映画で楽しむ世界史

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ダ・ヴィンチ・コードへの興味(4)<聖衣>

2006-05-30 16:58:43 | 講演資料レジメ

聖遺物伝説・・・映画「聖衣」など

映画が今の大きさに拡大された「シネマスコープ映画」の第一作が「聖衣」という映画(1953年)、ならびにその続編の「ディミトリアスと闘士」(1954年)。

 聖書はキリスト処刑の場面の描写は特に詳細で、イエスが処刑されたとき身につけていた衣服は兵士達に奪われる・・・「上衣は4つに分けられ4人の手に渡り、下衣は一枚織りであったので、兵士たちは誰のものにするか籤をひいた」とまで書いてある。 これが小説化され、映画化されたのが上記の映画。

皇帝カリギュラと対立したローマの軍人マーセラスはエルサレムに左遷され、ピラトの命令でイエスを処刑し、良心の呵責からノイローゼ状態になり、使途達に出会って聖衣に触れ、心の平安を取り戻し・・・ローマに戻った彼は皇帝カリギュラに捕らえられ、死刑に処せられる。

 こうした伝説が、広範な聖遺物物語を生み出す。キリスト教普及の過程で、12使途の遺体やその一部(毛髪、爪、血痕など)更には彼らが生前使用したり触れたもの(衣服や食器など)あるいは墓に関わる花や香油などまでが現世利益をもたらす有難いものとして崇拝の対象になり、これを探し出して祭壇に飾ることが盛んになる。

そして、それらを収める聖遺物容器は金銀など贅美な材料、精巧な技法、デザインを駆使し・・・金や名誉に絡み売買、取引、盗みなどになる。 ダ・ヴィンチ・コードではないが、修道院や騎士団が陰に陽にこれらに絡むだろう。異端とされたもの達もそれぞれの聖遺物を主張するだろう。 かくして、聖なる物として理屈のつく限りのものを探すことが・・・信仰の厚さを語るものという美談の格好を取った宝探しになる。ハリソン・フォードの「インディー・ジョーンズ」は何を探して、争っていたのでしたっけ?

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