチンギスの子か、それとも妻のボルテがメルキト族に略奪され囚われていたときの子か、それをチンギスが悩んだことにある。(チンギス自身、親父のイェスゲイの子か、それとも母のホ . . . 本文を読む
オゴタイ、チャガタイ、フラグの国
1、1227年のチンギス汗の死前後から、
・・・チンギスの三男オゴタイは外モンゴル西部のジュンガリア地方を(オゴタイウルス)、次男チャガタイは中央アジアのサマルカンドを拠点とするが(チャガタイウルス)、チンギス汗没後2年経った1229年、オゴタイが大汗の地位に就く。
そしてオゴタイは先ず四男のトルイと一緒に「金」を滅ぼし、 . . . 本文を読む
TUTAYAで、2005年のアメリカ映画「ロスト・キングダム スルタンの暦」というDVDを見つけて早速観た。ペルシア・ゴールデン・ライオネス賞監督賞などの受賞作ということだが、
ハリウッド映画に慣れた我々には、ストーリーや映像展開のスピードが合わなくて、ピンとこないことが多々あるし、何よりもこの映画の歴史背景をきちんと理解しようとすると、相当の労力を要する。
映画の原題は「The Keeper: . . . 本文を読む