映画で楽しむ世界史

映画、演劇、オペラを題材に世界史を学ぶ、語ることが楽しくなりました

「楊貴妃」となると「安史の乱」

2010-12-26 15:04:00 | 舞台は東アジア・中国

井上靖のシルクロードものに引き込まれて

 

 「蒼き狼」を再読してから、井上靖の西域ものに再度嵌まり込んでしまう。

映画になったものを見てゆくと・・・昔の大映映画、京マチ子、森雅之主演の「楊貴妃」を思い出す。これは井上靖の小説「揚貴妃伝」を下敷きにしたものではない。映画の粗製乱造時代、京マチ子の美人ぶりを売り物にしたものだったが、今回DVDで見直すと山村聡が安禄山を演じていたことに気がついた。

 

 「楊貴妃伝」では楊貴妃自身もさることながら、「唐」衰退の原因になった有名な「安史の乱」の主役安禄山が興味を引く。

小説の中では、安禄山は「父は胡人、母は突厥人、まさしく混血の異人種であり、初めは蕃語に通じているので仲買人となったが、その藩陽(今の北京付近)節度使張何某の部下になり、それを振り出しに、幾多の戦功に依って・・・徐々に頭角を現し・・・異族にして節度使という前例のない抜擢を受けるに至っていた・・・」と紹介されている。

 

これをもう少し歴史教科書的にいうと、安禄山は父がソクド人で「ソクド系」となっている。そこで問題は、中央アジアのサマルカンドやブラハなどを含む「ソクディアナ」地方をベースに、東西交易の中心的役割を果たした「ソグド人」。領土国家を作った訳ではないので昔の歴史教科書にはなかったが、最近の中央アジア史、シルクロード解明では注目を集めている地域、人種。

歴史的に勢力圏でいくと、その昔アレキサンダー大王が進攻してきた「バクトリア」、その後「大月氏」「フェルガナ(大苑)」などを経て、イスラム勢力下(ササン朝、アッバース朝)に入ってゆく。

そして歴史的に重要な事件は、751年の「タラス河畔の戦い」(カザフスタン南部)。中央アジア進出を狙う唐の高仙芝(こうせんし)の軍が、アッバース朝イスラム軍に大敗を喫す。この時中国の紙漉き工がサマルカンドへ送られ、製紙法がヨーロッパに伝わるもととなった・・・このことは歴史教科書の定番。

 


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