Yoz Art Space

エッセイ・書・写真・水彩画などのワンダーランド
更新終了となった「Yoz Home Page」の後継サイトです

一日一書 461 石・八木重吉

2014-12-13 17:09:39 | 一日一書

 

八木重吉「石」

 

半紙

 

     石

 

ながい間からだが悪るく

うつむいて歩いてきたら

夕陽につつまれたひとつの小石がころがっていた

 

 

八木重吉の詩集「貧しき信徒」の中の詩です。

「ながい間からだが悪るく」の一行は、

幼稚な印象さえ受ける表現ですが

重吉の背負った病を考えると、万感の思いが胸にせまります。

重吉は、肺結核のためにわずか29歳で亡くなっているのですから。

「うつむいて歩いてきた」とは、たぶん、それまでの重吉の人生そのものかもしれません。

そして最終行、「夕陽につつまれたひとつの小石がころがっていた」と書く。

「夕陽にてらされた」でも「夕陽に輝く」でもなく

「夕陽につつまれた」という表現に注目です。

そんな自分でも「神様がやさしく包んでくれている」ということでしょう。

 

 

 


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする