佐藤春夫「少年の日」より
半紙
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「少年の日」の2
本文は以下の通りです。
影おほき林をたどり
夢ふかき瞳を恋ひ
あたたかき真昼の丘べ
花を敷き、あはれ若き日。
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「1」は、「野ゆき山ゆき/海辺ゆき」というように
七五調ですが
「2」は「影おほき/林をたどり」というように
五七調です。
七五調が流れるように軽やかなリズムであるのに対して
五七調は流れがよどみ、重い感じがします。
佐藤春夫は、そのリズムの特性をよく生かしています。
「1」は、初恋の思いが、野山に解き放たれるように歌われますが
「2」は、その思いの鬱屈が、心の中を覗き込むようにのべられます。