映画で楽しむ世界史

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ダ・ヴィンチ・コードへの興味(5)<ベン・ハー>

2006-05-30 16:59:16 | 講演資料レジメ

マグダラのマリアの謎

「ダ・ヴィンチ・コード」の本当の主役はマグダラのマリア。彼女は一体何者なのであろうか。

彼女はもともと娼婦であってイエスに遭って信仰に目覚めたとの説は、カソリックサイドが公式に流したのかどうかは定かでないが(おそらく噂を振りまいた?)最近はあまり流行らない。

学者の説では「マグダラ」とは先ず町の名前・・・ガラリアの漁業町とされている。更には、彼女はガラリア湖南東に古代王国を造った「ガラ族」の出身、祭司、預言者の血を受け継いでいて相当の政治的地位にもあったのではるとの説もある。

考えてみれば、古代イスラエルには12の有力な部族があって、それが初代のサウル王、次のダビデ王、更にはソロモン王などの時代に統一した王国を造るが、やがて南北に分裂、南のユダヤ王国が実権を握る。 その間相当いろいろな戦いが、他民族や宗教も絡んで、あったに違いない。そしてイエスの死後、ユダヤ人はローマ帝国の圧制に反抗して壮絶な独立維持戦争を展開する。ユダヤ史に詳しい方は別にして、一般にはこの辺の部族間の争いが語られることがない(映画にはなってない)。

そこで知らないことを幸いとして、いろんなことが想像できる。ちょっと歴史に残る出来事を整理すると・・・

紀元30年前後、イエスの死

45年ー58年、パウロの伝道旅行(1-3次)、

60年、ローマ訪問

64年、ローマ大火、ネロ皇帝

66年、ユダヤ人反乱(第1次)、

70年、ユダヤ人の流浪始まる 132年、ユダヤ人反乱(第2次)、

135年、ユダヤ人全滅(マサダ砦)

当初ローマ側はユダヤ人やキリスト教を迫害したことは間違いないであろうが・・・その辛酸の後に、特にユダヤ独立戦争に対して、キリスト教は公式にはどういう態度をとったであろうか。全く無関係でいれた筈がない。ローマ教会を死守したいペテロはどうであったろうか。そして問題のマグダラのマリアやその一族はどうしたであろうか。

想像を逞しくすれば、キリスト教布教を第一に考えうまくローマ帝国と付合おうとする一派と、ユダヤ原理主義のような一派、いわば国際派と国粋主義派がいたに違いない。前者は結果的にはユダヤを見捨てたとの批難にさらされるだろう。

これを飛躍すれば、イエスは(彼個人がどうであったかどうかは別にして)ユダヤを捨てたといえなくもない。 あまりこの辺を突くと今の世にも尾を引く厄介な問題が出てくるのかも知れない。

 1959年、アカデミー賞を11部門もとった「ベン・ハー」という有名作がある。この映画はどういう原作を映画にしたのか知らないが、チャールトン・ヘストン演じる主人公ベン・ハーはユダヤの貴族。 エルサレムにも歴然たる貴族がいて・・・先ほどの12部族を連想してよいのではないか・・・あの有名な戦車競争シーンでローマの軍人をやっつける、そしてイエスに出会うのだが・・・彼等は、あるいはその一族はあの独立戦争でどうなったのであろうか。マグダマのマリア、あるいはモナリザはこうした歴史の中でどう存在したのだろうか。

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