映画で楽しむ世界史

映画、演劇、オペラを題材に世界史を学ぶ、語ることが楽しくなりました

「リンカーン」のための事前勉強

2013-05-16 22:11:11 | 舞台はアメリカ
リンカーン 確かに真面目に(コマーシャル第一でない)取り組んだ映画とは思うが、 アメリカ人ならともかく、一般の日本人としては、チョット事前準備してゆかないと充分味わえない。 リンカーン大統領にとっては、戦争のテーマであった「奴隷解放」を確実なものするためには、 戦争そのものを終わらせる前に(即ち南軍と停戦交渉する、そして南部の連邦復帰を認めるその前に)、 奴隷解放をうたう憲法13条を定めてお . . . 本文を読む

「アンデルセン夢と冒険の物語」でデンマーク

2013-03-21 16:56:30 | 舞台は東欧・北欧
童話作家アンデルセンのファンタジー的伝記映画 昨年12月の海外ニュースで、 「アンデルセンの最初の童話『獣脂のろうそく』が発見された」との記事に目がついて、 2001年物の「アンデルセン夢と冒険の物語」という映画があったことを思い出した。 題名通りアンデルセンの伝記映画ではあるのだが、彼は相当奇人だったというのが定説のようで、 映画に登場するアンデルセンも相当な「子供」「礼儀知らず」で、思わ . . . 本文を読む

日本版ダイ・ハード「ホワイトアウト」

2013-03-20 00:01:47 | 舞台は日本
日本版ダイ・ハード「ホワイトアウト」 真保祐一の原作は吉川英治文学新人賞を受賞し、 このミステリーがすごい!で国内部門1位に選ばれるなど、評判の高いベストセラー。 若松監督は、映画デヴュー作として相当張り切って作られた、その意気は良く伝わってくる。 しかし意識してか無意識にか、あの「ダイ・ハード」と全く同じ作り方。 主演の織田祐二もそれは充分感じていただろう。ブルース・リーに劣らぬ「不死身」 . . . 本文を読む

パリは騒ぐ「レ・ミゼラブル」

2013-03-18 18:54:18 | 舞台はフランス・ベネルックス
映画「レ・ミゼラブル」 世界の文学史上、ヴィクトル・ユゴーの「レ・ミゼラブル」は、その長編ぶりや時代背景の設定ぶりから 「戦争と平和」と並ぶものと言う人もいるが、「戦争と平和」よりはずっと大衆的で、 波乱万丈のストーリーを売物にする通俗小説に近いように思う。 しかし確かに面白い。だからこそ、エンタテインメント・ビジネスが取上げやすいのだろう。 今回は何とミュージカルが大ヒットし、それを映画化し . . . 本文を読む

この際北欧を勉強、「ナチスが最も恐れた男」

2013-03-17 16:56:22 | 舞台は東欧・北欧
この映画の原題は「マックス・マヌス」、 彼はノルウェー人で、同国では第二次世界大戦一番の英雄とされている人物。 それで邦題は「ナチスが最も恐れた男」としたのだろうが、DVDのストーリー紹介の中で、 「マックス・マヌスは、反ナチスの思いから、志願してフィンランドでロシアとの戦いに参加した後、 ナチ占領下のノルウェーに帰郷した」と記載されている点、少し注意を要する。 第二次世界大戦の始まりを、時 . . . 本文を読む

詳しすぎる「もう一人のシェクスピア」

2013-03-17 13:33:39 | 舞台はイギリス・アイルランド
古くから「シェクスピア別人説」は多々あり、喧々諤々の議論が尽きない。 シェクスピアの作品があまりにも見事であり、圧倒されること甚だしいから、彼のキャリアを調べると、 これが何ともプアーで、ストラットフォードの田舎の貧しいなめし皮職人の息子が、 あれだけのものを書いたとは思えない。 そこから英文学者たちは、当時の知識・教養・地位の人の中から、 あれらの作品を書けるであろう人物を探し始める。 河 . . . 本文を読む

さすがアカデミー作品賞「アルゴ」

2013-03-16 23:11:56 | 舞台は中央アジア・インド
本年度第85回のアカデミー賞「作品賞」受賞作品だけあって文句なく素晴らしい。 何故だろう・・・アカデミー賞の中でも最も権威ある作品賞、いろんな観点から 「素晴らしい」とされたのは当然なのだが、最大の理由は作品を貫くテンポ感ではないだろうか。 基本的には歴史的事実に基くシナリオで、それも相当「重い」、現在も影を引きずる、 1979年の「イランのアメリカ大使館人質事件」を描くのだから、ついいろいろ . . . 本文を読む

タイムスリップの楽しみ「テルマエ・ロマエ」

2012-07-22 19:01:50 | 舞台はギリシャ・イタリア
「テルマエ・ロマエ」 「テルマエ・ロマエ」とはラテン語で「ローマの浴場」の意味。 古代ローマ時代と現代日本の入浴文化を比べてみるという着想がいい。 現代日本にタイムスリップした古代ローマ人の浴場設計技師が、 日本の風呂文化にカルチャーショックを覚え、大真面目なリアクションを返す。 やがては時の皇帝ハドリアヌスに仕え、温泉文化をもって政治軍事にも関わることに ・・・タイムスリップの楽しみの極み . . . 本文を読む

ゲーテ街道を「ファウスト」(2)

2012-07-22 19:01:31 | 舞台はドイツ・オーストリア
ファウスト(2) 最近のドイツ旅行はかっての「ロマンテック街道」一辺倒から脱し、メルヘン街道、 古城街道、ファンタステック街道、アルペン街道等々いろんな観光ルートが楽しめるようだ。 中でも「ゲーテ街道」は、ライプチッヒから中央ドイツを南西に横切ってゆくのだが、 途中イエナ、ワイマール、アイゼナハなど正に、ゲーテ・シラーを彷彿させる街町を通ってゆく。 そこで問題のゲーテ。彼は当時のドイツでいえば . . . 本文を読む

ドイツらしさ一杯「ファウスト」(1)

2012-07-22 19:01:12 | 舞台はドイツ・オーストリア
ファウスト(1) 第68回ヴェネチア国際映画祭で「金獅子賞」を獲った「ファウスト」。 言わずと知れたドイツの文豪ゲーテの代表作を映画化したもの。 原作の「ファウスト」は、中世ドイツに実在したと言われるドクトル・ファウストゥスの伝説を下敷きに、 ゲーテが一生かけて完成した大作。 主人公ファウスト博士は、医学を始め、錬金術や占星術など考えられるあらゆる知識を会得したが、 その限界に至ったのかどう . . . 本文を読む

さすが秀作「マンデラの名もなき看守」

2012-07-22 19:00:36 | 舞台はアフリカ
「マンデラの名もなき看守」 アカデミー賞の外国映画賞を受賞したというだけあって、確かに秀作。 歴史&ヒューマンドラマとして爽やかな感動を覚える、歴史に残るものだろう。 少しコメント 観客、特に日本人などは主人公のグレゴリー・は何国人だと思っているだろう。 失礼ながら、あまり歴史に意識のない人は、映像から受ける印象からいって、 てっきりイギリス人と思ってしまうのではなかろうか。 未確認なのだが . . . 本文を読む

マーロンブランドの迫力「革命児サパタ」

2012-07-22 18:55:16 | 舞台は中南米
メキシコ革命:ラテンアメリカで最初の社会革命?カウディーヨの政権闘争? 1、ディアス再選に対する反対運動・・・1910マデロ「サン・ルイス・ポトシ計画」 2、マデーロによる「革命」・・・1911南部のサパタ、北部ビリャ、カランサなど 3、ウエルタ将軍のクーデター・・・守旧派による反革命⇒19113マデロなど暗殺 4、ウエルタ政権の打倒・・・北部のビリャ・カランサによる「護憲革命軍」活躍    . . . 本文を読む

モロッコ「風とライオン」

2012-07-22 18:25:11 | 舞台はアフリカ
「風とライオン」を鑑賞するために、モロッコ史概観 <ベルベル人対アラブ人> ベルベル人といっても・・・いろんな種族。 歴史・・・ムラビート朝、ムワヒッド朝は一時スペイン(イベリア半島)を制覇したことも。 17世紀以来、アラブ系「アラウィー朝」、紆余曲折はあるも、現在も王制「ムハンマド6世」。 19世紀末混迷、モロッコ事件、1912フランスの保護領に、第一次世界大戦の火種として有名。 現在の . . . 本文を読む

「美女と野獣」系列か「オペラ座の怪人」(2)

2012-07-20 13:28:52 | 舞台はフランス・ベネルックス
「オペラ座の怪人」(2) ③この原作の「怪人=奇形児」から少し私見をこじつけると・・・。  フランスの大衆娯楽分野には「美女と野獣もの」という系譜がある。  そもそも「美女と野獣」は1756年に出版された民話集に端を発するが、  野獣が美女に懸想する話を取り込んだ物語は多く、音楽、バレー、  映画、ミュージカルと盛んに繰り返される。  最も元話に近いのはジャン・コクトーの「美女と野獣」。  最 . . . 本文を読む

音楽が引っ張る「オペラ座の怪人」(1)

2012-07-20 13:19:34 | 舞台はフランス・ベネルックス
「オペラ座の怪人」(1) ①イギリスの貴族音楽家アンドリュー・ロイド・ウェバーのミュージカル(映画もあり)。  確かに音楽は重厚・甘美、文句なく素晴らしいし、舞台は豪華絢爛、  推理・怪奇的要素も加わり大ヒットした理由は分かる気がする。  しかし物語の筋は、猥雑なものをいろいろ混ぜ込んだ感じで何ともすっきりしない。  ストーリーだけで論じるとすれば、明らかにB級、駄作極まりない。  要はオ . . . 本文を読む