映画で楽しむ世界史

映画、演劇、オペラを題材に世界史を学ぶ、語ることが楽しくなりました

この際北欧を勉強、「ナチスが最も恐れた男」

2013-03-17 16:56:22 | 舞台は東欧・北欧
この映画の原題は「マックス・マヌス」、
彼はノルウェー人で、同国では第二次世界大戦一番の英雄とされている人物。
それで邦題は「ナチスが最も恐れた男」としたのだろうが、DVDのストーリー紹介の中で、

「マックス・マヌスは、反ナチスの思いから、志願してフィンランドでロシアとの戦いに参加した後、
ナチ占領下のノルウェーに帰郷した」と記載されている点、少し注意を要する。


第二次世界大戦の始まりを、時系列的に追ってゆくと・・・

①1939年8月、ヒットラーはスターリンと「独ソ不可侵条約」を結び、東の脅威を封じ込めたうえで、
 翌9月1日、ポーランド侵攻を開始し第二次世界大戦へと突き進む。
 これを見たソ連も東からポーランド侵入、ポーランド全土は独ソに二分される。

②1939年11月、ソ連はかねてから狙っていたフィンランドのカレリア地方を狙い、
 フィンランドに攻め入り、4か月の戦闘(冬戦争)の上、1940年3月両国は講話を結ぶ。

③1940年4月、ドイツはノルウェーに侵入、ほぼ無血占領を果たす。
 しかしノルウェー側は執拗なレジスタンスに向かう。

④翌5月からドイツは北フランス、オランダ、ベルギーに本格侵入を開始する。

●従って、マックス・マヌスの活躍は、
 先ずはソ連のフィンランド侵入時の義勇軍参加、・・・この時、圧倒的な軍事力のソ連に対し、
 フィンランド軍及び義勇軍のゲリラ戦は西欧諸国からは驚きと同情を得た・・・翌年3月講話。

 そして本格的には母国ノルウェーでのレジスタンス運動・・・映画で見る通り。
 とすれば、マックスが「反ナチ」であるのは当然なのだが、根っこのところはむしろ
 「北欧諸国ナショナリズム」にあったように思える・・・たいした問題ではないのだが。


ただ、この映画を機に、第二次世界大戦時の北欧諸国の対応を頭に入れておかねばならない。

●簡単に言えば
①ノルウェー・・・ホーコン7世(デンマーク出身の立憲君主王)はロンドンに亡命し
 レジスタンスを指示し、国民の尊敬を集める。

②スェーデン・・・第一次世界大戦に引き続き中立を保つ。

③フィンランド・・・元々ロシアの支配下、ロシア革命時にどさくさにまぎれて独立するも、
 第二次大戦当初の冬戦争で頑張る。その後、独ソが離反するとドイツ側につくが、
 1944年には連合国側に降伏し、ソ連に領土を割譲した。

④デンマーク・・・1940年簡単にドイツに占領され、最後までその状態が続く。

(了)

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