映画で楽しむ世界史

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ダ・ヴィンチ・コードへの興味(3)<クオ・ヴァディス>

2006-05-30 16:58:16 | 講演資料レジメ

クオ・ヴァディス」(主よ、どこにゆきたもう)

 ノーベル賞作家シェンキヴィッチの原作を映画化した「クオヴァデッス」はあまりにも有名。世の中に、強烈にローマ帝国ネロ皇帝の暴君ぶりとキリスト教受難の様子を定着させてしまった。この映画はもはや著作権が切れて、500円DVDで見れる。

少し考えると・・・何故キリスト教はローマ帝国とそんなに対立したのであろうか。 ローマ人はそれほど抽象的な、今日的に言う宗教の問題(純粋な教義や思想)に興味を持ったとは思われない。

問題を突き詰めると多分軍事的なこと、帝国への忠誠心如何にあったと思われる。キリスト教の思想を完全に世に行うとすれば(隣人愛など)、軍隊に入って戦い、他人の土地を攻め取ったり他人を奴隷にするなどということは肯定出来ない。初期キリスト教徒は兵役拒否や脱走、逃亡などローマ軍を散々てこずらせたに違いない。キリスト教内部でも軍に対してどういう対応をとるか意見が分かれたに違いない。

 しかし、313年コンスタンチヌス大帝ミラノ勅令=信教の自由=キリスト教公認が問題にけりをつけた。キリスト教サイドは、いろいろ理屈を捏ね回す人が出て「ローマに行ってはローマ人のおこなう事を」ということで帝国への反抗を止め、キリスト教の勢力拡大という現世的なメリットを選択した。

ここから、キリスト教と政治の結託が生じた。政治とは突き詰めると軍事であり、宗教側は自身の教義を固め「聖戦」思想を確立する。

やがてこれが、500年を経て、フランク王国の「カールの戴冠」やオットー大帝の「神聖ローマ帝国」につながり、更に300年を経て、十字軍思想になってゆく。

 十字軍・・・ヨーロッパが極端にキリスト教(ローマ教皇)至上主義にはしり、エルサレムへの軍事行動となる、軍事的には完全に失敗なのに、教皇側はそれを認めず、200年間ダラダラと続くのだが・・・。十字軍は軍事的重要性より、ヨーロッパ社会の流動化、物流拡大、経済成長をもたらした。人間の思想、行動も多様化してくる。そこでキリスト教守旧派と異端思想の争いが再燃する。シオン修道院とかテンプル騎士団とか、ダヴィンチ・コードの世界・・・。

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