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一日一書 503 少年の日 3・佐藤春夫

2015-02-06 14:38:40 | 一日一書

 

佐藤春夫「少年の日」より

 

半紙

 

 

本文は以下の通り。

 

君の瞳はつぶらにて

君の心は知りがたし。

君をはなれて唯ひとり

月夜の海に石を投ぐ。

 

 

先日、「一日一書501」の「花を敷き」について

中学以来の友人から、

「敷」という字は、ぼくが読んだ岩波文庫の「春生詩抄」では

確か「簿」みたいな字だったと思うんだけど、

君はどの本を出典にして書いているのか、という質問メールがきました。

ぼくが出典にしているのは、新潮社版「日本詩人全集17佐藤春夫」なのですが

家にあった岩波文庫の「春生詩抄」を見ると、

確かに彼のいうとおり「花を藉き」(確かに「簿」みたいな字だ)となっていました。

何と言う記憶力!

もっとも、彼は高校時代から、佐藤春夫の愛読者でしたから

不思議ではないともいえるのですが、それにしても、文字まで覚えているなんて驚きでした。

 

では、どちらが正しいのか。

新潮社版「日本詩人全集17佐藤春夫」を見ると

これの原典は、「殉情詩集」の初版本だということが分かりました。

一方、岩波文庫版「春生詩抄」は、佐藤春夫自身の編集になるもので

その編集過程で、春生自身が詩句を変更したようです。

 

ちなみに、新潮社版では、4つの連には、1、2、3、4と数字があるのみですが

岩波版では、1春 2夏 3秋 4冬、となっています。

更に、「2」の後半の二行が

新潮社版では、昨日ご紹介したとおり

「あたたかき真昼の丘べ/花を敷き、あはれ若き日。」ですが

岩波版では、「なやましき真昼の丘べ/さしぐまる、赤き花にも。」となっています。


どちらがいいか、好みの問題ですが、

作者は、結構あとから、自分で修正してしまうことが多いので

困ることも多いのです。

 

それにしても、こういうやりとりが友人とできるというのも

人生の幸福のひとつですね。

 

 

 

 

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